生雲ダム【3】

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(「生雲ダム【2】」の続き)

ダム堰堤を経て左岸に渡り、注水口を観察して再び戻ってきた。
ここまでの段階で自由に立ち入れる場所は一通り進攻し撮影してきた。立入禁止が明示されている場所は外から眺めるだけにしたし、特に禁止が明示されていなくても危険だったり撮影目的で進攻するメリットが感じられない場所(樋門の塔の上など)は見送った。

気になるものの撮影は、進攻が微妙な場所が若干残された。
例えばこの場所…スクリーンに引き上げたゴミを貯留する場所で、そこには下の階へ降りる螺旋階段があった。手摺りと門扉の間に挑発的な隙間が…^^;


螺旋階段の行き先も手摺りの隙間も気になるが、それ以上に最初に観たときから何のためのものか全く理解不能な構造物がその内側にあった。

ゴミの貯留場から水平に突き出た桟橋状の通路と谷底へ向かう斜路がある。
桟橋は谷底を前に行き止まりになっており、奇妙なことに何処にも繋がっていない。それどころか先端部を含めて転落防止柵が巡らされている。斜路は滑り台のような形状で、谷底を前にして切れている。拡大対象画像です。
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どう考えても何のためのものか見当がつかなかった。
特に桟橋の橋脚が斜路の中央に設置されている意味が分からない。この構造からして、斜路は谷底に余剰水など何かを流すためのものではないらしい。
上部の桟橋は谷底へ突き出た先端から何かを観測するためかも…しかし斜路の方は本当にさっぱり分からない

先の手摺りと扉の間にある誘惑的な隙間は、ちょっとソワソワさせるものがあった。しかし螺旋階段からダム下まで降りられる訳ではないので追求しなかった。
できればダム下からの撮影をしたかった…全く降りる経路がなかった

この階段を眺めていて別の気になる物を見つけた。
コンクリート階段の端に幾本もの塩ビ管が埋め込まれている。これは一体何?


こちらは階段を登った先に解答と思われる設備があった。


階段の中に電熱線が埋め込まれていて、スイッチを入れると融雪される仕組みらしい。確かにこれほどの山奥なら冬の寒さも半端ではなく、階段の凍結も有り得るだろう。
しかし足を滑らさないための融雪装置が必要なほど、誰かが日々この階段を昇降しているのだろうか…
管理所に誰か常駐していた頃には一般の通行者の便宜をはかって解氷していたとか?

この反対側に例の軌道上に乗った作業車が見えていた。


ダム堰堤へ向かうとき、ここにスクリーンがあることに気付いていた。ここでまとめて写真を撮っておいた。
派生記事: 生雲ダム取水口
撮影の過程で階段を上がり、もう一つの気になる”微妙な”場所に向かう。
ここである。


ここは別の目的でどうしても内側に入りたいと思っていた。
この建て屋自体を偵察する目的ではなく、撮影スポットとしての利用である。調整池の畔には立木が鬱蒼と茂っている場所が多く、ダムにしろ対岸の注水口にしろ広い眺めが得づらかった。この空中に出っ張った建て屋の2階部分が撮影に好適だったのである。

危ないことは決してやらない。単に写真撮影の場を求めて入らせて頂いた。

ダム堰堤上に聳える3基の樋門。これはよく見えて収穫だった。
通路上から撮影しても3基が重なって分かりづらい写真になる


先に踏査した注水口との位置関係はこんな具合だ。


上の撮影を行うとき、建て屋のコーナー部分に興味深いものを見つけた。


方位とエレベーションを示す銘板っぽいものが庇の上部に取り付けられていた。EL=234.5を簡易ベンチマークとして使っているのだろうか。測量のときはスタッフ(箱尺)を立てるベンチは視認しやすい場所の必要があるのでここが選ばれたのかも知れない。


ここは取水口の真上くらいになる。
どういう意図なのか、建て屋の外回りは20cm位の短い庇があってその外側に手摺りが設けられていた。いくら何でもこんなに狭くては常用の通路にはならない。やはり測量のとき立ち入ることがあるのだろうか…


別アングルからの調整池。
元々発電用の水を貯留するための調整池であり、生雲川の助けがなくとも榎谷取入口からの流入分があるから、水位は常に高めに保たれているらしい。斜面の土肌が露出している場所がなく、汀ぎりぎりまで木々が生えている。


ボート格納庫から調整池へ伸びる斜路が見えた。その先は完全に水没している。
こういう設備は常時水に浸っていることになるが強度的に大丈夫なのだろうか…


これだけ撮影し復帰した。

格納庫で待機しているボートはダム堰堤入口から観られた。


斜路にセットされているボート。水上バイクのような形状にも見えるが、詳細は分からない。


この後、車で走ってきた右岸の管理道から対岸の注水口が撮影できないか暫く歩いて偵察してきた。
派生記事: 生雲ダム注水口【2】
戻ってくるとき、ダム管理所手前の管理道の写真も撮っておいた。
これは管理所を背にしての撮影。


同じ場所から管理所を向いて撮影。
来るとき車から撮影した写真よりも若干手前になる。路肩の位置を知らせる紅白ポールが立っている。


さて、これで殆どのものは撮影できただろう。
時刻は午後3時過ぎ。生雲ダムの駐車場に車を停めてから既に一時間近く経過していた。

今の時期は日が傾くのは早い。午後3時過ぎは現在の居場所を勘案すると全く微妙な時間で、踏査を終えて帰途に就くには若干早い。しかし時間があれば次の訪問地として予定していた長門峡発電所まで行くなら、前回と同等かそれ以下しか眺める時間がないか、丹念に眺めた挙げ句帰途が真っ暗な時間帯になるかだ。
今日は道の駅長門峡へ立ち寄ることが出来なかったので、榎谷取入口とここの2ヶ所しか訪れていなかった。
もっとも両岸から攻めてみたり取水口・注水口まで含めて重厚に踏査はしているが…

やや物足りなさはあったが、今から別の何処へ移動しようと中途半端な踏査しか出来ないと思った。
今日はこの生雲ダムを最後にしよう。
代わりに洗いざらいネタを持って帰ろう…
別に踏査や写真撮影が飽きた訳ではなく、何でもかんでも一通り観てやろうという意欲は満々だった。
興味を持つ踏査対象に関してはそういうものである
特にここ生雲ダムに関してはそう滅多に来ることが出来ない場所であり、何よりも他のダムにない特異な設備が多く個人的には結構気に入った。
有り得ない話だけど、仮に施設内すべてのメンテナンス要員として一週間くらいこの管理所へ常駐するよう命じられたなら、喜んで請けるだろう。観たいだけ設備を観た後は仕事に勤しみ、自由時間には静か過ぎる位の環境で誰にも邪魔されず踏査ドキュメントを作成するだろう。
飲食物は揃っていてネットも繋がるというのが絶対条件だが…^^;

さて、他に何処にも寄らないのならガツガツすることはない。まだ1時間近く行動できるから、ちょっと一息入れよう。思えば車を降りた直後から観察と撮影の連続で、他のことを何もしていなかった。

ポケットにケータイを入れていたことを思い出した。こんな山奥で車のキーを落っことした…なんてことになったら一大事だから、最近は容易に連絡が出来ない場所を踏査するときには必ずケータイをポケットへ入れるのを習慣づけていた。
それで生雲ダムの代表的なショット(注水口とダムの樋門3基を含めた映像)を撮影し、メンバーに速報で伝えることにした。


しかるべきメンバーに画像を添付してメール送信しようとしたのだが…
何故か延々とデータを送信し続けていて、いつまで待っても「送信しました」のメッセージが出ない。

自分の置かれている場所柄、すぐに原因が分かった。
アンテナ0本…
送信できませんっ(>_<);


そりゃあ、送信できないだろう。

アンテナ0本じゃあメールどころか通話も不可能。ここではケータイも単なる低解像度カメラか簡易ボイスレコーダー程度にしかならない。
どんだけ山奥なんだよっsweat
そういう訳で、生雲ダムからの実況報告は成らなかった。残念…^^;
いや、こんな場所だったらケータイ持ってるからと安心もできない訳で…
まあ…ダム管理所玄関に連絡用インターホンがあるので万一のことがあってもそう慌てるに及ばない

インターホンで思い出した訳でもないが、最後にダム管理所周りを踏査しようと思った。

(「生雲ダム【4】」へ続く)

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