間上発電所【8】

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(「間上発電所【7】」の続き)

初回公開時(ブログ版)ではこの後すぐ車に戻り、服を着替えるなどの後始末をしたように書いていた。
しかし水圧鉄管を観るのを優先したため後回しになった撮影箇所(裏手から見た発電建て屋など)があった。

乾いた服に着替えた後、また暑い中ここまで歩いて服を汗まみれにしたくなかったから、もう少し辛抱して発電建て屋の写真を撮ることに。

跨管橋を渡った先は民家の私道で、先は行き止まりになっていた。私道に沿って張り巡らされたネットフェンス越しに撮影している。


ネットフェンスは標準よりも網目がかなり細かいタイプなので、充分なアングルを得ることができなかった。

位置的にはグラウンドの駐車場の真裏になる。
サッカーの練習をしていた子どもたちも帰ったようで、グラウンドは静まりかえっていた。


発電建て屋は地上2階で、地下が1階あってそこに水車が格納されている筈だ。
窓はブラインドが降ろしてあり磨りガラスだったりで内部の様子は窺えなかった。


この後、来た道をそのまま引き返した。
カメラをポケットに突っ込んで歩いたため汗で蒸れたのだろうか。レンズが曇っているらしく視野の中央部分がぼんやりしている。


県道に戻り、富田川の橋を渡る手前で気になる廃物件を見つけた。
富田川に隣接する低い空き地にポンプ室らしきものがある。窓はあるがガラスが入っておらず、全体が酷く雑草に侵食されていた。


実はこのポンプ小屋らしき遺構は、水圧鉄管への往路で既に気付いていた。
一応数枚ほど写真を撮ってあった
しかし間上発電所とは関係がないと思い、深く追及しなかったのである。

橋の反対側から撮影。
左に見えるのが県道であり、さっき正面に見えるフェンス沿いの道を歩いて来たのだから、間上発電所からは若干離れている。


これは間上発電所関連ではなく、富田川の上流にある川上ダム関連の遺構かも知れない。
そう思いつつも掲載したのは、私が最終地点で進退を熟考していたときふと頭に浮かんだ仮説を思い出したからだ。
あの開渠を流れる余剰水は
ここへ到達するのでは…
地図によれば、開渠から出ていった余剰水は恐らく暗渠によって別経路で発電建て屋付近に到達するように記載されている。


明確な記載はないが、当然水色の点線は富田川まで繋がっているだろう。その接点として考えられそうな場所に思えたのである。

県道から見下ろしている。
小屋の下には排出口があり、富田川に向けて流れるようになっている。
錆び付いたドアは開放されていて、内部には何もなさそうだった。もうかなり長い間うち捨てられているらしい。


間上発電所関連ではなく、富田川に固有かまたは川上ダムの直下にある川上接合井など工業用水道関連かも知れないが、 今となっては分からない。
まして早く着替えたいのが先で、斜面を降りて詳細を窺おうとも思わなかった。
この写真を撮影後、今度こそ車まで戻った。

元は神社の入口あたりまで歩いて引き返す積もりだったから、ポケットに入れていたのは大小のハンカチとデジカメ、替えのバッテリーと携帯電話だけだった。ズボンもパンツも大雨に遭った後のように汗でびっしょり。シャツは一旦汗まみれになりつつ少しずつ乾いている有様だった。
飲み水を持って行かなかったので喉はもうカラカラ。軽い脱水症状を起こしているらしく頭痛がした。
車を菊川地区のグラウンドに付属する駐車場に停めたのは賢明だった。駐車場のそばに手洗い場とトイレがあったからだ。[12:15:45]


車には半トレとTシャツを載せていた。
今回のために準備していたのではなく、日頃から出掛けた先でバドをすることになってもいいように予備の着替えを載せていたのが役立った。
もし着替えを載せていなかったら…この後どうなったことだろう

汗まみれでぐしょぐしょの服が気持ち悪い。デジカメなどを車へ置き、代わりにタオルと着替えを持って汗まみれの服を洗面所で水洗いした。


お手洗いの水だろうがそんなのは構わない。蛇口の下に口を持っていってガブガブ飲みまくる。外の暑さはどうにもならないが、乾いたTシャツが心地よかった。

もう一頑張りだ。今少し撮影しておきたいものがある。

お手洗いの裏側は富田川に面していて、河川への接近自体が危険だからか駐車場に沿って有刺鉄線付きのネットフェンスが張り巡らされていた。


発電建て屋からはお約束の電気音が聞こえている。
エネルギーを変換され役目を終えた水の排出口が観られた。


長方形をした排出口からは、やや泡だった水がゆるゆると流れ出ていた。


周囲の様子も含めてパノラマ動画に収めた。
[再生時間: 15秒]


もう、これだけデータ採取すれば思い残すことはないだろう。

ちょっと身体を休めよう。
この後に菅野ダムや徳山発電所の見学が控えている。むしろそちらがメインで、本日の踏査は始まったばかりなのだ。
よくやった…
我ながら、本当によくやったよ。
物好きにも
改めて今回の冒険劇を演じる直接のキッカケとなった国土地理院の地図で核心部分を眺めてみよう。


間上発電所は概ね標高40m程度の位置にある。緩衝池の標高がどの程度あるかを調べるのは中学生向けな地理の設問になるが、290m程度である。
好奇心にまかせて私は全線殆ど急勾配の階段で一気に標高差250mを登ったことになる。それも山あり谷ありの登山道ではなく、全線殆ど急勾配な階段だけで!
これは紛れもなく、一気に自分の脚で登りきった階段路の最高記録だ。

最上部にある緩衝池は制覇したものの、道中にあった謎の神社、余水吐から流れ出る開渠の行き先については未解決なまま遺されることとなった。
この日の踏査がここ一箇所だけで、間上発電所がアジトから近く気軽に行けるロケーションなら、時期と気候を見極めた上で再訪されることになるに違いない。

まあ、そこまで極めなくて良かろう。
周南地区にお住まいで、私のような奇特な趣向をお持ちの方が解決してくれるかも知れないし、中電関連のページで何か情報が得られるときが来るかも知れない…あるいは相当に時期が経ち、また探検の虫が疼いて拷問級な労苦も忘れ、自分の脚で再度赴くこともあろうか…(いや多分ないだろう…

駐車場に停まっている他の営業サボリの車たちと同様に、私も車をアイドリングさせてエアコンの強風を全身に浴びた。 環境に優しくないなんて言いっこナシだ。

エアコンの効いた車でしばし冷風を浴びた後、私は次なる本命の目的地である徳山発電所に向かったのだった。

時系列としては徳山発電所(東部発電事務所)の平成23年度見学会に続きます。

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