写真は発電建屋と背後に控える水圧鉄管。
広域地図を下に示す。
間上発電所は導水式で水力発電を行っており、向道ダム直下に設置された自社の向道発電所で発電を終えた水をそのまま延長4,875mの導水路[1]によって発電所上の緩衝池に導いている。
国土地理院の地図では緩衝池および導水経路が記載されている。
上水槽から先は水色の破線と実線が分岐するような表記がされている。実線部分は発電向けの水圧鉄管で、破線部分は余剰水を排出するための暗渠と思われる。
(詳細な調査を行っておらず現況は分からない)
《 特記事項 》
・向道ダム自体が歴史在るダムであるために間上発電所も県内では初期に造られた導水式発電所の一つである。着工が昭和13年3月、竣工が昭和15年10月ときわめて古い。[1]現在のダム水力発電ではフランシス水車が主流であるのに対し、間上発電所のタービンは半円形のお椀状のバケットへ流水を当てて回転させるペルトン水車が実装されているという。[2](もちろん見学することはできない)
・水圧鉄管に沿って歩くことのできた初めての導水式水力発電所である。一般の立ち入りが出来るのは、途中までが神社(夜川移神社)の参道になっているためである。
・発電を終えた水は間上逆調整池に貯留され、河川維持分を除いて工業用水として送り出されている。
地図で観ると逆調整池は古い川の跡のように見えるが、実際ここはかつて大きく蛇行していた富田川を付け替え、遺った三日月状領域を調整池としている。この用地取得に関して複雑な背景があった模様である。[2]
・導水路の途中経路の現地踏査は行っていないが、後述するようにGoogleストリートビューで地被りの浅い箇所に竪坑と思われる構造物が確認されている。
《 Googleストリートビュー 》
発電建屋から上部の水圧鉄管路。ストリートビューはこの場所で引き返しているためここからの映像のみである。
国道376号が富田川を横断する付近、周南市瀬戸兼にある隧道掘削時の竪坑と思われる構造物。
中国電力のプレートとフェンスの内側にグレーチングの掛かった桝らしきものが見えるため、現地へ行くことなく間上発電所の導水路竪坑であると断定できた。
この場所は向道ダム取水口からの導水隧道において最初の竪坑である。土被りが薄くなるこの場所を意図的に選定して両側へ掘り進み、竣工後は点検坑として遺したものと思われる。
ここより更に下流側、瀬戸兼の集落付近の山沿いにも破線が妙な経路を描いている部分があり、竪坑が存在するかも知れない。
《 関連記事リンク 》
軽い気持ちで立ち寄ったところから全く予期せず始まった無謀とも言える踏査。全8巻。時系列記事: 間上発電所・初回踏査
向道ダム下右岸側に設置された間上発電所向けの取水口。
時系列記事: 向道ダム取水口
※ リンク化されていない記事は制作準備中です。