ヤナギ

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記事作成日:2025/7/30
最終編集日:2025/8/17
ヤナギはヤナギ科ヤナギ属の樹木で、一般には細長い葉を蓄えた枝が下向きに垂れるシダレヤナギとして知られる。
写真は俵田体育館前の市道恩田野中線沿いに生えているヤナギ。


接近して撮影。


特徴的な細長い葉を沢山ぶら下げることでヤナギを知っている人は多い筈だ。


市街部の街路樹を観察してきた身として、ヤナギの樹は目に見えて減少していると感じる。それもマツのように気候の変化を原因とするものではなく人為的な伐採による。後述するように、どういう訳かヤナギは一時期積極的に街路樹として植え付けられてきたものの近年は「価値がなく管理が面倒な樹木」として扱われ処分されているように思える。一般的な項目は[1]を参照して頂くとして、以下では市内のヤナギに限定して記述する。他の地区でも同様のことが言えるかどうかは更なる調査を要する。
《 概要 》
ヤナギはかつて市街部の道路の端に植える樹木として多用されていた。提示できる客観資料を欠いているが、常盤通り・松山通りのような主要な通りに交わり両側に歩道を備えた花壇に植えられていたのが典型例である。歩道に建築ブロックなどで長方形に囲んだ中にあった。

昭和30年代末に撮影された市道明治町東新川線付近の航空映像。
緑橋通りと共に、道路の両側に等間隔で樹木が植わっているのが見える。


写っている街路樹がヤナギであるとは言い切れないが、このような感じで道路の両側にヤナギがあった。それは市街部の道路の割とありふれた風景だった。よく知られているように、現在では街路樹として植えられたヤナギは、少なくとも市街部には一本も遺っていない。冒頭のヤナギの事例は、街路樹としてではなく俵田体育館の敷地に植えられているものである。
【 何故少なくなったのか 】
気候の変化により枯れていって除去され少なくなった可能性がある。それ以外の考えられそうな要因として、車道通行の視認性の問題がある。ヤナギは細長い葉を垂らすので風が吹くと揺れて風流な半面、車道を走るとき前方の視認性が悪くなる。大きく育つと垂れ下がる枝も多くなる。道路に落ちた葉や枝は、雨が降ると路面にへばり着いて掃き掃除が面倒なのも理由にありそうだ。

他の樹種に置き換えられた事例があるとすれば、単純にヤナギの街路樹が古臭いイメージを持つからかも知れない。刈り取った後で何も植えずに歩道幅を広げている例が多い。昭和中後期よりマイカーが増加し、車道が整備される裏で歩道は花壇で狭い植えに自転車も追いやられた。歩道幅を2m以上確保して自転車通行可となる自歩道を整備するとき、樹木と一緒に花壇も撤去した可能性が考えられる。現在では歩道の一角を仕切って花壇を造ることがなく、樹木も新規には植えない。これはヤナギに限らないことであり、育つにつれて根が広がることで歩道のアスファルトを持ち上げるからである。

昭和59年(1984年)8月17日の宇部時報には、伸びすぎたヤナギの枝葉が信号機を覆い視認性が阻害されているという記事がある。ヤナギの葉の間から突然信号機が現れることで急ブレーキを踏むドライバーの事例が報告されている。[2]街路樹からヤナギがなくなったのはこれが原因だろう。
【 近年まで植わっていたヤナギの事例 】
この総括記事を作成している現時点では、初めて見つけたヤナギは画像採取している。それ以前の意識することなく道路を撮影した画像でヤナギが街路樹として写り込んでいるものは少ない。

写真は市道助田平原線の旧栄川ポンプ場付近にあったヤナギの個体。2009年12月撮影。


この他にも栄川を渡るまでの間に数本植わっていたことが判明している。起点付近で上を跨ぐ湾岸道路建設のための仮設道路付け替え工事にかかったこともあり、現在は一本も遺っていない。

一般の往来に支障がない公園などに植えられたヤナギも折に触れて除去される傾向にある。
これは真締川公園の樋ノ口橋に近い西岸側のトイレ近くにあったヤナギ。2023年10月撮影。


このヤナギも2025年7月にトイレ改修工事が行われた際に伐採された。
保全ランク
観察された範囲で市内の個体に対する評価である。
ランク呼称概要
3脆弱それほど豊富ではなく、将来的な減少が予測される。
水気のある場所を好むため、人の手が加わらない溜め池や沼地の畔に自生している。そのようなヤナギがすぐに減ることはないが、将来的に溜め池が埋め潰され宅地開発されていく傾向があり、今ある以上に増えることはおよそ考えられない。
《 ヤナギを含む地名について 》
一般にヤナギは下に垂れるものを柳、立ち上がる種のものを楊と書き分けられる。市内の地名で観測されているのは、もっぱら柳のみである。

代表的な地名として、西岐波区の柳ヶ瀬(やながせ)が挙げられる。ただし瀬の文字を伴っていることから、柳ヶ瀬は川縁に育った柳という意味の他に「梁漁を行った浅瀬」の可能性もある。西岐波3区の自治会名として存在し、国道190号に柳ヶ瀬バス停がある。宇部線には柳ヶ瀬踏切(16K867M)が知られる。


現行の地名ではないが、市街部にかつて柳町(やなぎまち)が存在していた。どの辺りが柳町だったかは現在となっては分からない。柳町がかつて遊郭として栄えた「東の老松町、西の桜町」の老松町に近いことから、花柳界から命名されたのかも知れない。

柳町が明記された史跡や電柱プレートなども含めて何も知られていない。現在では僅かに市道柳町線という認定市道の名称に遺っているのみである。
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - ヤナギ

2.「FB|宇部日報社のタイムライン

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