荒滝山

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記事作成日:2017/3/5
最終編集日:2019/5/15
荒滝(あらたき)山は、東吉部にある宇部市の最高峰である。
写真は吉部ふれあいセンター付近からの遠景。


山頂部をポイントした地理院地図を示す。


宇部市のホームページに写真付き記事が掲載されている[1]ので詳細はそちらを参照されたい。ここでは上記を補完する内容および実地に調べた情報を記述する。

荒滝山は宇部市の市境を辿ったとき北側の壁に相当する高い山地の東の端にあたる準単独峰である。西から岡山日ノ岳と400mオーバーの峰が連なり、荒滝山をもって山地が厚東川により分断されている。
総括記事を作成する現時点で宇部市の最高峰である。標高は459mで、西側にある日ノ岳よりも僅かに高い。
荒滝山による市最高峰の更新は平成16年に厚狭郡楠町を編入したことによる。それ以前の宇部市の最高峰は小野地区の平原岳であった。

吉部富士との別称もあるように、遠方から眺めて良し登って良しの秀麗な山である。楠町編入前の宇部市民にはあまり馴染みがない山だったが、すぐにその景観が評価され現在では知名度のみならず登山経験ある市民もかなり増えている。

後述するように登山需要の多さから登山道が整備され、比較的短時間で山頂を目指せるコースと麓からじっくり登山行程を味わえるコースがある。
山頂からの眺めのみならず、道中には奇岩や戦国時代の要塞の跡など見所が多い。山頂には明治天皇の銅像が設置されているが、これは地元在住者が協力して県道から担ぎ上げ登山し設置されたものである。
《 登山ルート 》
実地に踏査したコースのみ記述し、それ以外のコースは将来的な記述のために項目のみ設置している。
【 犬ヶ迫コース 】
県道美祢小郡線から市道に入り犬ヶ迫駐車場より登り始めるルートである。
駐車場はトイレが整備されており標高170m程度の地点にあるため、山頂までの所要時間も短くて済む。労力を軽減させて山頂からの眺めを愉しみたい現代人向けのもっとも安泰なコースと言える。

道中は道標が整備されていて迷う心配はないが、駐車場から山中に向かうまでの間は私有地が多く、不用意に立ち入らないよう配慮が求められている。[1]
また、私有地ではないが駐車場を出てすぐ登山道とは反対の左方向へ進む道があり、その先は市の設置した作業用林道となっている。開放すると一般車両が山頂かなり近い場所まで侵入してしまうため立入禁止の札が掲示されている。
下山ルートとして使えるかは関係部署に問い合わせを要する
前半は杉林の中を進み少しずつ高度を上げていく。後述する荒滝コースと合流後はジグザグに進みつつ高度を稼ぐ行程となる。登山途中の眺めもかなり良く、犬ヶ迫駐車場に停め置いた自分の車が豆粒のように見える。
【 荒滝コース 】
県道小野田美東線沿いの荒滝集落から登り始めるルート。未調査。
荒滝地区は厚東川沿いにあるため、殆ど高度ゼロに近い位置から丸ごと荒滝山の標高を自力で登り切ることになる。
【 今小野コース 】
県道東吉部秋吉線から登り始めるルート。未調査。

この他に日ノ岳より縦走して荒滝山へ至る周回コースが整備されている。
《 対処が望まれる事項 》
荒滝山への登山と現地の登山口まで到達するにあたって問い合わせを要する内容と問題点をまとめている。一部、荒滝山以外の周辺にみられる史跡に関する問題も含まれる。

情報以下の記述には行政への提言や疑義事項などが含まれます。問題が解決した折には該当項目を削除します。
【 山頂付近にある「くぐり岩」について 】
[1]によれば、山頂付近に巨大な岩と岩が近接している「くぐり岩」があると紹介されている。確かに山頂付近にはくぐり岩を案内する標示板がみられる。


しかし2度の登山にもかかわらず未だに写真のような「くぐり岩」を見つけることが出来ていない。特に2019年の登山時では、標示板にしたがって右側の分岐路を進んだところ、くぐり岩どころか急斜面で滑落しかねない荒れ道に迷い込む事態になった。案内板の見直しが望まれる。
【 犬ヶ迫駐車場までの市道整備について 】
県道美祢小郡線から分岐して犬ヶ迫駐車場へ至るまでは幅員の狭い道を延々と進まなければならない。この道は途中に離合できる場所が1ヶ所しかなく、先方の見通しが悪くガードレールも設置されていない。本件については以下の市道記事を参照。
派生記事: 市道大平線|問題点
犬ヶ迫駐車場は車が10台程度駐車可能でありトイレも設置されているだけに、県道からのアクセス路の貧相ぶりが目立つ。殊に休日の午後などは登山者と下山者の車の鉢合わせが起きていることは想像に難くなく、狭い道をバックする事態が頻発していると想像される。谷側にはガードレールがなく、バックで転落すれば重大事故に繋がる。
【 下山時における城山作業道の一般利用について 】
犬ヶ迫コースでは駐車場を出て最初のT字路を右へ向かうようになっている。この左側にも道がある。左側の道を更に進むと再び分岐し、私有地(車の乗り入れ禁止)と市の整備した城山作業道に向かう。

作業道は恐らく林野整備のためのもので、荒滝山の山頂にかなり近い北側標高350m程度のところまで伸びている。道中はある程度の重車両が通れるようにコンクリート舗装されている。入口部分には四輪の進行を禁ずる標示があり、これと競合するが立入禁止の掲示がされている。この作業道を一般利用できないかという提案がある。

例えば犬ヶ迫コースから荒滝山を征服し、その足で日ノ岳へ縦走したとしよう。作業道は荒滝山の北側へ回り込んでいるために(現地確認はしていないが)日ノ岳の縦走過程で作業道を横切る筈である。日ノ岳を征服して帰路に就くとき、疲れていて早く下山したいと考えるだろう。現状では再び作業道を横切って荒滝山まで戻り、登山道をそのまま引き返すようになる。作業道は荒滝山と日ノ岳の鞍部となる標高300m程度のところを通っているため、日ノ岳から150m下ってまた荒滝山まで登り直すこととなり、道のりも数キロに及ぶ。他方、鞍部から作業道を通って犬ヶ迫駐車場へ降りるなら僅か800m程度で到着する。そのような目的での通行を容認できればという意味である。

恐らく林業向けに整備された道であり、作業時は関係車両も出入りして危険なため登山者を入れたくないのであろう。それらの作業に支障がなければ、下山時にこの経路を使って犬ヶ迫駐車場へ戻る用途を認めて欲しい。また、可能ならこのルートから登ることも容認しても良いのではないだろうか。
車で乗り入れれば道が荒れるし駐車位置も確保できないため禁止すべきだが、徒歩で手早く荒滝山の山頂へ到達して景色を眺めたいという向きもあるあろう。林業向けに整備された道だからと用途制限するのではなく、利用可能な道は最大限リソースを提供した方が良いのではないだろうか。[3]
【 犬ヶ迫にある犬ノ墓史跡について 】
荒滝山ではないが、同じく[1]のマップには犬ヶ迫地区に犬ノ墓と呼ばれる史跡が記載されている。吉部地区の郷土マップにも記載されているのだが、史跡はイノシシ避けの鉄柵で囲われた中にあって一般来訪者が近づいて見ることができない状態となっている。2019年来訪時に地元在住者に尋ねたところ、犬ノ墓の史跡は個人の敷地にあるから訪れてはならないと言われた。

史跡とは言っても私有地にあるなら、たとえ史跡が目的であろうが外部からの来訪者が勝手に入れば不法侵入である。現地の方がたまたま外に出ていらっしゃれば声を掛けることも可能だろうが、常にそれが可能であるとは限らない。見ることが出来ればラッキーという状況を願う以外ないのだろうが、史跡マップに掲載されていながら一般来訪者が自由に見ることができない現状に納得いかないものを感じる。現地の所有者に責任がある訳ではないのは明白だが、私有地に存在する史跡に対して、行政として取り組むべきことは何もないのだろうか。

同種の理由で、現地まで行きながら調査することができず諦めて帰ることとなった事例が極めて多い。もしかして史跡の管理者は郷土に関して多くの人に知って欲しいと願っているとすれば残念なことである。個人的には(常々言っているように)「興味を持って訪れた人々が自由に見ることができない史跡は、どれほど重要なものであろうが存在していないも同然」と考えている。
出典および編集追記:

1.「宇部市|荒滝山(北部・農林振興部 北部地域振興課 地域振興係)」

2.「宇部市|荒滝山(観光・シティプロモーション推進部 観光・グローバル推進課 観光・グローバル推進係)」

3. ただしいくら道中がコンクリート路で整備されていても普段人が通行しない道を通ればイノシシ等との遭遇確率は高くなる。狭い登山道でも人が経常的に歩くなら野生動物は学習して出没していないということもあり得る。
《 個人的関わり 》
東吉部地区自体訪れたのが2年前のことであり、荒滝山自体も初めて登ったのは2016年のことであった。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

《 地名としての荒滝について 》

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