写真は経路途中の撮影。
ルートラボを示す。
(終点位置が違っている点については後述する「近年の変化」を参照)
県道の分岐点に荒滝山登山口の案内板が出ている。
この標示の通り、本路線の起点は荒滝山の犬ヶ迫登山口[1]であり、道中にある登山者向けの犬ヶ迫駐車場までの経路として通行されることが多い。しかし登山者向けの専用路線ではなく終点付近には一般の民家も存在する。
全線アスファルト舗装されているが、幅員が極めて狭く軽四でも所定の離合所以外での離合は不可能である。
起点から進入した場合、進行方向の右側が山の急斜面で左は低い位置に田畑がある。地方部の一般認定市道としては相応な規格かも知れないが、荒滝山の登山者が多くなり往来需要が増えている現状では改善すべき余地がある。(後述する)
登山者は犬ヶ迫駐車場[1]に車を置いてここから先は歩く。しかし市道の終点はこの駐車場ではなく更に先にある。
駐車場を後にして坂を登ると民家の前でT字路となる。ここが本路線の終点である。
本路線の終点としては民家のT字路であるが、この場所まで乗り入れられる車輌は民家の在住者および林道関連の作業車に限られる。登山者が車を乗り入れて駐車することはできない。
本路線の経路設定に関する背景は分からない。楠町道だった時代からの道と思われる。犬ヶ迫駐車場およびトイレの整備はごく近年のことらしい。[1]
《 問題点 》
平成初期に吉部地区が宇部市へ編入されたことにより、宇部市の最高峰が荒滝山に移った。これを受けて犬ヶ迫駐車場へ車で行き着ける登山者が増加している筈である。ところが本路線は全区間において幅員がきわめて狭く、四輪が離合できる場所が途中に1ヶ所しかない。見通しが悪く先方から下山する車両を視認することが困難である。片側は低い位置に田畑がありながらガードレールが設置されておらず、転落すると重大事故に繋がる。(後述するストリートビューの画像で検証可能)
県道入口の案内板は整備されているので荒滝山登山口を見落とす心配はないが、この道の狭さは初めて車で荒滝山犬ヶ迫コースを訪れる人を困惑させている。とりわけ犬ヶ迫駐車場は広々として車が10台以上駐車可能で新しいトイレも設置されているだけに、そこへ至る市道の貧相さが際立っている。路面の舗装も2019年春に訪れた時点では傷みが酷く未舗装路並みだった。
市道のすぐ下が高低差のある田畑で片側は露岩の目立つ斜面なので、本路線自体の拡幅は極めて困難である。差し当たっては道中の山側に余裕がある場所を利用して待避所を増やすことが求められる。
《 Googleストリートビュー 》
狭い認定市道でありながら終点までの全線が採取されている。県道分岐となる本路線の起点の映像を示す。
四輪がやっと通れる幅の道で右側が露岩、左側は落差のある田畑でブラインドカーブが多いことが分かる。
《 個人的関わり 》
荒滝山の犬ヶ迫コース経由として車で通ったのが初めてである。狭そうな道であることは県道分岐地点から分かっていたが、道中は薄暗く路面もかなり荒れていた。車で通ったので駐車場到着までの間の写真は(これほど狭い道とは予想もしておらず慎重に運転していたため)撮っていない。市道名の一覧は把握していたものの、認定市道であることを知ったのは登山後に再度経路を市道路課線管理課で調べてからのことであった。
《 近年の変化 》
「うべ情報マップ」から認定市道の名称や経路を調べられるようになった。ここで本路線を調べたところ、終点位置が上記のルートラボに記載された通りではなくT字路のところになっていた。ルートラボによるT字路より左折して更に先を終点としたのは、市道路課で閲覧した台帳によるものである。Google ストリートビューでもT字路のところまでのデータのみを映像採取していることから、元々T字路が終点で台帳の記載は誤記であった可能性がある。初回調査ではT字路を左折して作業道入口まで撮影していたが、この総括記事からは該当部分を削除している。
《 地名としての大平について 》
東吉部村相当の小字絵図のデータがないので詳細は分からないが、大平(おおびら)は本路線の起点周辺の小字と思われる。終点少し手前にある荒滝山登山者向けのルートは犬ヶ迫コースと呼ばれているし、終点付近から山中に向かう林道は城山作業道という名称がついていることからの推察である。地名明細書には東吉部村の犬ガ迫小村に大平(おおびら)の表記と読みで収録されている。認定市道の名称も「おおびらせん」と振り仮名が記載されているので、現在も同じ読みで継承されているようだ。
大平という地名の由来は明確ではない。山間部であり平坦な地が広大に拡がっているわけではなく、この平は平原と同様に傾斜地の義かも知れない。今のところその他の地区に大平という地名は確認していないし、この地名を標示する構造物などもまだ見つけられていない。