亀浦公園

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現地踏査日:2012/9/9
記事公開日:2012/9/23
注意この記事は現地踏査時の記録を元に作成されています。一定期間経過後は現地の状況が変わっている可能性があります。

県道宇部空港線沿いには公園が多い。秀麗な宇部空港内にある緑地をはじめ、草江には昔から児童公園があるし、かつての鍋島に近い場所には丸山公園がある。後者の2つは空港付近の埋め立て以前から存在していた。

これに対し亀浦公園および付随するグラウンドは後発で、県道の海側が埋め立てられた後に造られた。
公園およびグラウンド入口の位置図を下に示す。


亀浦公園は亀浦グラウンドと一体化しており、県道から車も乗り入れられる広い入口がある。
ただし普段はこのように門扉が閉じられている。


詳細はよく分からないが、亀浦公園グラウンドは体育関連施設の一つとみなされているようで、利用するには申し込みが必要らしい。
しかし門の横は人が通れる程度の隙間があり、散歩がてら中に入るのは自由なようだ。


自転車は歩道へ留め置いてちょっと偵察しに入った。
門の裏側から撮影。進入路ながら幅が充分に広く、車道と歩道も分離されている。


グラウンド利用者向けの駐車場。
舗装は新しいし、排水用の側溝も整備されている。ゴミ一つ落ちておらず、同じ人工的な景観でも見ていて気持ちが良い。


歩きだったので現地まで行きはしなかったが、駐車場の一角にトイレも設置されている。その奥が真砂土の敷かれたグラウンドだ。これほどの広さなら地区対抗のソフトボール大会にも充分対応できるだろう。


ここまではまことに管理の行き届いたグラウンドだった。
問題は…
そのすぐ東側にある亀浦公園なのである。

以前、丸山公園の記事を作成したときこんなことを書いた:
> 見たところかなり寂れた公園の様相を呈しているが、もしかすると丸山公園はなくなってしまうのでは
ないか
と思う。それと言うのも隣接して亀浦公園の整備が進んでいるからだ。
> まだ整備途中のせいか亀浦公園の県道に面した入口は閉鎖されている。公園の機能が異なり利用者が
> 使い分けるならまだしも、普通なら既存の公園に隣接して新規に造らないものである。
> (目と鼻の先に宇部空港の広い公園もあるというのに…
ところが…

後日亀浦公園を訪れてみて、整備されているどころではない酷い状況であることに気付いた。
工事中かと思われた亀浦公園は、何か理由があって整備が中断されたか完成途中で放棄されたような状態になっているのである。

公園の入口部分。
車の侵入防止にステンレス製のポストが立てられている。カラー舗装はグラウンド入口のものと同一で、ほぼ同時に施工されたらしく新品同様だ。


亀浦公園のモニュメント。
ちょっと洒落た形をしている。恐らく亀浦の「K」をイメージしているのだろう。


しかし…どうも状況がおかしい。
完成した公園なら、工事現場に特有の垂木の杭とかトラロープを完全に撤去して一般公開されている筈だ。それが入口部分にそのまま遺されている。
そのモニュメントの向こうには既に廃の領域へ引きずり込まれようとしている設備が見えかけていた。

ベンチの集まった一角には自然の材木を組み合わせた柱が建っているのだが…屋根がない。こういうデザインなのかも知れないが、これでは日差しを防げない。後からフジを絡ませて藤棚を造ろうとしたのだろうか…
下のタイルの隙間からは雑草が勢いづいている。たまたま夏場で秋になったら除草整備する前だったのだろうか…


では、このベンチはどうだろうか。
ちょうどグラウンド駐車場に背を向ける形で設置されているのだが…


座板部分が朽ちている。


座る部分は昭和中期に流行った冷たいコンクリートとか粗末なプラスチック製などではない。自然木を加工して造られた本格的なベンチだ。しかし表面の防水加工や防蝕処理をしていなかったせいか、自然木であることが裏目に出て朽ち始めている。

これなどもっと酷い。
座板のほぼ全部が腐食しているし、恐らく設置されてからろくに管理もされていないのだろう。すぐ上を灌木が生い茂っていて座れる状況ではない。


一体、どうしたことだろう…

昔からあった公園が寂れて朽ちていくのならまだ理解はできる。入口のカラー舗装からして傍目にも最近造られ始めた公園に思えるのだが、新規に設置したベンチなどがまったく活用されることもないまま朽ちて自然へ還ろうとしているのだ。

公園らしき一角は途中で消えてその先は農道のようになっている。散在する低木と草地だが、まだこの方が自然に思える。


この先は以前、丸山公園の裏手から降りたこの場所だ。
自然な草原に見えるものの昔は砂浜だったことが分かっている


公園と言っても設置されているものは屋根のない藤棚擬きと朽ちかけた木製ベンチ、それから亀浦公園であることを喧伝する不相応に洒落たオブジェだ。
なまじ入口に公園名を明示したオブジェが置かれているだけに今ある中途半端さが痛い。

自転車の元に引き返す。
公園入口部のスロープは真砂土で盛って県道歩道部との段差を埋める予定だったらしい。しかしその部分は舗装されず真砂土のままだ。


公園にありがちな水飲み場も、どういう訳か入口に対して斜めに据え付けられている。いや、これは正規に設置されたのではなく単に放置されているだけと言えるだろう。
水道メーターは見えているが水が出るかどうか確かめなかった
工事現場っぽいトラロープが張られているし、コンクリート部材も放置されたままだ。


まさか廃物扱いにもできまいが、こんな状態なら利用する人はまず居ないだろう。工事途中なのか管理放棄されて相当な期間が経つのか、いずれにしても「残念な公園」と言わざるを得ない。

この記事をかくにあたって検索で調べたところ、どうも亀浦公園とグラウンドは市の直接管理から離れて指定管理者に委託管理されているようだ。
「宇部市|亀浦公園周辺施設管理業務委託」
http://www.city.ube.yamaguchi.jp/machizukuri/boshuu/keiyaku_kouhyou/167_2/shimin_shisetsu/kameura.html
恐らくグラウンドの方は利用者が多いためよく整備されているものの、亀浦公園本体はすぐ近くに空港の公園があって利用者が僅少なため、顧みられない状況になっているのだろう。

このような公園の現状が一般市民の目に触れたとき考えられる最初の反応は、真っ当な公園管理が行われているのかという声だろう。
最初は健在だったベンチなどが全く手入れされないために今の状況になったとすれば、管理者側にも責任なしとは言えない。しかし普通に考えるならまず次の疑問がわき起こるのである。
そもそも、ここに公園が必要だったのだろうか…
隣接して丸山公園が存在するし、広くて新しい方が良いなら空港に充分過ぎるほどの公園がある。亀浦公園とグラウンドは両者の間を埋めるように存在している。
更に調べると、ここは以前は埋め立て地で市の環境保全センター施設課の所有地になっているらしかった。公園緑地課の管理ではないらしい。広い敷地ができたので何か有効活用したいという過程で公園とグラウンドになったようだ。
穿った見方をすれば…公園を造ったものの管理が回らなくなって指定管理者へ丸投げ…なんてことはないだろうか

埋め立て地を草地にする整備は理解できるにしても、後々でメンテナンスが要るベンチや東屋をコストかけて設置する必要があったのか疑問だ。特にグラウンドは近くにないので需要は考えられるが、公園はすぐ近くに存在する。それでもなお公園を造って欲しいという要望があったのかその辺りの事情が分からない。

遺憾ながら駐車場側にあるベンチは座板を交換するか撤去する以外ないだろう。あまりにも腐食が酷く補修では対処しきれない。それも使い込まれたが故の老朽化ではなく、新品なのに殆ど活用されないまま朽ちていったという哀しき末路である。
今の状況は少なくとも2〜3年前からだったと思う。初めてここを通ったときは確か入口にもトラロープが張られていた。現在まだ整備中なので完成し一般公開された時点で撮影しようと思っていたのだが…

多分、ふらっと訪れた外部の人々には分からない何かの事情があるのだろう。それらが分かり次第追記しよう。
【追記】(2012/10/2)

亀浦公園の成り立ちについては今なおよく分かっていない。
隣接する亀浦公園グラウンドについて、あれほど立派な駐車場つきグラウンドを整備しておきながら入口の門扉が施錠され一般来訪者が使用できないことに関して批判が起きている模様だ。

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