菅野公園【2】

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(「菅野公園【1】」の続き)

Google ストリートビューによって導かれた菅野公園の一角…そこは公園の敷地内でありながらおよそ公園とは無縁のエリアだった。何を思ったのかストリートビューの撮影車は行き止まりである筈のこんな枝道に入り込んで映像採取していたのである。

ストリートビューの映像ではダブルトラックの双方とも水浸しのぐちゃぐちゃ状態だったが、最近天気が続いているせいかいくらか乾いていた。


枝道の右横と正面に何やらネットフェンスで囲まれた部分がある。
この辺りから足元が酷く悪くなっていた。


ストリートビューではフェンスの内側に正方形状の桝のようなものが見えていた。
定期的に訪れメンテナンスする設備ではないらしく、ストリートビューの映像かそれ以上に酷く藪に包まれていた。


ストリートビューの映像は私のカメラよりも精密で上半分の天空までサポートしているが、最初されている画像は限定されている。私のカメラは場所を変えて精密に撮影できるが画質は悪い。その分を補って少しでも状況をお伝えできる写真を撮りたかった。

しかし…現地の環境はもはや最悪レベル。あまりにも日射が強すぎる。どうもこのデジカメは光の強弱が極端な場所になると忽ち弱さを露呈してしまう。普通にカメラを構えると日が当たらない場所は殆ど真っ暗になるのに日の差す場所だと白く飛んで何を撮ったやら分からなくなる程に光量の落差が大きかった。光の強弱の領域が同程度になる位置を見つけなければ目で見えているのと同じような画像が撮れなかった。この現象は以前から気になっていて欠陥ではないかと考えていたが、どうやらこれが安物のコンパクトデジカメの限界だろう。

それに加えてこの場所に限っては異常な暑さと湿度の高さに苦しめられた。足元は大変に水気が多いため、気温は30度オーバーながら湿度も高い。たちまち玉の汗が噴き出てきた。それほど湿度が高いので、お約束のヤブ蚊も酷かった。二酸化炭素を排出する二本足歩行生物をいち早く察知し、大群で押し寄せてきて献血してくれとせっついて来る。いくら振り払っても鬱陶しい羽音が耳元へ纏わり付く。ゆっくりとカメラを構えている余裕がなかった。
それでも日焼け防止の腕カバーをしている分だけこの場面で役に立った

ここは後回しだ。帰りに撮ろう。それに見たところ奥にあるものと同じもののようだ。

枝道は少し登りになって同様のものがある部分の真正面に到達する。
ストリートビューの画像はここで終わっていた。


謎の物体の正面やや右側を撮影している。
建屋がないだけで、有刺鉄線付きのフェンスで囲まれている造りは先ほど広場で見たものと似ている。


フェンス門扉がある側はツタ系の植物がへばり付いていて内側がよく見えなかったので、側面に移動した。

網目越しに撮影している。何やらとてつもなく大きなステンレスの蓋が架かっているように見えた。
端の方には小さな桝のようなものがついている。


枝道自体はこの謎の囲いフェンスの部分で行き止まりになっているように思われた。しかし両側が少し空いているので念のため先に道がないか踏み込んでみた。そのとき…
ガサッ…ガサガサッ…
フェンスの内側に蔓延っている雑草が大きく揺れた。フェンスがあるからそれが何であろうがすぐ自分に突進してくる心配はないにしても驚いて後ずさりした。
野ウサギだ…
毛並みがバニラ色をした典型的な野ウサギだった。チョー可愛い♡。そいつはきょとんっとした表情でこちらを見ていた。フェンスの中ならそう簡単には逃げられまい…近くで撮影できるかも知れないと思いつつ再びフェンスに接近した。
彼(彼女?)はこちらに一瞥を加えるや脱野兎(?)の如く森の方へ走り去った。奥にもフェンスがあったのだが、まったくものともせずその下をサッとくぐって。ほんの一瞬のことでカメラが全然間に合わなかった。この場所へ来て初めて少しばかり和んだ場面だった。

フェンスから奥は水気の多い沢地になっていて、歩いて進めそうな山道もなかった。本当にここで行き止まりらしい。

巨大な桝らしきものにある小さな蓋は、端の方にだけ並んでいた。
視座が上がる分だけ観察しやすかったが…ここは本当に羽虫などが酷い。
知らないうちにレンズにも留まっていたらしい


ズーム撮影する。
上部に取っ手がついている。これは一体何だろうか…


立ち止まって考えている暇はない。もしこの場所で失神して小一時間くらい肌を露出して倒れてしまったら、ヤブ蚊どもに血液を全部吸い尽くされてしまうのでは…と思えるほどなのだ。

少しでも地面が乾いている場所へ移動する。
Google ストリートビューの車も入ってきて転回したと思われる場所はコンクリートの地面だった。


さて、ここまでヤブ蚊と格闘しつつ撮影してきながら私は未だにこの正体をつかめずにいた。あまりにも手がかりとなるものに乏しいのである。標示板はもちろん何かの数字や記号が書かれたもの一つさえ見つからない。菅野公園の一角とも言える場所であり、ここもキャンプサイトなのだろうかと思って立ち寄った来訪者の一人や二人はある筈だ。しかしありがちな立入禁止を明示した立て札さえ見当たらない。ただ、上部の有刺鉄線は内部への不用意な侵入が深刻な事故を起こす可能性を示唆しているように思われた。

あの小さな蓋が付属している辺りに何かあるかも知れない…先ほどズームで窺った場所だ。
写真で観る限りフェンスの向こうは草が刈られていて接近に何の困難もなさそうに見えるだろう。実はそんなに容易ではなかった。

この場所である。今立っている場所はそれほどでもないが、途中で草地ながら周辺一帯が水浸しで下手をすると靴全体がハマッてしまう程地面の緩い場所があったのだ。


再びフェンス網目越しの撮影。
どうだろうか。正体を調べる上でいくらかは参考になりそうだ。


大きな長方形をしたエリアは一枚モノのステンレスか何かの鋼板で覆われていた。しかし側面の一部にコンクリート部分が見えている。そこには排水か空気抜きかの目的でパイプが刺さっていた。鋼板はコンクリート部分に合わせて誂えている。
端の方にいくつか並んでいる取っ手付きの蓋は単に載せてあるだけで南京錠はぶら下がっていない。30cm角程度の大きさしかなく点検用の人孔にしては小さすぎるので別の目的の蓋だろう。

Google ストリートビューの映像からでも何となく感触は掴んでいたが、どうもこれは何かの水槽らしいと感じた。上部が剥きだしでは塩梅が悪いので丈夫な鋼板で覆ったのだろう。何故塩梅悪いかは…いろいろ想像が巡るが後でまとめて書くこととして…
周辺が嫌に水浸しなのも理由が分かった。犯人はまさにこの水槽らしきもので、一部のパイプから水が流れていた。周囲にキチンとした排水溝が整備されていないため、複数箇所のパイプから流れ出た水が周囲の草地をまったくランダムな湿地帯へと変えていた。

この他に現地で見つかった人工物と言えば…直方体をしたコンクリートの部材くらいのものだった。
中央に穴が空いているのでこれは余ったネットフェンスの基礎玉である


車の方へ戻りながら枝道の途中にあった分も調べた。
恐らくこちらも同じ構造だろう。ただ、上に乗っている蓋の厚み部分がちょっと異なる。


別のアングルから撮影している。相変わらずヤブ蚊がせっつくので早々に切り上げたかった。
藪の中に苔だらけの円筒形のコンクリートが見えた。これは車を停めた広場で最初に見つけた建屋の傍にあったものと同じだ。


こっちの方は周囲の藪化がとても酷くて枝道側以外の何処にも接近できなかった。それでも素性をある程度掴むには充分だった。どう見ても何かの水槽だ。こちら側にはパイプからではなくコンクリートと鋼板部分の隙間から水があふれ出ていた。それほどの量ではないが絶え間なく流れ出る水で苔が育っていた。

Google ストリートビューの撮影車が轍を掘りながら侵入するほど枝道が緩い理由はこれだった。
排水処理がされていないため、余剰水が枝道部分を伝って低い方へ流れていたのである。


ここは菅野公園の中でまるっきり管理されていない場所なのかと思えば、そうでもなさそうだ。
花見の時期を想定してかサクラの樹が植わっている。そして枝道に沿った樹木の周りはキチンと下刈りされ雑草が寄せ集められていたからだ。割と最近のことらしい。


したがってこのエリア自体は立入禁止どころか菅野公園の一部として来訪者が立ち寄ることも想定されている。それでありながら広場にあったコンクリート建屋や枝道の奥の水槽らしきものは管理者のみ知る案件らしく、その正体を明らかにすることもなく藪の中に隠れていたのだった。

以上、ここまでだ。ヤブ蚊の追跡を振り切るように車へ戻りアイドリングしつつエアコンを効かせた。
こんなに車内が暑いので携行していた保冷剤の効力も薄れてきた。


2本目のボトルお茶を飲みつつ残っていたパンをかじった。時間をかけてじっくり撮影しているように見えて、県道を外れて菅野公園へ車を移動開始してから上のショットまでの経過時間は僅か20分だった。
現地撮影するのは大抵ほんの僅かでそれらをまとめて記事化するのにその数十倍もの時間がかかるのである

菅野ダム関連はこれで終わりだ。時刻は午後2時半。菅野ダムから徳山発電所までの移動を30分みていた。見学会に間に合わせるには午後4時までに行けば良いのだが、そろそろ暑さ疲れを感じてきた。日没まで目いっぱい動き回るのではなく早めに帰ることも念頭において菅野公園を後にした。

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時系列レポートは以上である。Google ストリートビューが採取したデータだけでもそれなりの分析は可能で、飛び抜けて興味を覚える物件という意外性はない。菅野ダムまで来たから立ち寄ったというだけだ。
ここで時間軸をアジト帰宅以降に移す。これが何であるかの推測がついた代わりに、各種データを援用して分析している途中に新たなものを見つけたのである。
《 帰宅後の分析と新たな発見 》
当サイトの初期だったら、さてこれは一体何だろう…と考えられるものいくつかを推測していただろう。今や身の回りにある不思議なものを沢山観察して経験値も上がったので、多分これだという候補をほぼ一つに絞り込むことができる。

関係者に尋ねたとか裏付け資料が取れた段階ではないが、これは山腹の湧水の量や水脈の高さを計測・制御するための浸透井戸のようなものと予想している。後述するように類似する機構を実地に見たことがあるからだ。

現地は明らかに水気が多い場所だった。通常はそのような場所でも沢地に水が集まり川に向かうものだが、道路を通すなどで人為的に掘削したために湧水が目立ち始めたような場所は、その影響を評価する目的で井戸状の竪坑を掘削する。市外の近隣地域にそういった水位計測の井戸を2ヶ所見つけている。[1]

竪坑は不用意に近づいて転落すると大変危険なので、上部は容易に動かせない金網を載せるなど厳重に管理されていることが多い。この場所に長方形状の鋼板が掛けられ有刺鉄線付きのフェンスで囲まれているのもそれが理由だろう。端に付属していた蓋のようなものは点検用のものと思われる。恐らく内部は湧水が溜まっているだろう。
現地では同様のものが沢の先端部に2ヶ所造られていて、やや離れた広場にはコンクリートの建屋があった。建屋には電源線が引かれていたのでそこまで埋設管で誘導しポンプで汲み出しているのかも知れない。

菅野公園の一角にあるので、恐らくダム建設と無関係ではない。この場所を調べる前に訪れた菅野公園の下にはグラウト横坑があったから、ダム管理事務所のある左岸は堅牢だが右岸側はそれに比べて岩の質が弱く補強を要したのだろう。
【 未確認の物件 】
ダム関連の機構ならば、菅野ダムが竣工した時期から存在していた筈である。過去の一点に戻るには今でも国土地理院の航空映像が有効である。これを用いて菅野公園の辺りを調べているうちに、別の場所へもっと大きく目立つ「訳の分からないもの」を見つけてしまった。

これはレストハウス近くの上空からのYahoo!航空映像である。
周辺部を同時に眺められるよう大きめのサイズに設定している


レストハウスの北側にマルに十字の入った形の何か()が藪の中に見えかけている。昭和49年度版の航空映像ではより明瞭に大きな井戸のように写っている。[2]
遺憾ながらこの異様なものに気づいたのはアジトへ帰って現地の航空映像を閲覧したときだった。時系列レポートの通り、レストハウスがある側は最初ちょっと車を移動しただけで周囲を殆ど観察していなかった。

それがあると思われる場所の Google ストリートビュー。
右側に荒れた未舗装路の枝道が見えている。


航空映像ではちょうどこの辺りから森林部分を直線上に剃り落としたような痕跡が見える。これは家庭用の配電線を引いた線上を樹木が抵触しないよう刈り取った痕跡である。この配電線は現地でも確認していた。

位置的にはこの枝道の先にある筈だが、さすがにそこまで撮影車は入っておらず詳細は分からない。また、立て札が写っているのだが経年変化で色褪せており何と書いてあるか読み取れない。通常操作の Google ストリートビューでは右下のマイナスボタンを押すことで上空から俯瞰図に移行できる。
ただし埋め込み画像ではボタンが機能しないし俯瞰図そのものを埋め込むことも出来ない

この円筒形のものはかなり大きいらしい。地図スケールと照らし合わせれば直径が20m近くありそうだ。私が見たことのある先述の浸透井戸は直径が精々10m以下だった。しかし形状からすれば恐らく同じものと思われる。
他の可能性としては、ダム建設するときに造られたコンクリート打設作業で必要なバケットを吊す基礎の遺構かも知れない。最近のダムでは跡形もなく撤去されるのが常だが、古いダムではダムの両岸高い場所に取り残されている場合がある。[3]ただしダム堰堤からは離れているのでこの可能性はかなり薄い。

この先暫く菅野ダム方面へ行く予定はない。今年は菅野発電所が管理道の被災で見学中止になっていた。もし来年見学に行くなら菅野公園は通り道になるので立ち寄って調べてみようと思う。
現地はかなり荒れていそうであり、真夏ならまたヤブ蚊と格闘を余儀なくされるだろう。さすがにこの目的だけに調べに行く積もりはなく、続編の作成はいつになるか分からない。
周南市および近隣地域在住の暇人がいらしたなら調査よろしくお願いします
出典および編集追記:

1. 実地に確認された例として山陽小野田市の県道津布田郡線の梶地区と国道190号小野田バイパス沿いのものがある。いずれも同一物だが最初に見つけたときは正体が分からず驚愕物件として外部ブログに記事を作成している。(2010/1/11)
その翌年に国道190号小野田バイパスのコンビニ前に同様のものを見つけている。(2011/3/20)
2016年に入って市内でも片倉近辺の市道沿いに同様のものが確認されている。

2. 最近地理院地図の埋め込み機能が正しく動作していない。”機能→ツール→共有→サイトに埋め込み”のコマンドを実行すると「ウェブサイトに埋め込む」のサブウィンドウとタグは表示されるが、提示されたタグを埋め込んでも所望の航空映像や地図が表示されない。
真白で何も表示されなかったりブラウザのホームで設定している場所の地図が表示される

3. 阿武川ダムなど。

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