馬の背池【4】

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(「馬の背池【3】」の続き)

初めて訪れた馬の背上池の堰堤をうろついている。堰堤は下池に接していて余剰水は左岸寄りにある出水口と余水吐の走水路から排出される。
この記事は下池の総括編からも呼び出されている。

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余水吐の走水路真上から撮影している。
比べるものがないので分かりづらいが結構大きい。幅は2〜3mあった。


排出口の先端部分が衝立のように池へ突き出ていた。
水は表面を舐める程度にしか流れていない。


さて、先ほど見つけた斜面の踏み跡を参考に下降する。別に危険な斜面ではないが、膝を傷めているので転倒したら身体を支えきれずエラいことになる…それで慎重に下っていった。

樋門から排出されると思われる出水口は幅が1m程度。
こちらも底をちょろちょろと流れている程度だった。


先の衝立状に伸びる余水吐の出水口に近づいた。
先端部分で背丈の倍以上の高さがある。


そしてここからの下池の眺め。
ちょうど太陽の位置になって明るさ調整が難しい。


右岸方向に移動したが、太陽が隠れる位置がなく周囲が暗く写った。
そのため何とも妖しい感じの溜め池に見える。


そしてこの場所から眺める実際の下池は写真以上に妖しい雰囲気があった。
堰堤の下部はコンクリート保護されているのだが、そこから池のかなり深い方までが見透せた。水面までは2m程度あり、落ちれば上がって来れる場所がない。

右岸側。
ここまで来て漸く水底が見え始めた。中央付近はそれほど深いらしいかった。


ブロック施工のために岩を斫ったような跡が見える。


余水吐方向を撮影している。


堰堤の緩やかな勾配に対してコンクリート護岸部は垂直に近い勾配だ。


右岸側から下を覗き込んでいる。
埋没している枯れ木がそのまま見えていた。


ブロック一段が1m程度なので見えている分だけでも水深は3m以上ありそうだ。


最後に気になっていたこの場所をちょっとばかり…


こういう暗渠は野生動物の仮住まいになっている可能性がある。もしそうならいきなりフラッシュ撮影したなら飛び出て来るかも知れない。
撮影前にわざと暗渠の前でゴソゴソと音を立ててみた。


穴の奥からは何の反応もなかった。まあ、時折水が流れ出る管渠だから潜伏するには不適切ということ位は野生動物も知っているのだろう。

カメラを暗渠の中へ押し込みフラッシュ撮影した。


ほぼ予想された通り、管渠は上池の方へ真っ直ぐ伸びていた。先方に明かりは見えない。そのまま樋門まで繋がっているのだろう…

更に奥まで腕を伸ばして撮影した画像を明るさ補正している。


一体どういう構造になっているのだろうと興味がわく。多分、樋門部分で行き止まりになっていてその上に水を取り出す蓋付きの開口部があるのだろう。
ダムの堰堤では下部にこんな感じの排砂穴が備わっている。あるいは排砂用を兼ねているのだろうか…
枯れ草の剥げた跡を辿って堰堤上まで戻った。


最後に再び上池を眺めていて、他の溜め池では見たことのない奇妙な施工部分に気付いた。
左岸側に見えている小さな入り江なのだが…


明らかに盛土して入り江部分を塞いでいるような施工箇所がみられた。
自然の入り江ならこんなに段差がつきはしない。


恐らく沢を伝う水によって土砂が流れ込み、溜め池が浅くなるのを防ぐためだろう。
右岸側の小さな入り江でも同様の部分が見られた。


一連の撮影を終えて来た遊歩道をそのまま戻った。

昔の小中学校レベルの話にまで舞い戻れば、美術の屋外授業でスケッチに行くとしたらなかなか好適な題材になりそうな溜め池だ。
青い空と紺碧の水、堰堤と原生林…それ以外には特に何もない。ピクニック気分で立ち寄ってもベンチなど来訪者向けの設備はない。それでも自然と人工のコラボを眺めるのに悪くない場所とも思われたのだった。

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