厚東川ダム取水口・派生物件【1】

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ここでは、宇部丸山ダム向けの厚東川ダム取水口付近にみられる付帯的な案件をまとめて収録している。一連の項目は、記述量が増えたり正体が判明した折には適切なカテゴリの記事へ移動される。
《 取水口の対岸に見える鋼構造物 》
記事作成日:2017/6/16
最終編集日:2021/4/16
厚東川ダム取水口付近より小野湖の対岸を眺めたとき、梯子のような鋼製構造物が見えることがある。
写真は県道小野木田線より撮影。


この物体が存在する推定位置を中心にポイントした航空映像を示す。


当初発見したときはカメラのズーム性能の問題より詳細が分からなかった。上流から流れてきたゴミの一部ではないかとも思われていたが、その後小野湖の水位が下がったときに下部構造まで現れ、人工物であるらしいことが推察された。

航空映像からも分かるように、およそこの物体が見える周辺に道はまったくない。恐らくは獣道すら存在しない。そのことは数年前に厚東川ダムの右岸側を何度か踏査したときから分かっている。ダム下からは一の坂方面へ沢を遡行する古い道だけが知られていて、ダムより上流側は右岸側を伝う道はない。そして謎めいた鋼構造物は厚東川ダム堰堤から少なくとも100m上流側の湖水面近くに設置されている。

この構造物は小野湖の汀付近に造られていて、満水位でもすべてが水没することはない。
小野湖の水位が下がり土肌が見えるようになるとハッキリと現れる。


鉄塔の脚部を思わせる構造で、鉄骨部に沿ってワイヤーが張られているのが分かる。上部は茂みに隠れて判然としないが、どうもこのワイヤーを固定する機能だけのようである。ワイヤーは湖底に向かって伸びており、斜面へ潜り込む部分からは鞘管に収まっている。

水位が大幅に低下した2017年初夏の撮影。
鉄骨の下部が斜面の中へ固定されていることが分かる。


同じ日に場所を変えて側面から撮影したズーム映像。


このように人工物であることが明らかになった後も、暫くの間この構造物の正体が判明しなかった。舟でなければ到達できる場所ではないため、ダム湖に関する何かであることが推察された。当時は網場を固定するための支柱と考えた。鋼製ではないが、同様に網場を固定するためと思われる巨大なコンクリート塊がこれより上流側に見つかっている。[1]
【 構造物の正体について 】
2017年度に実施されたダム見学会でこの構造物について担当者に尋ねたところ、かつて使われていた水位計であることが判明した。現在は使われていないという。対岸側にはアクセス道がまったく存在しないのでボートで現地まで材料を運んで設置したようである。何故この場所が選定されたかは分からないという回答だった。

奇遇なことに2017年度の見学会において、若い頃にこの水位計の設置あるいはメンテナンスに携わったという方が参加されたという。このことから建設時期は不明にしても割と近年まで援用されていた可能性がある。

なお、この項目はファイル不備で永らく画像が表示されない状態であったため、たまたま不具合に気付いた時点で内容を整理し画像も差し替えている。
出典および編集追記:

1.「厚東川ダム・左岸堰堤接近計画【3】」の踏査過程で偶然見つけている。

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