厚東川ダム取水口(宇部丸山ダム向け)

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記事作成日:2017/6/14
情報この記事は厚東川ダム管理事務所の北側にある宇部丸山ダム向けの取水口について記述しています。
厚東川ダム自体の取水口については こちら を参照してください。

厚東川ダムにより堰き止められた小野湖の水を送る取水口は、ダム堰堤に設置されたものの他に厚東川ダムと宇部丸山ダムのダム水相互連携を目的に設置された取水口がある。
写真は県道小野木田線の起点側から撮影したゲート建屋部分。


取水口を中心にポイントした地図を示す。


この場所は厚東川ダムより右岸を遡行したとき最初に現れる入江である。一連の施設が出来る以前は今ほど陸地部へ切れ込んでおらず、ゲート建屋を建設したとき導水口のように掘削することで入江のようになっている。
取水口からの水は、圧力隧道(4m×4m)と沢を渡る鋼管(φ4000mm)によって宇部丸山ダム湖の東岸にある注水口に繋がっている。注水口は宇部丸山ダム湖底に設置されているので、隧道および鋼管部分には常に水圧がかかっている。

ゲート建屋は直方体のコンクリート造りに差し掛け小屋を載せたような構造をしている。非公開なため内部の状況は分からないが、圧力隧道の流水をコントロールする鋼製のゲートが吊され、隧道側へ降りる点検用の昇降口があると思われる。通常はゲートを吊り上げて全開状態を保つが、数年に一度の圧力隧道点検時にゲートを降ろして内部を排水し、目視で隧道内壁の点検を行っている。

取水口から先の圧力隧道の経路は以下の通りである。


国土地理院の地図にも2期導水路の経路が水色で描かれている。沢を渡る鋼管部分が実線で描かれるなど概ねよく実態を反映しているが、取水口の位置や途中の経路は誤りで、上の地図に赤線で書き込んだものが正しい。[1]

スクリーンへ大きなゴミが流れ込んで塞がれないように入江部分には網場が設置されている。


この場所から小野湖の対岸側に鋼鉄製の構造物がみられる。初めて現地を訪れたときから気付いていたものの長らく正体が分かっていなかった。近年、ダム管理事務所の担当者に尋ねることで今は使われていない水位計の痕跡ということが判明した。
派生記事: 厚東川ダム|旧水位計跡
スクリーンの設置されている入江部分の周囲は高い練積ブロックで固められ、県道から点検用の鋼製梯子が天端まで続いている。


スクリーンは殆どメンテナンスが要らない設備なので、鋼製梯子は常時施錠されたチェーンで塞がれている。県道のガードレールもこの梯子の場所で切らずに設置されている。護岸がブロック積みなのでもし入江に転落すると何処からも上陸できる場所がない。非常に危険なので近づいてはならない。

ほぼ満水時のスクリーン付近の様子。


ゲート建屋の北側斜面には古い坑口跡のようなコンクリートの遺構がみられる。


この遺構は2度目の訪問で写真を撮り直している過程で偶然見つけたもので、巨大なコンクリートの橋桁のようなものが木々の後ろに隠れている。これは鉱石を採取していた時代の坑口跡と言われている。[2]詳細は以下を参照。
派生記事: ゲート建屋裏手にある採石関連の遺構
二俣瀬校区の郷土マップなどでの言及はない。坑口のコンクリート壁は県道より極めて高い位置にあり、安全に到達する手段はない。
この項目は関連記事を追記した折りに遺構セクションの記事へ移動する予定

企業局管理の設備であり、毎年行われるダム見学会の対象外なのでゲート建屋を含めて内部を見学できる可能性は今のところない。
出典および編集追記:

1. 企業局作成による「厚東川・厚狭川工業用水道 事業概要」パンフレットでも経路図は上記の赤線で示したルートが記載されている。実線で描かれている部分は開渠ではなく地表に露出した鋼管(φ4000mm)である。過去に推定で描かれたデータと思われる。工業用水道の経路は一般向けに必要な情報ではないからか、地理院地図ではまったく記載がないか、あっても適当に描かれているものが多い。
枝線であれば鋼管の途中へ合流するような経路が存在する

2. 2015年のうべ探検博覧会における直営イベントで地元の郷土関連の方から伺った談話である。遙か昔に接近したときの話によれば、湧水が流れ出ていて坑口から奥は恐らく塞がれていなかったという。
初めてこの施設を目にしたときのレポート。
2009年6月にYahoo!ブログで公開していたものを当サイト向けに移植している。単巻。早期の踏査レポートであり、行動および撮影に関して現在の自主規制を順守していないことに注意を要する。(2011/12/14)
時系列記事: 厚東川ダム取水口(宇部丸山ダム向け)【1】
《 Googleストリートビュー 》
県道小野木田線から採取されている。
映像からは県道の起点側から厚東川ダム、取水路、ゲート建屋が確認できる。


2013年5月の映像採取のため、ゲート建屋のフェンスは以前のものが写っている。
《 近年の変化 》
・2014年の夏から秋にかけて周辺の整備工事が行われ、ゲート建屋の外壁が塗り替えられた。また、建屋の囲障部分が通常タイプのネットフェンスから背の高い有刺鉄線付きのフェンスに更新されている。


・2017年6月の小野湖低水位期に現地を訪れ、スクリーン前の入江部分が干上がることで導水路のような構造になっていることが判明した。[1]


両岸をコンクリート擁壁で築いた折りに底部をフラットに成形したようである。擁壁から先は急に小野湖へ落ち込むような構造になっている。

宇部丸山ダム向けのこの取水口はスクリーンが浸る程度の水位を想定しているので、ここまで小野湖の水位が下がれば自然流下方式によるダム水の相互運用は不可能である。
しかし2014年3月に厚東川ダム直下に宇部丸山ダム送水ポンプ場が完成したので、現在は動力を用いて小野湖の水を宇部丸山ダムへ強制送出できる。実際、2017年6月時点で小野湖の水位は近年ないほど低下しているが、宇部丸山ダム湖の水位は満水位に近い。この取水口から圧力隧道を経て宇部丸山ダムへ至る経路は、豪雨などで小野湖への流入が急増したときの緩衝池的な役割しか持たなくなったと言えるかも知れない。

また、この時に入江の低い位置に古い石積みを発見している。
石積み部分のズーム画像はこちら


この部分は通常水位では完全に水没する場所であり、位置的にも急斜面の途中で古い民家の石積みの可能性はない。ダム建設時に道路を付け替えた当時の斜面補強用の石積みが滑り落ちたか、小野湖面へ降りるために後付けされた階段の一部かも知れない。
石積みはズリの目立つ急斜面にあるため極めて危険で、接近調査する予定はない。
出典および編集追記:

1. どの程度この場所が知られているかの読者調査を兼ねてFBページへこの題材を投下している。
FBページ|2017/6/14の投稿」を参照。(要ログイン)

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