休日の一般開放に便乗して、3号配水池の普段は入れないエリアを歩き回っている。
旧1号配水池の奥に古めかしいバルブと桝を見つけた。
さて、これはどうだろう…旧1号配水池が現役だった時代の遺物だろうか。
覆われた鉄板は錆び付いていて現在では殆ど見かけることのない文字があった。
(おかしなアングルで写しているのは正面からだと自分の影が入ってしまうため)
排気弇
漢字の「弇(えん)」は環境依存文字なので読者の閲覧環境によっては正常に表示されないかも知れない。合の下に「弁」という漢字にも使われている下側の部分(にじゅうあし)[1]を持つ一つの漢字である。
(鉄板に陽刻された文字部分の接写映像はこちら)
弇という漢字はよく見慣れた「弁」に似ている。最初にこの漢字が陽刻された蓋を見つけたのは末信水源地で、市道上に安全弇と陽刻された鋳鉄蓋を見つけている。[2]数年前のことで、当時は弇の読み方が分からず「安全弁」のことだろうと思っていた。機能としては概ねその通りだが、意味合いがやや異なる。弇には覆うものという意味があるので、この蓋の場合は排気に係る一式の設備を覆うという意味だろう。
現在でも同様の機能を持つ鉄板は随所にみられるものの排気弇という語が刻まれることはまずない。旧1号配水池と同じ時期ではないだろうか。
そのすぐ横にあった抹茶色に錆び付いたバブルらしきもの。とても使われているようには見えない。
側面にはバルブの製造業者と思える文字が見えたが何と書かれているかまでは読み取れなかった。
(文字部分のズーム画像はこちら)
そこからは先に進める通路がないので引き返した。
先ほどの旧1号配水池の上部を見ておこう。
旧1号配水池を背面から撮影。2号配水池のような正方形を保っておらず、後年造られた3号配水池が旧1号配水池の一部を削り取って用地確保していることが分かる。
本来なら完全な形で保存したかったところだろう。しかしそのためには3号配水池を造るために更に敷地を買収しなければならないので、重要度の低い監視廊入口部分以外の配水池部分を削ったらしい。
旧1号配水池の上に登っている。ちょうどユニットハウスが監視廊入口部分に隠れる位置だ。
一面芝生が敷き詰められていて随所にバルブがあった。
問題ないとは思うがユニットハウスから見えない位置を保ちつつ接近した。
これは先のバルブとは形状が違う。
上部にお椀のようなものが付属している。
上部は歯車らしきものが取り付けられている。
元々はハンドル部分が付属していて回すことで段階的にゲートが開閉されたのだろうか。
開度は全開位置で停まっていた。
外観の錆び付きようからすれば旧1号配水池竣工当時のもののようにも思われる。
監視廊入口の背面に回り込んでいる。
部分的にコンクリートが剥落していた。表からは見えないにもかかわらず背面の柱状部分にもちゃんと例のエンボス加工が施されていた。
再びここまで戻ってきた。
管理室のユニットハウスはまだそのままだ。誰も外の様子を窺っている様子もない。
どうやら展望台に上がりたいと申し出てきた見学者だけに対応し、それ以外は敷地内をご自由に見学なさってくださいということで良いようだ。
ではもう少し好き勝手に観察させて欲しい…
ダム見学会のときは担当職員が管理所前に常駐していたり、監査廊入口前で待機する場面もあった。何処へ行けば良いか見学者を迷わせないことの他に、管理区域内をむやみに歩き回られるのは避けたいからだろう。不用意な行動で重大事故につながる場所もあるので。
自分にとっては普段は見られない立入禁止区域内を自由に見学できるというだけで結構なプレミアム性を感じる。興味深いものが隠れているかも知れないと感じるからだ。
何も急ぐことはない。まだ一般開放終了の時刻まで時間はある。
そこでユニットハウスの前を通り過ぎて入口門扉から左側に向かって進んだ。
これは何だろうか。コンクリートの四角いエリアがあって煙突のようなものが立っている。
点検用の蓋らしきものが見えるので、市街地へ送り出す導水管の点検口だろうか。
フェンスに遮られない状態の3号配水池を撮ろうとしたのだが…
あまりに大きすぎて全体が入らない。
敷地内は西側へ向かうにつれて高くなっていた。そこまで登れば全体像が写せるかも知れない。
西側は削られた法面になっていてその上にフェンスが設置されていた。フェンスに沿って歩くうち視座が上がった。
法面の上から撮影している。大きすぎてなお全体像が入りきらなかった。
比較対象となるものがないので分かりづらいが、配水池の上部へ登るためのはしごですら2m近い高さがある。
法面を下って更に奥へ向かう。
ホントにこんな所まで入り込んでしまって良いのだろうか…まあ、見学者がウロウロと歩いても危険なものがないよう対処されているとは思うのだが…
3号配水池があるエリアでもっとも奥にある現役設備だ。
この辺りは車の乗り入れもあるからか全面的にアスファルト舗装されている。先に見たのよりやや大きなコンクリート水槽のようなものがあった。
まあ、それは後回しにして…この先に以前から気になっていたものが置かれている。
3号配水池のある場所より一段低くなっているエリアだ。
3号配水池との段差部分に寄せて大量の石材が積み上げられていた。
これには見覚えがある。何年か前、すぐ前の市道をレポート向けにトレースしたときフェンス越しに見えたあれだ。
(「桃山配水地【3】」へ続く)