常盤水路・本土手【1】

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現地踏査日:2009/8/23
記事公開日:2012/1/16
最近、とんと自転車での踏査を行っていない。理由は明白で、一歩外へ出ればチリチリになってしまいそうな猛暑では汗ビッショリなどと生易しい事態ではなく熱射病が心配されたからである。

そうは言うものの、休日の運動不足とブログのネタ不足を明白に感じ、お盆も過ぎたことだしそろそろ少しずつ活動再開したいと思っていた。そこで何かの目的を持ってではなく、身体と足慣らしの積もりでフラフラ出かけようと気楽に考え、一昨日(8月23日)のこと、午後3時という遅い時間から自転車を走らせた。

もっとも、大体の行き先は決めていた。ローカルSNSで常盤公園についての話題があり、意見を述べる前に下調べが要りそうな記事を見つけたからである。そこの写真だけでも撮ってこようという目的があった。

ところが撮影を終えて走り始めた途中、予期せぬ小雨に見舞われた。どのみち通り雨と思ったので、そのとき走っていた近くに小雨程度を凌げる木を見つけてしばし休憩していた。飛び上がり地蔵尊の近くである。
実はこのショットは自転車に施錠して再び現地へ向かおうとしたときのものだ


夏休み終盤の日曜日ということもあり、常盤公園は子供を連れた家族でかなりの賑わいを見せていた。常盤公園前の市道は結構車が往来する。人目に付くのを好まない(公園で遊ぶのが目的ではなくコアな踏査が目的なので…)私は自然と歩道から外れた芝生に自転車を停めていた。

その一角はガードパイプで仕切られていたのだが、一箇所ほど開口部があり、そこから溜め池の方に降りる階段を見つけた。そして一瞥するや私の中の好奇心がすぐに「反応した」。


階段のずっと下には常盤用水路そっくりな水路があり、その傍らには水色にペイントされた樋門らしきものが見えたからである。

こういう水利関連の施設が好きで、見ればすぐに近づきたくなる。階段の入口は比較的公園に近い場所ながら施錠どころかチェーンも掛かっておらず、立入禁止の立て札などもなかった。
階段は見るからに急で長く、降りて行く先は木々に埋もれて薄暗かった。看板など立てずとも用事のない人間が平然と入るような場所ではないだろう。

擬木で造られた簡素な階段は、恐らくこの水路へ降りていくためだけに設置されたものらしかった。踏み代が狭く、足を滑らせれば一気に一番下まで滑落しそうだった。

用心深く階段を降りたところに、先の樋門と幅の広い用水路があった。用水路はなみなみと水を湛えており、明白な流れがあった。しかし真に驚くべきものは、その用水路の上流側にあった。
こんな所に水路隧道が!!


しかも常盤用水路そっくりだ!!


殆ど用水路一杯に水が流れている。これが常盤池から流れ出ていることはすぐ想像がついた。しかし目を見張ったのは、用水を吐き出している部分がヒューム管やボックスカルバートではなく、常盤用水路に見られるのと同じ型式の隧道だったのである。

実際、装飾を兼ねた坑口の巻き立てコンクリートや笠石、要石の構造など常盤用水路の隧道に酷似していた。ほぼ同じ時期に構築されたのだろうか…

坑口に関して唯一異なるのは、扁額を取り付けることを予定していたかのような隧道正面の凹みである。もしかしてこの隧道には明白な呼称があり、かつては扁額が掛かっていたのかも知れない。

いずれにしろこの発見そのもので、もはやお気軽な探索どころではなくなった。後から地図を見れば明らかではあるが、こんな所にこれほどの水を運ぶ用水路があると知らなかったのである。

軽い気持ちで自転車を離れ、階段を降りてきたのであるが、私は取り合えず自転車の元へ一旦戻った。探索が長丁場になると感じたので、施錠するためである。
ネット経由で購入した自転車なので防犯登録されていない…盗まれたらすべてが終わる

この場所を地図で示しておこう。
中心点は私が自転車を留め置いた場所をポイントしている。


施錠後再び急な階段を降り、今度は周囲をじっくり観察しつつ写真に収めることにした。


写真に持ち帰りたいものは沢山あったが、まずは先の隧道坑口に接近することにした。


日の光が射し込みにくいこの場所は、普通に撮影するとしばしばフラッシュが作動した。
フラッシュ撮影の方がより実際に見えている状況に近い写真になるが、光の回らない部分は酷く暗くなってしまう。フラッシュ強制停止にすると、ややピントが甘くなるものの全体の様子が分かりやすくなる。
上の映像は、フラッシュ強制停止モードで撮っている。

開渠部の幅や深さは、常盤用水路とほぼ同じくらいあった。しかしとにかく水量がある。意外に用水の透明度はあって、白鳥のフンにまみれた常盤池の水という感じはしない。もちろん臭いなどもない。底の方では大きなカメが這い回っている姿が見えた。

坑口のすぐ横には、謎の施設があった。 ほぼ正方形をしていて、正面にアルミの扉がある。そのまま人が立っては出入りできないサイズで、もちろん開かなかった。この用水路か近接するため池(夫婦池と呼ばれている)に関する施設であることは確かなようだ。


坑口付近の様子。
ポンプ室を思わせるコンクリートブロックの小屋が水路ぎりぎりまで建っているので、これ以上坑口に接近できない。視座を思い切り下げても、隧道の反対側は見通せなかった。


周囲は陰鬱なほど薄暗く、しかも足元が悪い。坑口から奥を覗き込もうと頑張ると、撮影している間にバランスを崩して水路に転落する危険があった。

隧道の内部からは水の落ちる大きな音が聞こえていた。どのような構造で常盤池から取水しているのか気になった。

[再生時間: 30秒]


隧道の反対側は明らかに常盤池だ。しかもこの高度で常盤池に向かえば、恐らく水面下になるだろう。
隧道の反対側は後から訪ねることにして、ここから下流側に向かって見つけられたものを順次掲載してみよう。
実際は全く順不同で目に着いたものを手当たり次第に撮影している…それほど驚きが大きかったのだ

隧道の坑口から少し下流側に、関連があるかどうか分からない桝を見つけた。 先に見た小屋との位置関係はこんな感じで、かなり溜め池側に寄っていた。


かなり古い現場打ちコンクリート製の角桝で、今は使われていないようだ。


中を覗き込んでフラッシュ撮影してみた。
錆び付いた鋼製のバルブが見える。蓋がない桝なので木の葉など溜まる一方らしい。全く操作されないまま何十年も経っていそうな風合いだ。


この桝と用水路との関連性はよく分からない。先の用水路にはこの辺りに分岐らしきものが見あたらなかった。

そして階段を降りたところに、最初に目に着いた水色の樋門がある。
用水路を安全に渡るために木製の仮橋が設置されていた。
大丈夫とは思いながらも踏み抜きを警戒して初回だけは慎重に渡った


最初に降りてきた階段を振り返って撮影。
広場との高低差は7〜8メートル程度ありそうだ。

樋門や隧道坑口、小屋の位置関係は以下の動画で一望できる。

[再生時間: 30秒]


樋門は常盤池からの水を用水路と夫婦池に振り分ける機能を持っていた。用水路側と池側に2つのゲートを持ち、バルブ操作で用水を振り分けられるようになっている。

樋門の上にあがってみた。
水色のペンキはまだ鮮やかだ。一連の設備群の中では比較的最近に造られたものらしい。

ハンドル操作で容易に樋門を動かすことができる。誰でも簡単に立ち入り出来る場所ながら、ハンドルは施錠されていなかった。


夫婦池側の樋門はきっちり閉じられていた。
夫婦池に注ぐ側の開渠も人が通れるように板が渡されていた>


振り返って撮影。
先の隧道との位置関係はこんな具合である。


樋門の先は開渠の状態で伸びており、用水路のメンテナンスのためか杣道が伝っている。


もしかしてこの用水路は…
ある予感を覚えつつ、この用水路がどのような形で何処へ続いているか、更に辿ってみることにした。

(「常盤水路・本土手【2】」へ続く)

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