新琴川橋

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記事作成日:2018/3/21
最終編集日:2021/4/26
新琴川橋は、市道岩鼻中野開作線において厚東川に架かる道路橋である。
写真は岩鼻側からの撮影。


橋の中央部分をポイントした地図を示す。
記事作成日の時点では橋と道路が工事中を示す破線で記載されている


新琴川橋はこれより下流側に架かっていた琴川橋(以下「旧橋」と略記)の改良として2017年3月に架けられている。


即ち記事作成時点で旧橋はまだ存在するが、当初から新しい橋を架けた折には撤去する前提で施工された。新琴川橋の通行が可能になったのは同年7月30日のことで、旧橋を通行止めにするのと引き替えに供用開始されている。

新琴川橋はJR宇部線厚東川橋りょうと、旧橋のほぼ中間点に架かっている。岩鼻側への取り付け道路の制約から鉄道橋と同様緩やかにカーブしている。対面交通で北側に自転車も通行可能な自歩道を有し、車道とは歩車道境界ブロックで分離されている。

琴川橋がありながら上流側の別の位置に新橋を架けた理由は、琴川橋自体の老朽化は元より橋の幅員が狭く安全な交通環境を提供できないこと、橋自体が低い位置に架かり満潮時の高潮や厚東川の増水時に影響があること、河床に多くの橋脚を降ろした構造上流下速度の妨げになるからである。特に最後の問題点については厚東川の管理主体である県からも指摘されていた。
《 工事の進捗履歴 》
新琴川橋は市道岩鼻中野開作線に含まれる橋で、高潮対策事業の一環として平成13年に着手されている。[1]架橋はこの路線の中核的な部分であったが、橋の竣工までが異様に長期化したことで知られる。特に橋脚が施工された後の停止期間が長く、工事停止の理由や見通しを問い合わせた市民も多い。[2]以下、個人的に観測した限りで写真を交えて記述する。

琴川橋架け替えの必要性は早くから認識されていたようで、市道路課も橋を含めた認定市道を設定して用地買収の済んだ場所から順次施工していた。2009年までには厚東川の河床に4基の橋脚が完成している。[2009/5/10]


しかしこの状況で2年近く放置されていたようで、2011年4月に未だ変化がない状態の写真がある。放置されていた理由はよく分かっていないが、道路計画自体が頓挫したのではないかという憶測も生んでいた。

工事が再び動き出したのは2012年3月頃で、橋脚に仮足場が渡され始めていた。


同年6月になると橋の部材が運び込まれ、架橋工事が始まっている。


9月頃までには両岸が鋼構造物で繋がった。


しかしこの工事は翌年2013年1月までに再び停止し、現場が静かになっている。


それから約半年後の7月頃に橋の護岸接続部のコンクリート橋台を打設する工事が始まり、11月末まで続いた。この後巨大なコンクリート橋台と鋼管が剥き出しになっている状態となった。


その後橋は2016年後半に入るまで目立った変化がなかったせいか写真が少ない。この間は排水パイプの取り付けや橋面舗装工が施工されていたようで、橋の下から観測しても見えなかっただけと思われる。

2016年2月までには歩車道境界ブロックと表層工まで終えていたようで、岩鼻公園の高台から撮った写真がある。


この時点で東割方面は比較的早く取り付けスロープが完成していて、橋のすぐ手前まで到達できていたようである。
下の取り付け道路から登って撮影している


しかし岩鼻側は山の斜面が迫っているところに上部をJR宇部線、山沿いを市道岩鼻浜田線および市道平原厚東川線が通っているため、東割側よりもはるかに困難な施工となった。まず市道平原厚東川線の岩鼻公園西側入口付近で市道厚東川東通り線へ迂回させ、そこより終点までの斜面を大幅に削り取る工事が行われた。市道岩鼻浜田線の起点付近もこれに合わせて移動された。

両路線をJR宇部線側へ寄せた後、確保された敷地へ盛土を行って橋へのアクセス路が造られた。この工事が本格的に始まったのは2016年半ばのことであった。このときに琴川橋を渡る道と浜田方面へ向かう道の複雑な状態が整理された。
この辺りの詳しい経緯は市道平原厚東川線で記述する

この工事は停まることなく2017年入りしてからも続行され、橋上の舗装や付帯設備も施工されて3月の供用開始に至っている。なお、供用開始は通行可能な橋を切り替える形で行われたため、新琴川橋の供用開始と琴川橋の封鎖時期は一致する。

幾度もの工事停止期間を経た理由は、予算の問題と用地買収の難航が考えられる。橋は供用開始されたものの市道全体としては東割側で県道へ抜けることができず、暫くの間は橋を渡った直後に右折して下を通る市道厚東川西通り線へ降りてから旧橋の東岸側へ向かう不完全な状態になっていた。
《 Googleストリートビュー 》

《 近年の変化 》
・2018年10月中旬に橋梁点検工事を実施している。


既にみてきたように新琴川橋は2017年3月架橋であり、僅か1年ばかりで点検工事を受けたことになる。市内に架かる他の多くの橋のような老朽化はおよそ考えられないので、すべての橋を一斉点検したか、供用開始後の初期段階に起きる変動などを検査したのかも知れない。

・同年12月に市道岩鼻中野開作線のバリカーが撤去され県道へ抜けられるようになった。恐らくこの時期に、橋を渡って西側にあった迂回を促す案内板も撤去されている。
出典および編集追記:

1.「FBページ|宇部市長の活動日記(2017/7/31)

2. 2009年頃から工事が停止したことに関して市に問い合わせた読者情報が寄せられている。このとき「政権交代の影響があったため一旦事業が停止になった」という説明を受けたという。
この時期は前政権が「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズを元に、本来必要なインフラ投資まで削減を進めていた頃でもあり、直接的な影響を受けたことは否めない。

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