市道岩鼻中野開作線

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記事作成日:2018/3/23
最終編集日:2019/3/6
市道岩鼻中野開作線は、岩鼻町から厚東川を新琴川橋で渡り県道宇部船木線へ至る認定市道である。写真は起点付近の映像。


ルートラボを掲載する。


本路線は、老朽化と河川管理上の問題を抱える琴川橋を代替する目的で設定された。[1]JR宇部線の厚東川橋りょうと琴川橋の間の位置に新琴川橋を架けるもので、都市計画道路鍋倉東割線の一部となっている。架橋完了後の2017年7月末に岩鼻側から橋を渡った地点まで部分的に供用開始された。

橋の西岸より終点の県道までは道路附属施設レベルまで竣工しているものの、総括記事を作成している現時点においてはおそらく後述するような理由により終点の県道接続部まで四輪の通行ができない部分供用状態となっている。

全区間センターラインを有する対面交通仕様で、橋の区間を含めて北側にのみ自歩道が備わっている。信号機は今のところ終点の県道交差部のみである。起点付近に異なる4本の認定市道の端点が存在し、本路線の建設によって付け替えが行われたため関係する市道の起点終点が不明瞭になっている。
《 工事の進捗履歴 》
この総括記事を作成した現時点で本路線は未だ全線の供用には至っていない。中核的存在である新琴川橋は完全に竣工しているものの、起点から橋を渡った対岸で市道厚東川西通り線などを経由する形になっており、終点付近の数十メートルが塞がれた状態になっている。

以下、手元にデータがある範囲で工事の進捗履歴を記述する。完全な供用開始に至った折にはこの記述を書き換える。記述内容が増えた場合はこの部分を派生記事として分割する。
【 起点岩鼻側の状況 】
岩鼻側は東割側に比べて余剰地が少なくすぐ北側の斜面をJR宇部線が通っているため影響を考慮しての施工となった。また、複数の既存市道が集まりそれらとの取り合いが必要であった。

工事に先だって岩鼻駅前を通る市道平原厚東川線市道厚東川東通り線の会合する付近の民家が解き除けられ、厚東川東通り線に擦り付ける区間の雨水排水関連の工事が2016年6月頃進められた。
[2016/6/14]


民家の立ち退きは当該箇所の着工より数年前に完了していた。この雨水関連の工事により岩鼻側の取付道路がどのように接続されるかを知った人は多い。

並行して現道に影響を及ぼさない新琴川橋関連の工事が始まった。資材などを置く場所を確保するために、かなり早い時期から市道岩鼻浜田線の旧琴川橋から北側の梅光橋りょうをくぐるまでの区間は大きく迂回する形で付け替えられていた。[2009/4/19]


この辺りの状況は新琴川橋関連の記事を参照。
時系列記事: 新琴川橋|工事の進捗履歴
架橋が完了した後に周辺市道および橋への取付道路部分が施工されている。2016年6月には岩鼻側の橋接続スロープ部分を確保するために山の斜面を削る工事が始まった。このとき市道平原厚東川線の終点付近を閉鎖し、大規模に片切掘削が施工されている。
この過程で岩鼻公園に上がる里道(第4種岩鼻西踏切のある道)の横が削り取られて防空壕と思われる横穴が発見されている。付近の斜面には井戸も見つかっており、かつて民家があったことが明らかになった。片切掘削は厚東川に近い側から順次行われたため、この防空壕跡は比較的長く残り、また里道から容易に接近できたため詳細に撮影されている。詳細は以下の派生記事を参照。
最終的にすべて切り崩され存在しない
派生記事: 市道平原厚東川線|防空壕の跡
この頃より工事中の立入禁止エリアが拡大し本路線の工事が急ピッチになってきたため、継続監視物件としてこの方面を訪れたときにはかならず変化を追って写真を撮るようになった。

同年末までに市道平原厚東川線側の付け替えが完了すると、本路線の岩鼻側の工事が始まった。琴川橋へ向かう部分を手前から分岐させ、浜田方面に向かう車は片切掘削で山側へ移動させた市道平原厚東川線へ曲がる形になり、本路線のスロープ開始地点付近をバリケードで仕切って路体盛土工事が始まっている。[2016/12/30]


2017年1月には岩鼻側の路床および下層路盤をほぼ終了し、2月には自歩道部も含めて表層まで完了している。年度を越す頃には切土面の種子吹付、スロープ部側面の練積ブロック積、転落防止柵の設置など付帯工事も終わった。こうして同年7月30日に旧琴川橋を封鎖し経路を本路線側へ切り替える形で新琴川橋の西側袂までの供用開始が始まった。この記事を作成しているまでの状況は以上の通りである。
【 終点東割側の状況 】
終点中野開作側は県道に接しており、早くから道路用地として確保されていた。写真は県道から撮影した映像である。[2009/9/3]


終点側は橋までの距離が充分あり、盛土工事は比較的早く終了していた。新琴川橋の総括でも書いているように、この頃は長期間工事が停まった状態のままのことが多く写真が少ない。[2010/12/12]


[2014/10/30]


この状況が暫く続き、2015年も何枚か撮影されているものの殆ど変化がない。

2016年に入ると、終点側の道路線形が定まり舗装も基層部分まで終了している。[2016/4/8]


この舗装は地区道交差部より先、新琴川橋へのスロープ部まで及んだ。

同年9月までに中野開作側で地区道交差部の線形確定と舗装が終了している。直線的に横断するのは灌漑用水路のみとなり、地区道は本路線への視認性を保つために手前で曲げられ直角に取り付くよう変更された。
[2016/9/16]


地区道と本路線との往来は歩行者と自転車に限定されていて本路線側はバリカーで封鎖され四輪の往来はできなかった。


《 部分的な供用開始 》
前述のように、本路線は未だ完全な供用状態には至っていない。新琴川橋を渡った東割側では、道路としては既に県道まで繋がっていながらバリケードで塞がれている。橋を渡った車は取り付け道路より橋の下へ降り、市道厚東川西通り線を介して県道へ出る変則的な形となっている。

本路線への通行は、新琴川橋の供用開始と旧琴川橋の閉鎖が同時だった。岩鼻側から琴川橋を渡る車の殆どはそのまま市道岩鼻東割線を直進して妻崎神社前へ出ていた。このため離合の心配が要らない新橋を安全に渡ることができながら、橋を降りてループし旧琴川橋の西岸近くまで戻ってくる非効率な経路を余儀なくされている。旧橋は歩行者や自転車も通行禁止なので同様の経路を通るようになる。

終点側からは沿線のマンションやホームセンターへの出入りでは橋の供用開始以前から往来可能で、県道向きに信号機も備わっている。しかし地区道へ向かう以外四輪の通れる道はないので、殆どホームセンターの通路のように機能している。


県道は平日昼間でも交通量が極めて多いため、横切る形でのホームセンターへの右折入場は困難である。このため信号を待てば確実に出られる本路線の終点十字路から退出する車は意外に多い。
【 全線を供用開始しない理由 】
本路線は車道部の表層まで終わっており、ロードペイントを除いて物理的に四輪を通せる状態まで竣工している。
しかし新琴川橋から取り付け道へ降りる手前から数十メートルの間はクッションドラムを配置して塞いでいる。


現地を見て「道路は出来ているのに何故全線を供用開始しないのか?」という疑問が多く寄せられている。地権者との問題を指摘する意見もあるが、恐らくもっとも考えられそうなのは周辺の接続道路の未整備が理由ではないかと考えている。

本路線の終点は県道宇部船木線の主要なT字路となっている市道中野開作黒石目出線の起点である。この路線は(途中に直角折れ点という悪線形を持ちながらも)山陽小野田と厚南を連絡する主要な道路の一つであり、交通量は極めて多い。沿線にデパートが並ぶため県道においてもここで右左折する車が多く、平日昼間でも経常的に流れが悪くなる地点である。

もし本路線をそのままこのT字路へ接続するとどういう車の流れが予測されるかを考えれば、全線供用開始に慎重となっている理由が見えてくる。デパートで買い物して市街部へ戻ろうとする人々は、 そう深く考えることなく県道を横切って直進し本路線に向かうだろう。右折して国道190号に出るよりも物理的な距離は近いからである。しかし本路線を終点側から走り、新琴川橋を渡った先の岩鼻地区はデパート群から引き連れて来る車の量を捌ききれない。本路線は全線が幅員に余裕のある対面交通仕様なものの、岩鼻側にはどの方向へ進もうとそのような規格の道路はない。橋を渡って岩鼻側へ到達した車は、市街地へ向かうために厚東川西通り線か岩鼻駅前を通る市道平原厚東川線を通る筈である。

国道へ出るなら東割交差点へ出るよりは若干近道にはなるものの、厚東川西通り線と国道の接続部は信号機がない上に道路構造がイレギュラーであり、多方向から来る車の交錯できわめて事故が多いスポットとなっている。そこへ更に多くの車両を呼び込むと何が起きるかはかなり明らかである。
国道へ出づらいのを嫌気した車は岩鼻駅前を通るかも知れない。そして平原厚東川線は四輪の離合もそう容易ではない狭い道が延々と続く。しかも岩鼻駅があるだけに電車通学する生徒の往来も多い。そのような道へ通り抜け車両を呼び込むのは地域住民の安全に大きな脅威となる。

県道を横切って直進し橋を渡って岩鼻側へ到達したところで走行速度を落とさず通行できる道がないのが大きな理由であるが、一旦供用開始してしまえば量の多寡は不明にしても今まで通らなかった車が確実に入って来る。その影響がどれほどあるものか推察し得ない故に安易な供用開始を行えない状況と思われる。県道側へ出られる区間を塞いでいるのは本来の道路機能を損なっているの明白で遺憾ではあるものの、現状の全線供用開始に踏み切らない現状を支持する。
仮に私が岩鼻地区の在住民だったら追加の安全対策が提示されない限り賛成しないと思う

本路線の規格で平原交差点か藤山小学校付近へ到達する道路改良を行えるなら問題は解消する。しかし岩鼻駅前は道路の両側に民家が立ち並んでいて拡幅は絶望的である。まして後述する都市計画道路のような新規路線を通すことは殆ど現実的でない話である。本路線が市道中野開作黒石目出線の起点へそのまま接続されるのは大変良い設計なのだが、あまりにも都合が良すぎて逆に多くの交通を岩鼻側へ呼び込んでしまう点が問題解決のネックとなっている。

この件に関しての良い解決策を思い付かない。今のまま車社会が維持されるという前提なら、巧妙な手法によって通行車両を制限するなどしなければ新たな問題を起こさない全線供用開始は困難ではなかろうか。
いっそJR宇部線の線路敷を道路化して接続した方が話が早いのではと思えるくらいに困難
【 都市計画道路との関係 】
都市計画道路鍋倉東割線として策定されている区間は、本路線の起点から終点までを含み、更に起点から東方向に既存の道路とは全く異なる経路を予定している。計画では東側は藤山小学校前付近が既存の道路と一致する程度で民家の建ち並ぶ地域を縦断するように通り、浜バイパスと市道藤曲居能線の交点付近に接続されている[2]ことから、実現には程遠いものがある。
《 Googleストリートビュー 》
新しい路線のためまだ全くデータ採取されていない。映像は起点付近であるが、まだ新琴川橋が竣工していない。

《 近年の変化 》
・2018年3月中旬頃、本路線の代替元となった市道岩鼻東割線の琴川橋の撤去を示唆する工事看板が掲示された。

・同年7月7日に本路線の終点付近左側にアルク厚南店が新装オープンした。かなり大きな建物が工事中状態だったので気になり撮影してあった。

・同年12月17日午後3時より、県道宇部船木線との交差点整備を終えると同時にバリカーが撤去され全線供用開始された。なお、交差点改良は暫定的なものとされている。[3]
【 全線供用開始に伴う変化 】
全線が供用開始されてからまだ車と自転車で一度ずつしか通行していない。日曜日の夕刻時に限定されるためサンプルの少なさと偏りが前提となるが、本路線を通過する交通量は確かに増えている。特に新琴川橋を渡った車のおよそ6割がそのまま厚東川東通り線に、4割が浜田方面に向かっていて心配されていた岩鼻駅前の通り抜けはまったく影響がない。

ただし浜田方面に向かう市道岩鼻浜田線は目に見えて交通量が増えている。県道琴芝際波線は終点のJA厚南前交差点が著しく混雑するため、従来沖ノ旦橋を渡っていた交通の一部が本路線側へ回っているようである。平日の夜間に西平原東小羽山間を数回往来したことがあるが、体感的に市道岩鼻浜田線ですれ違う車の量が数割増しになっている。
出典および編集追記:

1.「宇部市|藤山地区と厚南地区を結ぶ琴川橋の架け替え【市道岩鼻中野開作線】

2. うべ情報マップの都市計画道路図による。

3.「市道岩鼻中野開作線が全線開通します|宇部市
《 個人的関わり 》
注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

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