やすらぎ橋

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現地撮影日:2013/5/21
記事公開日:2013/5/24
やすらぎ橋は真締川に架かる歩行者向けの橋で、山口大学病院東側の真締川公園部分と左岸の市道真締川東通り線を連絡している。


橋の位置を地図で示そう。


地図を見ると、真締川の左岸側は道路が通っているのに対し右岸側は山口大病院に向かう道が途中で切れていることに気付く。一定年齢から上の市民は知っているが、それ以外の方に説明しておくと、かつては右岸側にも道路市道真締川西通り線が通っていた。市内でも稀に見る”廃道化処理”で公園に姿を変えたのである。
本件については真締川西通り線の記事で詳細に述べる予定

それ故にこの橋を車が通ることはないし、かつて道路だった時代にもこの場所に橋はなかった。ほぼ純粋に景観目的で架けられた橋と言っていい。
そうは言うものの個人的には西の方へ自転車で走った帰りに時たま通っている。車に追い立てられることなく周囲の景観を楽しみつつゆっくり走れるので、近道志向とはまた異なった利用価値がある。
天気の良い日の午後、この方面からの帰りに写真撮影を兼ねて通ってみた。

右岸側から撮影している。
端の袂に植えられた樹がちょっと元気良すぎて視界を遮っている。


橋の幅は4m程度で、歩行者や自転車同士でもまったく問題なくすれ違える。


下流側のプレート。平かなで「やすらぎはし」となっていた。
西日を受けて近くの伸びすぎた木が影を落としていた。


架橋時期は平成13年5月で、真締川に架かる橋としてはきわめて新しい。
竣工年月の表記がアラビア数字なのも今風だ。
すぐ上流側の新西ノ宮橋とどちらが新しいか調べていなかった


3年前に撮影したときのやすらぎ橋。
橋の袂の樹が今ほど伸びておらずスッキリとしていた。


脱色アスファルトで舗装されており、橋の中央部分に眺めるための張り出し部分がある。
この造りは真締大橋の歩道部分にも観られる


段違いに設置された2本のステンレス棒は、簡易ベンチというところだろうか…
橋の内側を向いて座るような仕様らしい


上流側の眺め。
浜バイパスが新西ノ宮橋で横断している。


やすらぎ橋から上流部の新西ノ宮橋手前までの区間は、真締川の左岸側が若干弧を描いている。これは小串ポンプ場の処理水を排出するための緩衝域のように思われる。

下流側を撮影。
この近辺の両岸は、県の河川改修工事として数年前に竣工したばかりだ。


新西ノ宮橋から下流の樋ノ口橋まで 真締川の両岸に点検用通路のような部分が設置されている。一昨年だったろうか…長雨が続いて真締川ダムから放流されたときには石積みの天端を越えてこの通路部分まで流水に浸ったことがあった。

左岸接続部。
市道真締川東通り線とはツラではなく段差が生じていることが分かる。


左岸側から見たやすらぎ橋。正面に山口大学病院という構図になる。
両側の親柱部分が外れていて中途半端なアングルだが、後ろが階段になっているのでこれ以上カメラを引くことができなかった。


上流側は橋の部分のみが漢字表記の「やすらぎ橋」。


下流側は漢字表記で「真締川」となっていた。


橋の名称からも自明な通り、やすらぎ橋は地名や小字を元に命名されたのではない。公園のイメージを元にしたか公募で名付けられたのだろう。
古くからある道路や溜め池、橋などの名称は昔からの地名を元に決定されることが多い。そのため何の脈絡のない名称を与えられることに些かの違和感を覚える人もいる。真締川ダムによって堰き止められたダム湖を未来湖と呼ぶ例がそうである。

やすらぎ橋も同様の命名法と言えるが、元からこの場所には橋も公園もなかった。古くからの橋を今風に改名したわけではないので現在の命名に特に反対する理由はない。
それだけに昔からの名前を与えられた橋などを勝手に今風の名前に置き換えるなどは脈々と受け継がれる歴史を恣意的に断ち切ろうとする暴挙であると言わざるを得ない

さて、名前はいいとして些かのいちゃもんタイムになってしまうのだが…^^;

やすらぎ橋には構造的にもうちょっと工夫して欲しかった部分がある。特に自転車で通る身には些かの不満がある。それは今回私が通ったのと同様、右岸から左岸側へ向かって自転車で通った場合に感じられる。


三方のうちの二方向が階段になっているため、
自転車で上流側に向かいたいとき遠回りになる。


現況は自転車向けのスロープが下流側にのみ付属している。真締川東通り線を下流側から走ってきてやすらぎ橋を経由して右岸側へ移るには好適だろう。しかし今回のように真締川公園の中を通った場合、やすらぎ橋を渡って更に上流へ向かいたい場合は一旦逆方向へスロープを降りてUターンする形になる。
まさかあの階段を自転車に乗ったまま降りる人は居ないだろう…


スロープを一番下まで降りるのがタルイと感じる人が多いのか、途中で緑地帯部分を横切って降りる踏み跡がついていた。


そして私が自転車を停めて撮影している間にも学生が自転車に乗ったままこの斜面を降りていった。

真締川東通り線の歩道部分から撮影。
橋は歩道面よりも1m程度高くなっている。橋の接続部から歩道まで距離が短いのでスロープに出来なかったのだろう。


上流側まで階段にしてしまったのは、遊歩道の部分を削りたくなかったからだろうか。このあたりはちょっと分からない。

この横断歩道の位置もヒントになっているように思える。
下流側に向かうスロープのちょうど末端部に設置されている。


もっともそれほど頻繁に通る場所でもないので、ちょっと不便だと感じる程度で改善しなければ危ないなどとクレームを唱えるほどではない。結局、スロープを降りてそのまま横断歩道を渡り、幅広い自歩道の右側を通ってアジトに帰っている。
右側に移っておくのは浜バイパスの信号に影響されない経路取りのため

現在では右岸側に車の通れる道がないので、やすらぎ橋は完全に人と自転車専用の橋となっている。この場所に橋がなかった歴史の方がずっと長いため、無ければ特に不便だという橋ではない。
真締川西通り線のこの区間が廃道化処理されたことの方がよっぽど不便に感じる

護岸整備に合わせて周囲がゆったり寛げる公園となったため、機能一点張りではなく川面を眺めるなど景観面としては大いに改善されたと言えるだろう。歩行者や自転車が車に追い立てられる危険な道や橋が多い中、このような「安らげる橋」の一つくらいあっても良いのではないだろうか。
それにしても西通り線が無くなってしまったのは本当に痛い…しつこい?

上流の橋 上流側に架かる橋に移動 下流側に架かる橋に移動 下流の橋
新西ノ宮橋樋ノ口橋

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