渡辺翁記念会館の「6本の柱」問題

建物・公共施設インデックスに戻る

記事作成日:2021/5/23
最終編集日:2021/8/10
ここでは渡辺翁記念会館の「6本の柱」問題と題して、よく知られている物件に関する謎かけを提示する。
写真は渡辺翁記念公園から写した記念館の正面の様子。


渡辺翁記念会館の玄関前は一段高くなっており、両側に3本づつ計6本の白い柱が建っている。これが何の象徴であるかは渡辺翁記念会館の総括記事に記述することとして、今から話す問題を解くのにその予備知識は必要ない。

この6本の柱全部を綺麗に眺めたいとしよう。公園の正面通路に立てば6本の柱は見えるが、伸びた公園の樹木が柱の前にかかってしまう。
樹木を避けて建物に近づくと、左右6本の柱が被写界に収まりきらない。


建物の横にある文化会館前から撮影すれば樹木はかからないが、一部の柱が重なってしまう。


ここまで書けば、何が要求されているか大方の想像がつくだろう。
《 問題の概要 》
問題: 6本の柱すべてが重ならず完全に見える写真を撮ってきて下さい。
「完全に見える写真」とは、柱の前に樹木の枝がかかったり他の柱や建物などに隠されない状態の写真である。ただし、以下の撮影条件を満たす必要がある。
(1) 写真は縦横3:4の比率で、カメラのズームや魚眼レンズを使用しない。
(2) 地上からの撮影で、樹に登ったり建物の上層階などから撮らない。
(3) 脚立や自撮り棒など視座を変えられる道具も使用しない。
(1) の条件は、私が使っているのとは異なる横長の比率で記録されるカメラが普及しており、それを使うと問題なく撮影できてしまうかも知れないからである。(2) と (3) の条件から明らかなように、生身の人間がカメラを構えて撮った写真であることを要する。公園に樹木がない時代に撮られた写真では6本の柱が見えているし、この記事を作成した2021年より充分に年月が経てば、樹木がなくなるかも知れない。そういう可能性は排除する。

要は条件を満たす撮影場所探しである。これが問題として成立するのは、最近の検証によって条件を満たす場所は恐らく2ヶ所しかないことが判明したからだ。

難易度はそれほど高くない。条件を満たす写真を撮影可能ということは、肉眼でも6本の柱が重ならずに見える場所が存在するということである。ただし撮影者の体格によっては、撮影はできても肉眼で見ることは困難な場合があるかも知れない。試行錯誤で敷地内を歩き回れば、いつか見つけることができるだろう。
《 答えと解説 》
以下に答えとなる場所から撮った写真を提示する。留意して頂きたいのは、この種の謎かけはひとたび答えを知ってしまうと以後二度と謎かけとしての機能を果たさなくなる点である。答えを知る前に自分で探索してみたい方はネタバレになるので、安易に下のボタンを押してしまわないことをお勧めする。

注意ネタバレを防ぐため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

如何だろうか。これは地道に実地を歩き回れば誰でも解答にたどりつける種の問題である。

白い6本の柱と正面にある台座が何の象徴であるかは地旅を始めとするツアーでしばしば語られる。それは確かに重要だが、現地にあるものを気軽に観察したい人にはちょっと重いし難しい。誰もが歴史好きとは限らない。しかしこのようなクイズ的要素を混ぜて提示すれば関心を持たれやすいし、街角ウォッチがもっと愉しくなる。

渡辺翁記念公園に植えられた樹木が今ほど大きくなる前は、小串通りまで出れば容易に撮影できただろうから「6本の柱問題」は成立しなかっただろう。現地に今ある状態を前提に成立する謎解きである。渡辺翁記念会館を設計した村野藤吾も象徴的な6本の柱がまさかこのような形で転用されるとは想像もしなかっただろう。

トップに戻る