ラクターゼ活性持続症

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記事作成日:2023/6/17
最終編集日:2023/6/18
ここでは、ラクターゼ活性持続症と呼ばれる症例についてまとめている。

ラクターゼとは牛乳などに多く含まれている乳糖(lactose)を分解する酵素である。一般には成人になるにつれ減少し、乳糖を分解するのが困難になる。これに起因して牛乳を飲むとお腹が下ってしまう現象が起きやすくなり、乳糖不耐症と呼ばれている。ラクターゼ活性持続症とは乳糖不耐症の逆で、成人になってもラクターゼ活性が衰えず、牛乳を相当量飲んでも平気な体質を指す。持続症という名称ではあるが、通常より稀少というだけであって病気とは考えられていない。
《 概要 》
学校給食では現在でも牛乳が提供される。そして子どもの頃はある程度の好き嫌いの差はあっても概ねどの学童も牛乳を飲める。しかし成人になる頃から牛乳の消費量に差が出始める。牛乳を飲む習慣がない人は、一定量以上の牛乳を飲むとお腹が緩くなる。一過性ではあるものの不快な現象なので、それ以降は牛乳を飲む量を控えがちになる。控えることで更にラクターゼ活性が喪われ、量を減らしてもお腹が下るようになってしまう。コーヒーを飲む人はブラックが多いが、ミルクを入れるにしても程々の量に済ませる程度で僅かながらのラクターゼ活性を維持していることが殆どとなる。

わざわざ総括記事を作成していることから分かるように、当サイトの管理人はラクターゼ活性持続症である。この総括記事を作成している現時点でも、一般的な同年齢の成人では過剰な量の牛乳を消費している。
【 異常な消費量 】
甘い系乳飲料のところでも言及しているように、私は現在でもなお牛乳たっぷりの飲み物が大好きである。毎朝スティックタイプのコーヒーを飲むにしても、粉末が溶ける程度のごく少量のお湯を入れて残りはドボドボと牛乳を入れる。10%がお湯で残り90%が牛乳となるようなカフェオレを飲んでいる。甘いパンを食べるときはカフェオレでは甘味が多くなり過ぎるので粉末のポタージュスープにすることもある。このときも粉末が溶ける程度のお湯を入れて残りは牛乳で埋める。

一部の粉末ココアなどでは、冷たい牛乳でも溶けるように作られている。このような場合は当然100%牛乳を入れて溶かしている。大きめのコップに400mlくらい牛乳を入れて飲む。牛乳は電子レンジで温めず冷たいままである。
余談だが牛乳を電子レンジで温めるとトランス脂肪酸が増えるので避けるべきである


朝食は前日の買い置きの惣菜などがなければ常にパンであり、パンにはカフェオレのような飲み物が必須である。牛乳の買い置きがなくなると非常に困るので、最後の一本が半分程度になる前に買いに行く。安くて自分の口に合う牛乳を覚えているので、調達先は概ね同じ店である。カルシウムやビタミンD強化といった加工乳も飲むことはできるが、売り場に牛乳がなかったり特に安くなければ買わない。特に低脂肪牛乳は味が悪いだけでなく身体にも良くないと考えているので安売りがあっても決して買わない。逆に濃厚タイプの牛乳も半額シール付きでなければ買わない。このタイプの牛乳を飲むとお腹が緩くなることがある。これは牛乳に含まれる乳糖のせいではなく添加されているクリームが原因と思われる。

カフェオレのような形で消費するのではなく、牛乳をそのまま飲むこともある。夏場など喉がとても渇いて帰宅したときお茶を淹れるまで待ちきれなければ、コップに冷たい牛乳を入れてそのまま飲むことも多い。一度に500ml以下なら、よほど体調が悪いときを除いてお腹がゴロゴロすることもない。牛乳はアルコール飲料よりも安くて栄養価が高いので、外出時でも飲み物を自由に注文できるなら、迷わずコテコテの甘い系乳飲料を選ぶ。
【 乳糖耐性を持つ個体の発生理由について 】
現代人は牛乳を飲むとお腹が緩くなる人が多い。これは牛乳に含まれる乳糖分解酵素(ラクターゼ)の働きが年を取るにつれて弱まっていくためであり、ヒトのみならず哺乳類全般に共通する一般的な現象とされる。成体になると母乳に頼らず自力で栄養素を摂取できるようになるため、乳を摂取し分解する必要性がなくなるから酵素の働きが弱まるのは自然である。

そうでありながらヒトの場合は牛乳を相当量飲んでも前述のような不具合を起こさず、正常に処理できる個体が存在する。この特性は成人後もラクターゼをある程度維持し続け、乳糖を分解して利用できる能力を持つという点で乳糖耐性と呼ばれている。これは先述の哺乳類全般に共通する原理に反している。ヒト限定でこの特異な現象が起きる理由は明確には分かっていないが、遺伝説と生活習慣説が提示されている。[1]

個人的には、遺伝と生活習慣の両方に求められると感じる。学童期から中学生にかけてもお使いでよく牛乳を買ってきてと頼まれていたし、それは家族みんなで消費していた。家族のほぼ全員がある程度の乳糖耐性を持っていたと推定される。生活習慣については、飲み続けることによって乳糖を分解利用できるように酵素が維持され続けてきたのだろう。

まだ野山に暮らしていた40歳代半ば頃、以前は平気だったのに牛乳を飲むとお腹が緩くなる現象が起き始めた。元から牛乳が好きだったので、飲めなくなると困ると思った。お腹が緩くなる原因の乳糖をある程度分解したアカディのような加工乳が販売されていることを知り、暫くそれを買って飲んでいた。これは牛乳に比べてやや高いが、分解された乳糖由来のオリゴ糖の弱い甘味と風味が個人的に好きで、永らく飲んでいた。


後にアカディはパッケージが変わり、スーパーであまり見かけなくなった。元から通常の牛乳でも少しなら飲めていたので、最終的に少しずつ飲む量と頻度を増やすことによって耐性がついたようである。乳糖を分解した加工乳は現在も売られているが、半額シール付きでない限り買うことがない。そして牛乳の消費量は、野山時代よりも明らかに増えている。

牛乳を飲み続ける理由は、ラクターゼの活性を維持し続けることが目的ではなく単に習慣と味に依る。牛乳に限らず乳製品はチーズやヨーグルトも好んでよく買う。思考回路が子どもっぽいのは牛乳好き由来か、敢えて言えば「乳離れしていない」と思われそうである。恐らく直接の関連性はない。
《 類似する現象 》
ラクターゼ活性持続症は、継続して牛乳を飲み続けることで人為的にラクターゼ活性を維持している状態である。もし何かの理由でこれらの製品を摂取できなくなる状態が長く続いたなら、コップ一杯の牛乳を飲んだだけでもお腹が下ると予想される。

同様に、長いこと食べていなかった食材を久し振りに食べたところ消化不良に陥る現象が自覚されている。代表格は生卵の卵白である。温泉卵のような黄身が生状態のものを食べてもどうもならないのに、卵白が生の卵かけご飯を食べるとお腹が下るようになった。症状がかなり激烈で、一時期は卵のサルモネラ菌の感染が疑われた。しかし体調が回復した後でかなりの期間をおいて卵かけご飯を食べたら、前回ほどではなかったもののやはりお腹の具合が悪くなった。これは社会人後期あたりは普通に食べることができていた食材だった。

このことから、以前は普通に食することができた素材でもかなりの年月を空けてしまうと身体が受け付けなくなる現象が起きるのではと想像されている。俗に体質の変化として説明される。生の卵白を受け付けなくなった原因はよく分かっていない。以前お腹が緩くなったからまた起きるのではといった自己暗示が原因かも知れない。

原因となっているのは単一の成分の可能性もある。外食で豚骨ラーメンを食べるにもろくの家のラーメンは替え玉つきで大量に食べても平気なのに、一久のラーメンは何処でいつ食べてもかならずお腹が緩くなる。野山で作ったカレーやCoco壱番屋のカレーは美味しく食べられるのに、レトルトカレーを温めてご飯にかけたりカップのカレーうどんを食べると同様にお腹が悪くなる。これは含まれるラードの量や質によるものではないかと考えられている。
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 乳糖不耐症|乳糖耐性の成体がいる理由

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