《 意義 》
一定エリアに存在する各種物件を分類するには2つの手法がある、一つは史跡や建物といったカテゴリによる分類で、エリア全体を対象として同一カテゴリに所属する物件を拾い上げる手法である。もう一つはエリアを区分する代わりに、同一エリア内にある物件はカテゴリを問わずすべて拾い上げる手法である。個人的にはそれぞれを切手収集におけるトピカル・コレクションとゼネラル・コレクションに喩えている。対象となる物件が少ないうちは、これらの分類手法はあまり問題にならない。市内に存在する学校を対象としても24地区ある小学校に加えて中学校・高等学校・大学などのサブカテゴリを作成して分類すれば足りる。しかしお地蔵様や庚申塚のように市内各地で多数存在する物件は、サブカテゴリでは数が多くなり過ぎて検索が困難になる。そこで市内全体よりも細分化された区分が必要となる。
【 所在地分類と学校区分類 】
市内すべての場所には、当該位置を示す階層的所在地表現が存在する。代表的なものは市街部における住居表示であり、町名・丁・番地によって構成される。住居表示エリア外では大字や自治会の班などが援用される。住居表示手法は分かりやすいが、当該物件が対象地域にある場合しか援用できない。特に歴史的な物件は地方部や山間部に存在していることより、大字や古典的な小字名と番地で表す以外なく往々にして分かりづらい。学校区による分類は、後述するように物件の分布や面積からしてかなり差が大きい問題点がある。しかし今後学校区の統廃合が進んだとしても各校区を保存する歴史的意義があること、少なくとも各自治会は学校区単位に分割管理されていて馴染み深い。郷土史研究会も校区単位で発足しており、そこで制作された各校区内の郷土マップというリソースを継承する上でも学校区に基づいた分類は意義を持つ。
更に物件の所在地を厳密化したい場合として、所在地分類として経度緯度を明記する手法がある。当サイトの総括記事では、物件の所在地を示す埋め込み地図に現れるデータで既に使われている。将来的に物件カードが制作されたときの仕様として検討されており、先行してサイコロの旅で制作された橋カードで試験的に導入された。
《 地区のコード化 》
データをデジタル化して管理するのが常識となった今、漢字表記された地区名は人間にとって視覚的に分かりやすい半面、デジタル管理には些か都合の悪い点がある。単純に地区名をファイル名やフォルダ名として与えると、先頭の漢字によるJISコード順になってしまう。「上巻」「中巻」「下巻」といったフォルダを作成すると、一覧表示では上中下ではなく下上中という順で表示される不快な現象として知られている。【 地区のアルファベットによる分類 】
幸い市内の地区は24箇所であり、これはアルファベット26文字で収まる。紙幣の記番号のルールと同様に数字と紛らわしいI(アイ)とO(オー)を取り除いた24個を割り当てれば一文字で表現できる。この場合、24地区を妥当な順序で配置することも重要となる。このことを考慮して24地区にアルファベットを割り当てた一覧表の例を挙げる。| コード | 地区名 |
|---|---|
| A | 東岐波 |
| B | 西岐波 |
| --- | --- |
| C | 常盤 |
| D | 恩田 |
| E | 岬 |
| F | 見初 |
| --- | --- |
| G | 川上 |
| H | 上宇部 |
| J | 小羽山 |
| --- | --- |
| K | 琴芝 |
| L | 神原 |
| M | 新川 |
| N | 鵜の島 |
| P | 藤山 |
| --- | --- |
| Q | 小野 |
| R | 二俣瀬 |
| S | 厚東 |
| --- | --- |
| T | 西宇部 |
| U | 厚南 |
| V | 黒石 |
| W | 原 |
| --- | --- |
| X | 吉部 |
| Y | 万倉 |
| Z | 船木 |
大量のデータをデジタル化処理する場合、人間が目で見える形の地区名は必要ないからアルファベット一文字だけで管理できる。フォルダ名のように人間が目で見て分類する必要がある場合は、例えば「A_東岐波」「B_西岐波」といった名称を与えれば、24地区すべてが妥当な配列で表示されて探しやすい。
この分類手法自体は以前から念頭にあったが、将来的に市内すべての物件をコード化しデータベースを作成する際に必要と考えて再検討された。[1]物件が属するカテゴリやその下位分類についても妥当なアルファベットを与えて分類することを現在試みている。
【 用途 】
市内にある物件を撮影した画像ファイルの分類が予定されている。河川や道路といった線の要素を持つ物件は、現在のところ適当に区分して収録している。地区道のように単一地区に集中するものは今のところそのまま地区名をフォルダ名として区分しているが、24地区が冒頭の漢字によるJIS配列になってしまうため探しづらい状態になっている。将来的に地区名のフォルダを上記の区分に変更する予定である。この他に地区マップを描画してその中へ物件の所在位置を落とし込む用途が考えられる。この目的で地区境界を描画するファイル作成が進められた。次項に記述する。
《 地区マップ作成のための基礎データ 》
24ある市内各地区のエリアがどうなっているかは、宇部市役所防災マップで見ることができる。[2] ただしマップそのものは転載や二次利用が禁止されていること、自治会や居住者の便宜上暫定的に境界が定められている部分があることから、これを参考にざっくりとした地区ごとの境界を描画するデータ作成に取り掛かった。題材の所在地を明示することが目的なので、境界の厳密性はそれほど必要ない。境界線の作成は地理院地図の上載せ描画機能を用いることにした。単一地区のみの描画なら外周をなぞるデータのみで済むが、市内24すべての地区となると隣接する地区がいくつも出てくる。地区境界は単一の描画データを作成しておけば共用できる。これをgeojson ファイルとして出力すれば、隣接する地区の境界は単一の geojson ファイルで描画できる。
【 ファイルの命名規則と仕様 】
このとき地区境界データを保持する geojson ファイルは、先述のアルファベット分類を用いたファイル名にすると見通しが良くなる。例えば小羽山地区は川上、藤山、新川、上宇部の4地区に接しているので、対応するファイル名を G_川上_J_小羽山、J_小羽山_P_藤山、M_新川_J_小羽山、H_上宇部_J_小羽山のように定める。ファイル名の地区名順はアルファベット順とする。この4ファイルを地理院地図に詠み込ませることによって小羽山地区の外周が描画できる。小羽山地区のみを素早く描画したいときのことを想定して、4ファイルを読み込ませた状態から J_小羽山全図.geojson ファイルも出力している。市境に接している地区のエリアを表現するために、市境の geojson ファイルも必要である。宇部市全体を表示したいときの需要が多いことを考慮して、先行して宇部市|山口市、宇部市|美祢市、宇部市|山陽小野田市の3ファイルを作成済みだった。しかし市境ファイルをそのまま読み込ませると、当該地区外まで市境が表示されてしまう。このため既存の市境ファイルを元に A_東岐波|山口市.geojson のような形で当該地区のみに分割した市境データを作成した。ただし一部に地区境界が市境を越えて他市にかかっている地区がある。
市内全体の地区データを描画させるには、24地区ある geojson ファイルを地理院地図にドラッグ&ドロップすることで実現される。これを適宜拡大すれば市内各地の大まかな境界が分かる。適当な領域を指定して画像としての出力も可能である。これは恩田地区を中心とした周辺地区の表示例である。
2024年7月に市内24地区すべての geojson データ作成を終了した。ただし今のところ1地区に微細な誤りが1箇所見つかっており、該当する geojson ファイルとそれを読み込む全図データを修正する必要がある。また、海岸・河川・湖沼に面する部分は境界線の描画を行っておらず、このため沖ノ旦地域の描画に不要な境界線が現れるイレギュラーがある。[3]
【 マップの問題点 】
データ作成には防災マップを参考にしており、制作会社によって二次利用や複製が厳しく禁止されている。[2] 私的使用には何ら問題ないと思われるが、自前で作成したマップとは言え一般向けの郷土マップや書籍データとして使用するなら許諾申請するか、版権がないかこれより緩い地区境界資料を探す必要がある。地区境界の妥当性も問題になるかも知れない。特に住宅密集地や市境付近では住民の意向によって地区境界が変動する可能性がある。ただし元から物件の所在地分類を目的とした地区マップ作成であり、ある場所が何処の地区に所属するかを厳密に調べる目的を想定していない。物件の分類では崩の坂のように地区境界(新川地区・小羽山地区)上に存在するものもあるので、そのような物件は双方のマップに収録されることになるだろう。
目下一番の懸念材料は、地理院地図が上載せ情報を再現する geojson ファイルの機能を廃止したり改変してしまうことである。geojson そのものは点や線、図形を描画するための一般的なフォーマットで使われなくなることは恐らくないが、地理院地図で描画すれば自動的に geojson ファイルが作成される機能が改変される可能性はあるかも知れない。
出典および編集追記:
1.「FBタイムライン|妥当な校区配列とコード割り当て
」
2.「宇部市防災マップ|宇部市
」
3. 沖ノ旦橋の東側は西宇部地区に属しており、西宇部地区を単一領域にするために厚東川に面した部分も境界を描いているため、厚南地区を描画すると河川にしか接していない境界線が表示されてしまう。
1.「FBタイムライン|妥当な校区配列とコード割り当て
」2.「宇部市防災マップ|宇部市
」3. 沖ノ旦橋の東側は西宇部地区に属しており、西宇部地区を単一領域にするために厚東川に面した部分も境界を描いているため、厚南地区を描画すると河川にしか接していない境界線が表示されてしまう。
