会議室で例によってアンケートを記入した。
そして主要なダム訪問にあっては必須アイテムである”ダムカード”を頂いた。これはダム事務所が開いているときに本人が現地へ行かなければもらえない。子どもならずとも結構マニアの収集欲をくすぐるものがある。
最初に駐車場で車を降りてから既に一時間以上が経っていた。
ダムカードと佐波川ダムに関するパンフレットを頂いて私はダム事務所を後にした。
さて、帰りに立ち寄ると決めていたあの場所に行かねばなるまい。
この分岐からダム下へ向かう道である。
車を乗り入れたものの、完全にダムの足元まで行ける訳ではなく途中に車止めがあった。
訪れる人は少ないらしく、両脇にかなり雑草が進出していた。
正面からの映像。ダム下から佐波川は若干蛇行しているので、通路上からでもちょうどダムを正面に観ることができる。
ゲートまで収まる範囲で最大限近づいた映像。
ここからでも左岸側にある謎のアルミ扉が見える。
今や私はその内側に展開される光景を知っている。しかし現在は完全に”切り離された”左岸の世界だ。ここからあの前まで行く方法はない。
右岸のダム下からの眺め。
ゲートは閉じられているが若干はジクジクと滲出しているようだ。
かなりきつい勾配だ。
表面ザラザラで幾らか足掛かりのするコンクリートとは言ってもまさかこれを登ろうとする輩は居ないだろう。
ダム躯体部分からもジョイント部分から滲出している場所があった。
これもダム湖の水圧によって微細なクラックをくぐって漏れ出たものだろうか。
先ほど担当者と談話しつつ登った階段が見えている。
ゲートの流下部分は流線型ではなく単純な斜面になっている。
エプロンに滞留する水。
殆ど入れ替わりがないせいか淀んでいる。しかし川魚にとってそう悪い環境でもないらしく、放されたのか自然増殖したのかコイが泳いでいた。
当面は思い残すことは何もない。
佐波川ダムは県央にほぼ一つポツンと存在していて他のダム訪問に絡めることが難しい。
今回私はたまたま見つけた佐波川発電所と、当初から寄ろうと決めていた佐波川関水を訪問ルートに絡めた。他にも史跡が好きなら大原湖右岸に野谷石風呂があるし、時期さえ合えば大原湖付近はサクラを愛でることができるらしい。
もっともダム関連のみを目当てに訪れるとしても、ダム堰堤の左岸付近にある長門峡発電所向けの取水塔やコンクリート吹き付けの隧道は趣がある。
監査廊から直接エプロンに到達する山腹の地下通路は独特で興味深いが、これは期間限定である。ダムカード収集も兼ねてやはり一般見学会を狙って足を運ぶのが最適だろう。
再訪するにはちょっと遠い。
しかし来年の一般見学会で今回訪問できなかった県東部のダムを攻略する折にスケジュールが合えば、再度立ち寄るかも知れない。
車に乗り込むと、画像や動画という成果をたらふく飲み込んだデジカメをポケットからカバンへ移し、次なる訪問地へ向かったのだった。
終