佐々並川ダム

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記事公開日:2013/8/3
佐々並川(ささなみがわ)ダムは、阿武川水系の佐々並川上流に建設された中国電力管理の水力発電用ダムである。
写真は林道より撮影…後述のWikipediaに掲載された写真アングルとほぼ同じ


ダム堰堤中央部を撮影した航空映像を掲載する。
通常の地図モードでは拡大表示できない


ダム概要など一般事項はWikipediaの記事[1]を参照して頂くこととして、ここでは補完的な内容を記載する。
《 アクセス 》
佐々並川ダムに向かうには県道から険しい道(林道大代線)を延々進まなければならない。この地図[2]で北側を表示するようにドラッグすると県道からの分岐点に出会う。即ち県道67号萩川上線の大藤大橋の右岸接続部から分岐する道であり、ダムに至る道自体はきわめて分かりやすい。ただし県道の前後部には佐々並川ダムを案内する標示板はなく、分岐地点にも行き先表示は出ていない。

県道分岐後、林道は佐々並川の右岸に貼り付くように進む。非常に間隔の詰んだ等高線、露岩や崖の記号表記をみれば、長門峡の一部とされるこの谷間が如何に嶮岨であるか想像がつくだろう。

佐々並川ダムは中国電力の管理するダムであり、遠隔操作されているため通常は無人である。しかし定期点検に訪れる必要上、ダムまでの林道は全面アスファルト舗装されている。幅が狭い上に片側は垂直壁、片側は谷間の下も見えない崖なので不安は感じられるものの、山道の運転経験がある慎重なドライバーなら厳寒期などを除いて普通車でも問題なく乗り入れ可能である。必要以上に恐れることはない。

他の車と離合する可能性は殆どゼロだが、万が一対向車があってもコブ状に膨らんだ待避所が随所にある。
危険要素と言えば雨天後の落石や転石、谷側の路肩への寄りすぎ、それと不意の野生動物飛び出しである。山側に落石防止ネットが設置されてはいるもののコブシ大程度の岩ならネットの下から至る所路面に転がっている。スピードを出しているとカーブの先に現れた岩を避けきれない場合がある。
特に二輪の場合転石を踏み付けると極めて危険

谷側のカーブにはガードレールが付属するものの、直線部ではこのような簡易なコンクリートブロックが設置されているだけである。


したがってスピードが出た状態でいきなり山側から落ちてきた岩や飛び出てきた野生動物を避けようとしてハンドル操作を誤れば最悪の事態も起こり得る。これまで事故が起きたか否かは不明だが、谷底までの垂直高は数十メートルあり、転落すればよくて重傷事故を負うことになる。対処可能な速度で進行することを勧める。

[2]の地図ではこの林道は白口集落へ抜けられるように表記されているが、しばしば崖の崩落事故が起きるらしく通行止めになっていることが多い模様である。ダムから先は途中から未舗装路となっており車で通り抜けたという話を聞いていない。[3]四輪ならずとも来た道を引き返すことを推奨する。
《 特記事項 》
・付近は長門峡県立自然公園の区域内であり、嶮岨な谷間には恐怖を覚えるが来訪者には自然が保たれた深山の印象を与える。

・阿武川ダムと同じアーチ式重力ダムである。しかし両岸の急峻さは阿武川ダムを遙かに凌駕する。それでいてダム本体の厚みが心配になる程に薄い。あたかも「ひん曲げた一枚の下敷きで谷間を堰き止めている」ような塩梅で、技術力の高さを感じるだろう。

・林道から分岐する進入路である程度まで接近できるが、堰堤のかなり手前に厳重な門扉があり一般の立ち入りはできない。
ダム管理所や佐々並川発電所向けの取水塔は堰堤を渡った左岸側にあり、対岸から眺めるだけである。

・門扉の内側から堰堤に至るまでの間に記念碑らしきものが設置されているが、詳細は分からない。また、左岸の堰堤上部に施工時使ったと思われるバケットとロープ固定用の基礎が見えている。

・ダム堰堤下左岸の谷底には作業道のようなものが窺える。ガードパイプの付いた道で、もしかすると下流側から谷底伝いに作業道が伸びているのかも知れない。
ただし谷底まで降りられる道の存在は保証されない

・水利使用標識は堰堤に向かう管理道の入口に設置されている。


ダム湖から導かれた水は発電用途のみに利用され、佐々並川発電所を出た後はそのまま阿武川へ放流されている。

・左岸へ接近できないので佐々並川発電所向けの取水口の正確な位置は分からない。国土地理院の地図を見る限り一本の導水路で発電所の上水槽に向かっているようである。
小谷川を横断する付近に竪坑があるかも知れない

・林道から対岸はダム付近で真西にあたる。このため午後訪れると逆光に悩まされることになる。季節にも依るが、撮影は早い時間の方が良い。
初めて佐々並川ダムを訪れたときの道中を含めた踏査レポート。全6巻(予定)。
佐々並川ダム・初回踏査

出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 佐々並川ダム

2. 林道大代線の佐々並川ダム左岸到達点を中心にポイントした地理院地図を示す。

3.阿武川ダムおよび新阿武川ダム見学会にて複数の県職員に尋ねた場合の返答。

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