歌野川ダム【序】

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現地踏査日:2011/11/16
記事公開日:2012/8/9
歌野川(うたのがわ)ダムは下関市菊川町にあるダムで、木屋川の支流にあたる歌野川の上流にある。

まずは歌野川ダム周辺を含めた広域地図をご覧頂こう。


地図でも既に見えている通り、歌野川ダムは木屋川の中流域にある湯の原ダムから直線距離で2km程度の位置にある。上のYahoo!地図は、南側にある岡枝郵便局をポイントしている。これは菊川中心部を経由して歌野川ダムに向かう途中のランドマークになる。

私は歌野川ダムを訪れるまでに湯の原ダムを少なくとも2度訪れていた。県道沿いにあって西部利水事務所の案内看板も出ている湯の原ダムと異なり、これほど近くに歌野川ダムがあることに気付いていなかった。
たまたまローカルSNSのメンバーでこのダム関連の記事を書かれた方がいらして、春にはサクラが綺麗で癒される場所だと紹介していた。そのときダムの部分的な写真も観ていた。それでサクラの時期ではないが一体どんなダムだろうかと興味を持ち訪れてみようという気になった。

以下、序章で現地へ到達するまでの経緯を写真付きで述べている。ダムとは関係ない道中の話題も含まれるので、寄り道を全部端折ってダムの記事を読み始めたい方は「歌野川ダム【1】」へ直行されたい。

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小月方面から来れば上岡枝交差点を過ぎて斜めに分岐する脇道へ入ることになる。
真っ直ぐな一本道で岡枝郵便局は容易に見つかった。もちろん私にとってはまったく初めて訪れる地である。


郵便局を通り過ぎ次第に山際へ向かっていく。今まで訪れてきた他のダムとは異なり、ここまでで歌野川ダムを案内する看板類はまったく見つからなかった。

私の車にはカーナビが付いていない。
取り付ける積もりもない…自分で調べて行動する習慣をつけないと土地勘は培われないので
初めて訪れる場所は地図で場所を確認し、経路をざっと書いた手帳を頼りに行動している。目的地がダムだから、当然何某かの谷地や川を遡行することになる。右側にそのような地形が現れたところで右折すれば良いだろうと軽く考えていた。

ところが…
この辺りから道筋に自信が持てなくなっていた。


そろそろこの道の右側で川沿いに向かっていく道があるはずだが…
左側に溜め池が見えてきたところでちょっと車を停め、撮影に降りてみた。記事向けに経路を説明するための写真撮影もだが、ちょっと興味深いものが見えたからというのも理由にあった。

振り返って撮影している。
今来た道は溜め池沿いの右側の道だった。


この分岐点まで歩いて来ている。
今しがた車で通ったときダムとはまったく無関係だが溜め池に奇妙なものが見えた。


名前も知らない溜め池の水位はかなり低かった。
水位が下がって水上に現れた半島部分に何か祠のようなものが見える。


溜め池の端に四角く囲われた一角があり、木が植えられている。
水位が上昇すれば完全にコンクリート護岸で囲まれた島になるのだろう。わざわざ島を造って木を植えたのか、それとも昔から溜め池の中にこういう小島があったのか…


テーマ踏査では結論を早急に求めない。たとえダムが目的地でも途中で気になる物件を見つけたらまずは写真で持ち帰るし、場合によっては時間を割いて大きく道草する。
この日は歌野川ダムだけを目的にここまでやって来ていて後の予定は何も詰まっていなかった。
小島までは溜め池の中も充分乾いており歩いて行けるだろうとは思った。しかし周囲があのブロックなら上がれる場所がなさそうだし、何よりも勝手に溜め池へ入って良いものか自信がなかった。祭祀のとき以外は誰も近づかない聖なる場所なのかも知れない。

それでズームで窺うだけにしておいた。
恐らくこのためだけに再訪することはないだろう


で、本題に戻って肝心の歌野川ダムへの経路なのだが…どうもよく分からない。

溜め池の傍に銃猟禁止区域図の立て札を見つけた。溜め池と共に書き込まれている川や道筋の名称が参考になる。しかし歌野川ダムが何処にあるか、どう行けば良いものかの記載は見つからなかった。
歌野川に沿って北へ向かう道があるのだが…名称も行き先も書かれていない…同じ県管理なのに…


もう少し先なのだろうか。
「自然活用村」という案内図が見える。ここから入るのだろうか…それにしては谷地らしきものはなく、むしろ尾根に向かっているようである。いずれにしてもダムに関する名称すら何もなかった。

車に戻ろうとするとき、右側に見える家の前に案内板らしきものがあったので近づこうとしたが、不慣れな場所をウロウロ歩いているときのお約束で、民家のワン公が異変を察知してけたたましく吠え始めた。


どういう訳か一旦吠え始めた民家の飼い犬というものは不審者が消え去るまで決して吠え止むことがない。
まあ普通そうでなければ番犬としての意味がないのだが…^^;
あまりにも長く無駄吠えさせると家の人に迷惑だろうし私だって嫌だ。鬱陶しい。anger
踏査を中断せざるを得なくなる原因の半数以上は吠え止まない民家の飼い犬という現実がある

まあいいや…先へ行ってみよう。

逃げるように車へ戻った。基本ペットとしての犬は好きなんだが吠えまくる犬は嫌いだ。

ここから先、右側へ入る道を探しつつ進んだのだが、まったくそれらしき分岐に出会うこともなく峠付近まで来てしまった。


峠を越えては行き過ぎなのは自明なので、間違いに気付いて再び1km余りを延々と引き返すこととなった。

結論的に言って、さっきワン公に吠えられた「自然活用村」の表示板がある場所から右に入らなければならない。
手帳のメモ書きに自然活用村と書いていなかったので見落としてしまった。案内板がなく、道も自然活用村で行き止まりになると勝手に解釈したのが誤りだった。

菊川の街並みからダムまでを包括する地図で経路を示そう。
表示に時間がかかるかも…地図が真っ白状態になった場合は再読込して欲しい


こうやって地図で表示させれば全く迷う余地もない位に経路は明らかだ。
地図を印刷すれば済みそうなものだが…アジトにはプリンタなるものが存在しない

行き方としては、国道491号の上岡枝交差点で北へ向かう県道に入り、すぐ斜め左にスライスする下関市道にそれる。この先に岡枝郵便局があるので、そこから溜め池が左手に見えるまで一本道を進む。
市道の標高が上がって丸田堤溜め池が見えるようになる場所に右からの道と合流し、その先に私が今回迷って車を停めたA地点がある。「自然活用村」の立て札があり、もし水位が高ければ溜め池に取り残された島がここから見られるだろう。

初めて訪れた私はもう少し先から右へ入る道があるものと思い、峠のB地点まで行って引き返してきた。
郵便局の前を通るのではなくもう一本北側にある道を通った方が分かりやすいかも

さて現地からの実況に戻って、A地点から歌野川ダムへの経路は写真撮影していない。それほど広い道でもなく、車を停めて道中を撮影する余裕がなかった。
自然活用村の立て札を過ぎるとすぐに車がウンウン唸るほどのもの凄い坂になった。途中は殆ど眺めが効かないが大きな沢の中腹を進んでいる感じはあった。ダムへ至る道として特に変わっていると思われたのは、途中で一度大きく坂を下る場所があることだ。これは地図上のC地点で、小さな沢に橋を架けず地形をなぞるような道になっている。
その沢を過ぎて最後の登り坂をこなすと木々の隙間から僅かに歌野川ダムの堰堤が見え始める。

ダム右岸側には道路沿いに管理所と駐車場がある。車を停めるのに困ることはまったくないが、あまり管理されている様子はなくベンチや石碑周辺は草ぼうぼうだ。自動販売機の類はもちろんトイレもない。


「碧水」と印刻された自然石が台座に据えられている。その下には山口県知事の銘が見える。
在任時代の仕事を名前と共に形として遺しておく昭和期によく見られた記念碑で、公共工事の私物化という批判も有り得るせいか最近ではあまり見かけなくなった。
確かに県知事の銘を石碑に刻むのは好ましくない悪習慣だと思う


ダムの概要を示す表示板。
治水と農業用水確保が目的で造られたダムという。
事業主体は県だがダムの性格上湯の原とは管轄が異なるらしい


地図と標準断面図もズームで撮影しておいたのだが、ガラスに自分の姿ばかり映って肝心な図や文字が読み取れずかなり恥ずかしい写真なので掲載は割愛する^^;

ここまで道の途中からダムの堰堤が見える場所がほとんど無かった。
市道を奥まで歩き、ダム管理所を撮影している。管理所は平屋と2階建てが並ぶ構成だ。


このダム管理事務所の裏手にダム湖が広がっている。
建屋の横に軽トラが停まっているのがちょっと気になった。もしかすると誰か居るのでは…


さて、ダム堰堤がよく眺められる場所へ移動しよう…と行動を開始したのだが、その先にあったのは私のみならずダム目的でここを訪れた多くの人々をがっかりさせる現状だった。

(「歌野川ダム【1】」へ続く)

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