佐々並川発電所・第二次踏査【1】

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現地踏査日:2013/7/27
記事公開日:2013/8/1
平成25年度ダム見学会の2回目の出動は、阿武川ダムがターゲットだった。思えば一昨年初めて阿武川ダムを訪れる途中、水力発電所の排出口をみつけて車を停め、ざっと観て回ったのだった。
初回踏査ではたまたま見つけて立ち寄ったため、踏査の本気度に薄かった。導水式の水力発電所なら水圧鉄管がある筈だが、確認しないまま立ち去ってしまっていた。帰宅後、航空映像からは水圧鉄管がハッキリ見えているので、建物の背面にあるため見落としたことが分かった。

阿武川ダムおよび新阿武川発電所の見学はこれで2度目になる。一昨年と同じルートで車を走らせる行程を組んだので、途中で佐々並川発電所の前を通る。それで当初から立ち寄って追加の写真を撮影する時間を空けてあった。
時は7月27日の土曜日。今年は異様に早く梅雨が明けて7月中旬には猛暑が押し寄せた。脱水症対策に1リットル入りPETにお茶を準備し、昼食用を入れる袋は熱を通しにくいアルミ蒸着タイプのバッグに保冷剤も入れてある。何しろ遠征は久し振りなのでやる気満々だ。

場所は頭に入っていたので一昨年と同じ場所に車を停めた。


余談だが、ここまで来るのに実は結構ヒヤヒヤした。数日前に集中豪雨があったせいかかなり手前から国道262号が通行止めという表示が出ていたからだ。実際は国道262号の通行止めは県道67号萩川上線の分岐点から先だったので影響はなかった。

さて、車から降りてまずは車窓から既に見えていたものを撮りに下流側へ向かって歩いた。
相変わらず交通量の少ない県道で、何分間も車が通らないときもあった。


車を停める前から見えていたものとは…
この光景だ。


今回は発電タービン稼働中である。
排出口から勢いよく水が流れ出ている。車を降りたときから水の音が聞こえていた。


一昨年訪れたときは水の流れが停まっており、藻の生産する悪臭が周囲に漂っていた。今回は排出口から相当な勢いで発電を終えた水が流れ出ていて、周辺はちょっとした深みになっている。


注意書きが出ているが、それ以前にポータルまで接近する方法がないことは前回踏査で確認済みだ。


ポータルの上にはフェンス門扉が設置されていた。
内側には石垣を降りる梯子があるだけで河川敷までは降りられないから、当初から排出口まで降りる用事はなさそうだ。


車を停めた場所から発電建屋までスロープになっている。
正面玄関は…前回撮影済みなので後で立ち寄ろう。まずは最初の課題をこなさなければならない。


上流側に向かって県道を歩く。
背後から車に追い立てられることは殆どないが、何しろ暑い。アスファルトの上ではチリチリになりそうだ。


中国電力 佐々並川発電所の文字。
前回訪れたときは遠くから撮影しただけで済ませていた。


発電所敷地は県道よりかなり高い位置にあり、コンクリートブロックに阻まれて建屋周辺の様子が分からない。
高い敷地は隣接する別の平屋を含めて伸びていた。


敷地の様子を窺うには少し離れた場所からでないと見えない。
対岸へ向かう橋が県道より高いのであの上からなら見えるかも知れない…


橋の方へ向かって歩いてちょっと振り返ったとき、発電建屋の後ろに僅かながらそれらしきものが見えた。


ズームでは鮮明に写らないが肉眼では存在だけは分かっていた。
かなり勾配の急な水圧鉄管のように見える。


更に橋を渡りかけたとき視座が上がったせいか建物の後ろにそれが姿を現し始めた。
鉄管が通っていると思しき場所だけ背の高い樹が生えておらず溝のようになっている。


もの凄い急勾配!!
斜めから見るせいもあるのだろうけど45度以上の勾配に見える。


橋の中央に向かって歩く。歩きながらも振り返って徐々に水圧鉄管が見え始めるのを確認した。


舟戸橋という名前らしい。
上流にも小さな堰があり、胴長靴を履いて渓流釣りしているらしき人の姿が見えた。
自分も川泳ぎしたくなるほどの暑さだった


移動するにつれて水圧鉄管の全容が見え始めたが、代わりに鉄管の正面に移動するため勾配は分からなくなった。

全容が見えた。
山の上から発電建屋に突き刺さる水圧鉄管である。


初回踏査では踏み込みようが足りなかった。萩から車を走らせると建屋に隠れて見えなかったのだ。
県道を逆から走れば季節によっては見えるかも知れない

佐々並川発電所はすぐ上流にある新阿武川発電所までかなり近い。阿武川ダムの監査廊見学は午前10時と午後2時の2回で、今日は午後の部に参加する予定で時間調整してアジトを出ていた。時刻は丁度正午で、見学会の始まる前に阿武川ダム周辺の撮影を行ったとしてもまだ充分に時間がある。

あの水圧鉄管に近づけるだろうか…


もし可能なら、間上発電所みたいな事態にならないことを前提に接近したいと思った。
そのためには水圧鉄管に沿って登る管理道があるかどうか、更にそこへ問題なく到達可能であるか…だ。

(「佐々並川発電所【2】」へ続く)

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