新山口変電所・初回調査【2】

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(「新山口変電所・初回調査【1】」の続き)

変電所の敷地はほぼ正方形で、先ほどは通用門から正方形の一辺にあたる部分を歩いて撮影してきた。
今度は正門前に車を停め、同様にその一辺から観られる奇妙な機器たちを撮影しようと思った。

まずは正門と事務所を撮影。
山口変電所のときと同じコンクリート2階建て構造である。しかし建物自体もその背後に聳える門型鉄塔群も規模が違う。


現在でも必要に応じて実務や事務作業を行うこともあるのだろう。
ここに常駐し、事務室の窓を開ければ化け物のような機器群がズラッと並んでいる…どれほど異様な光景なのだろうか。
自称電磁波アレルギーの人はまず建物に入れないだろう

控えの門に新山口変電所の表示板があった。
その横のフェンスには異変があったときの連絡用社内電話が設置されていた。


振り返って撮影。
正門の前は少し広くなっていて、かつての外来者用駐車スペースらしき部分があった。もっとも区画ラインは殆ど消えかけていた。


一旦車で通りすぎた敷地の角まで戻り、そこから敷地内部を窺いつつ歩く。

門型鉄塔の規模は変わらないが、やたら電線類がゴチャゴチャしている感じがする。
殆どのワイヤーがダブルになっているからだ。


地上近くまで引き下ろされた電線は、必ずしも何かの機器に接続されているわけではない。
こんな感じで単純な柱状碍子に接続されているだけの部分もあった。何か意味あってのことだろうが分からない。


鉄骨の脚をズームする。
431乙 という赤字の表示板が見える。何かを管理するための札だろうが、もちろんさっぱり分からない。
…と言うかここは私にとって「分かる」モノの方がずっと少ない世界なのだ


敷地の中央付近にあり、フェンスが邪魔で撮影しづらいのだが、ここにも空に向かってチョキを示している形の機器が並んでいた。
似たものは山口変電所にもあった。しかしここのは明らかにサイズが巨大だ。


ズームする。
横に置かれたパイプの上に、先端を外へ向ける形で2本の碍子が植えられている。白いケヤリムシの根元には何故か鉄の輪っかが付属している。


記事を書き始めた今頃漸く判ったのだが、これは恐らくガス遮断器と呼ばれる機器である。
横向きのパイプの中に電気の流れを接続・切断するスイッチが格納されており、絶縁性の高いガス(六フッ化硫黄,SF6)で満たされている。
同じ写真が掲載されていることで気付いた
「Wikipedia - ガス遮断器」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E9%81%AE%E6%96%AD%E5%99%A8

ここから事務所側に山口変電所でも観たファンの付属するサイコロ状の機器があった。
そのすぐ横の空きスペースに太陽光発電のパネルが設置されていて、フェンスの外からもそれと分かるように表示板が並んでいた。


ズームする。
せっかくの表示板なのだが、フェンスの内側なので近くで観ることは能わない。


敷地内に入って自由に見学できればいいのに…(もちろん係員の随行は必須だろう)という気持ちになるのも尤もだろう。
そして、現在はどうか分からないが内部を見学できる時期もあったらしい。
機器群を隔てた区画の中に、通路からでなければ読み取れない見学者向けの標示板があったからだ。


ズーム撮影したものの、アジトへ戻ってこの画像を開くまで何が書かれているか分からなかった。
太陽発電の仕組みについての解説のようで、一部は塗装が剥げてしまっていた。


期間を限定して見学会が開催されていたのだろうか。せっかく説明版を立てたのに現在では詳細を読むこともできず勿体ない感じだ。
やはり見学者に電磁波の影響が及ぶことを懸念して取り止められたとか?

さて、ここから先は山口変電所では観られなかった”気持ち悪い系”な機器群が目立って増えてきた。
太陽光発電パネルのあたりからも期待を裏切らない”仲間たち”が顔を覗けていた。

まずは山口変電所でも観た、巨大なファンが8基付属するサイコロ状の機器。
現在の観察場所にあって、それは一番大きな電気音を発していた。


フェンスから離れた場所にあるのでそれほどやかましい騒音ではない。
電気音まで採取できるかどうか分からないが動画撮影してみた。

[再生時間: 16秒]


その機器の背後に控える碍子群。
径の太いワイヤーが碍子を介してメーター付きの機器に接続されている。
ワイヤーが宙に気味の悪いカーブを描いている。


電圧か電流かを示すゲージらしきものが見えたのでズームしたが詳細は分からなかった。


サイコロ状の巨大な機器の側面に貼られた銘板と表示板。
"MEIDEN"は(株)明電舎のことで、変圧器関連を扱う大手電気機器メーカーである。その上のNo.1なんたらという表示は…


No.1分路リアクトル という表示がある。
リアクトルなんて生まれて一度も耳にしたことのない言葉だ。恐らく読者も(業界人でなければ)同じだろう。

例によってWikipediaで調べたら、一応そのものズバリの項目があった。しかし解説を読んでもさっぱり分からないのである。取りあえず「分路リアクトルはフェランチ効果の軽減を目的に設置されている」らしいが、じゃあフェランチ効果って何?って塩梅なのだ。

「Wikipedia - リアクトル」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB
その更に事務所寄りに門型鉄塔があり、同じくらいデカい機器に電線が伝い降りている。
イブキが植わっているので上半分しか見えないが、その気持ち悪さと言ったら…


うわー、キモい〜♪
漫画の世界で高圧電流をイメージするときは、こんな感じの突起物に合わせて雷のようなビリビリ線が描かれる。そこには正にそんな現実離れした機器が置かれていた。
ズームなので詳細なサイズは不明だが、人の背丈よりずっと高い。先端にはキャップのようなものが着いていて、三重線から分岐している。


三重線を支えている耐張碍子に取り付けてある奇妙な輪っか。
これも山口変電所には観られなかった。アークホーンにしては変な形だ。どういう役割があるのか全くからない。


事務所の横はイブキが植えられていて、円弧を描くように来客車用の駐車スペースとなっていた。かつてはあの辺りまで来訪者も接近できていた筈だ。今となっては有刺鉄線の内側である。
フェンスを手前に張ったのはやはり来訪者を電磁波から遠ざけるため?


事務所の玄関。
荒れ果てた感じはないが、玄関前の砂利敷き地に生えた雑草が来訪者の僅少さを物語っている。
それにしても背後に聳える門型鉄塔のデカさが異様だ。まるで巨大新幹線の駅を思わせる。


そして玄関の前を過ぎて次の角に向かう辺りに見えるものは…

異様にデカい碍子、けったいな機器、スパゲッティーのように絡み合う複雑な送電線…
それらの織りなす奇妙な光景が少しでもリアルに伝わるように、大きめの画像を載せてみよう。


全体をざっと見渡し、思わず口を突いて出た一言。

何これー?
もう…気持ち悪い〜♪
この気持ち悪さがまた面白いのであった…

(「新山口変電所・初回調査【3】」へ続く)

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