鷹ノ子山

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記事作成日:2018/3/12
最終編集日:2018/3/13
鷹ノ子(たかのこ)山は、二俣瀬区山中にある山である。
写真は県道小野木田線の木田郷地区から眺めた鷹ノ子山の遠景。


山頂部をポイントした地理院地図を示す。


地図で示されるように、鷹ノ子山はいわゆる茶臼山ではなく北方に若干低いピークを持つ。このため東西から鷹ノ子山を眺めると2つのピークが認められる。この眺めは厚東川ダムに向かう県道からの眺めに顕著である。標高は221.8mでそれほど急峻な山ではないため、登山口からは鷹ノ子山の全体像を眺めることはできない。

鷹ノ子山は厚東氏と大内氏にまつわる古戦場としても知られる。
写真は山中側登山口にある標識柱


ただし戦を交えたことを今に伝える明瞭な史跡などは遺っていないようである。
鷹ノ子山という名称の由来はまだ調べられていない。近隣地域に鷹ノ子という字名などが存在しないことは分かっている。表記としては「鷹ノ子山」と「鷹の子山」が拮抗している。当サイトでは鷹ノ子山と記載している。
《 山頂 》
露岩が殆どなく風化した土壌で覆われている。写真は山中側より登ったときに目にする山頂の様子。


南斜面には高い樹木がなく概ね120度程度のパノラマを堪能できる。


西の方は日の山をはじめ、ほぼ正面に阿知須のきららドームが見える。秋穂と連絡する周防大橋やその手前にある藤尾山も肉眼で確認できる。


東の方は防府にある岩がちな山として知られる右田岳も僅かに見える。以上は晴天ながらやや霞の出ている日の目測で、条件が良ければ瀬戸内の島が見えるかも知れない。

他方、北西方向は緩やかな斜面となっているために眺めは殆ど効かない。
【 三角点 】
山頂には標高221.8mを記す標識柱と共に国土地理院の三等三角点が設置されている。


プラスチック杭には三角点としか書かれていないが花崗岩の標識に三等の文字が刻まれている。
【 登山者ノート 】
頂上にはステンレス製のポストが設置され、その中にはビニル袋に包まれた登山者向けノートが置かれている。


このノートは登山道を整備した昭和会メンバーにより備えられている。2017年の春頃置かれたものだが、意外に多くの人がメッセージを残していることが分かる。
《 登山ルート 》
現在のところ山中から登るルートしか調べていない。正式名称があるのかも知れないが、以下このルートを山中コースとして記述する。
【 山中コース 】
山中地区より鷹ノ子山へ至る恐らくもっとも分かりやすいルート入口は、国道2号の元つるや食堂があった場所の大きなカーブから分岐する道である。


普通車が通れるアスファルト舗装路であるが、この記事の作成日時点で入口のすぐ左側に「関係者以外立入禁止」の札が出ている。しかし道に柵やロープは張られておらず物理的に通行可能な状態となっている。
ここより先の通行に関する問題については後述する

この道を進み、最初の分岐点は左側の道を選ぶ。小さな峠に差し掛かった辺りで右側に鷹ノ子山の登山口を示す白い標識柱が見つかる。


鷹ノ子山自体があまり知られていないせいか、登山者向けの駐車場はない。車でここまで来た場合、この道沿いへ寄せて停めることとなる。もっともこの周辺の道の往来車両は殆どなく通行の支障とはならない。

道沿いの標識柱から進めば小さな沢を渡った先に再び同様の標識柱が現れる。


道中は一本道で迷う心配はない。坂道が殆どない代わりに周囲の眺めは殆ど効かず、延々と山道を歩く感じである。沢を渡る場所には足を濡らさず安全に渡れるように丸太の橋が架かっている。足元は落ち葉が厚く堆積している。周囲に露岩は少なく、やや大きめな霜降山系の岩が若干みられるのみである。

再び黄色い標識柱が現れ、そこには鷹ノ子山登山口と書かれている。


即ちここまで到達するアスファルト路や山道は殆ど山歩き経路に過ぎず、山登りとしてはむしろここがスタート地点と考えた方が良い。実際、ここからの登りはかなりきつい。山頂に向かって直線的に登っていくイメージで、途中休憩も困難な道中となる。勾配はきついながら枯れ葉が多いため足元が滑る場所が多い。

急な坂を登っていく過程で足元にそれまでとは種類の異なる露岩がみられるようになる。


濃い灰色を基調として白い斑が目立つ岩で、この種の岩は霜降山などではあまり見られない。また、写真のように成形されたものや間知石サイズのものが多いことから、かつて採石されていたことが窺える。

直線的な急坂を登り詰めると、一瞬大きく視界が開ける場所がある。
そこは再び霜降山系の大きな岩が目立つ。


この場所からは阿知須のきららドームが見え、また読み取れなくなった標識柱が転がっている。うっかりすると山頂へ到達したと勘違いするかも知れない。
個人的にはここを騙しの山頂と勝手呼称している

しかしこの場所はかなり狭い上に国土地理院の三角点が見当たらない。真の山頂へ向かうには、一本道の登山道を進み一旦下ることとなる。
その後再び同様の急な登り坂となる。この坂は先ほどのものよりやや短い代わりに、最後の方は露岩が多く登山道自体が不明瞭となっている。この場所の通過は両手を空けておかなければ困難である。

露岩をよじ登ってやり過ごすと、すぐ正面に真の山頂が見えてくる。国道2号から車を留め置く地点まで数分、アスファルト路に設置された登山口標識から黄色い標識まで約20分、そこから騙しの山頂まで約5分、山頂まではそこから約7分の行程である。
写真を撮りつつ進んでいるので実際にはこれより所要時間は短くなるだろう
【 その他のコース 】
一の坂や荒瀬方面からも登れると思われる。山頂からは山中方面より登ったとき真反対側へ下っていく道を確認している。

山中コースへ合流すると思われる経路は、黄色い標識柱のある場所にみられる。山中コースでは標識のところで直角に左へ折れて急坂に向かう経路となるが、その場所は十字路になっているらしく別の方向にも踏み跡が確認されている。
【 通行禁止問題について 】
他の安全で公開された登山ルートがあるかも知れないが、少なくとも前述の山中コースは車と徒歩を併用した場合にもっとも分かりやすい経路と思われる。ただし、国道2号から登山口標識へ至るまでのアスファルト路を通行して良いものかという問題が存在する。

このアスファルト舗装路の素性(地区道か私道か)はよく分かっていない。認定市道ではないことは判明している。私道であった場合、先へ進むことは立入禁止標識を無視した無断侵入となる。しかしその先に登山口標識があり、国道から容易に到達できる事実からも通行禁止扱いとなっているとは考え難い。

入口部分にはロープも柵も設置されていない。標識はかなり前に設置されたものらしく、一部は破損している。


この立入禁止標識は、ゴミの不法投棄目的で入り込む車を阻止する目的で設置されたものであろう。同種の標識が国道沿いにいくつも設置されている。行き止まりだったり社有地へ向かう道は、車が入れないよう物理的に塞がれている。

単に不法投棄目的の車を閉め出すことだけが目的で、登山目的の人や車は自由に通って構わないのなら、このような無意味な標識は撤去すべきである。いくら標識を出したところで物理的に車が進攻可能な以上、不法投棄を目論む人間なら鼻で笑って侵入する。仮に私道で登山目的の来訪者も通行して欲しくないなら、物理的に通れないようロープで仕切った上で代替ルートを示して欲しい。

立て札などで掲示していながら実質的には自由に通れる存在理由の曖昧な立入禁止標識が市内で後を絶たない。ゴミの不法投棄や学童の侵入に伴う事故などを防ぐために設置されたものが多く、事情を知っている地元在住者は勝手に通行している事例も目立つ。

もちろん真に危険な場所へ設置される立入禁止標識を否定はしないが、さしたる危険がなく、重要な史跡があるのにそこへ至る唯一の経路入口に立入禁止標識を設置している事例が市内にいくつもある。[1]せっかく地元に興味を持ってもらうための郷土資産を抱えているのにむざむざ潰しているも同然である。関係者にはご面倒をお掛けするが善処をお願いしたい次第である。
本件については山頂の登山ノートに当サイトの署名を付けて記載しておいた
出典および編集追記:

1. 藤曲浦漁業協同組合の漁港内にある昭和開作記念碑山立石溜め池の堰堤竣工記念碑など。
何処の山かを伝えず山頂からのパノラマ動画のみ提示したときの投稿。(要ログイン)
外部リンク: FBページ|鷹ノ子山からのパノラマ動画(2018/3/10)

前項のページ投稿を行った後、メンバー向けに何処の山かを明示したタイムライン投稿。(要ログイン)
外部リンク: FB|鷹ノ子山(2018/3/10)

鷹ノ子山の登山状況の概略レポート。写真5枚。(要ログイン)
外部リンク: FBページ|2018/3/12の投稿

前項のページ投稿を行った後、メンバー向けに書いた地質的レポート。写真5枚。(要ログイン)
外部リンク: FB|鷹ノ子山の岩質(2018/3/12)

初回訪問時はこれ以上に詳細な写真撮影を行っているが、時系列記事の作成には大変に時間がかかってしまうので総括記事のみ作成し公開した。
《 個人的関わり 》
2018年3月に登ったのが初めてである。遠方から撮影した写真としては、2016年に開催されたうべ探検博覧会で木田方面を歩いたときのものが初めてであった。

親父が二俣瀬小学校に通っていた学童期、学校の鍛錬遠足で鷹ノ子山に登ったと話していた。このことより著名ではないものの一般に登られている山であることは認識していた。

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