恩田運動公園・陸上競技場【4】

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現地撮影日:2015/8/26
      2015/8/28
記事公開日:2015/9/1
記事編集日:2015/11/22
些か野次馬的な記事をお送りしよう。
喉元過ぎれば熱さを忘れるは古からの真実である。実際、この記事を書く今ではそんなに酷かっただろうかと記憶も薄れる程度であるが、久し振りに県西部へ大きな影響を与える台風に襲来されたのはほんの一週間前のことであった。幸いアジトで停電は起きなかったものの市内でも断続的に停電したエリアがあったし、強風による樹木の被害もかなりあった。

そんな中、即応的な情報収集手段として用いている Facebook のタイムラインに台風15号の豪雨で陸上競技場が水浸しになった状況を伝える投稿[1]がタイムラインに流れてきた。
大雨で水が溜まり湖のようになっているフィールドは何とも不思議な光景だった。不謹慎ながらどんな状況なのが自分も見てみたいと思い、26日の午後遅くにこの方面へ買い物へ行く便があったので偵察してきた。

我ながらまったく物好きにもここまで自転車を走らせてきた。


この日は午後から仕事で小羽山・東小羽山方面まで自転車を漕ぎ、一通りの業務を終えてアジト近くまで戻ってきたところだった。かなりくたびれていたし時刻は既に午後6時半を回っている。全体に光量不足で暗い写真が多いのをご了承頂きたい。

フェンスは施錠されていたが外からでも状況を窺い知るのに充分だった。
2枚に分割して掲載する。


思わず「うわーっ!」と声が出る。こんな状態になったのを見たのは初めてだった。
トラックの外側が少し高くなった草地があり、そこまで水に浸っていた。ジャブジャブと泳げるほどの水深はないにしても、ちょっと雨水を被っているという状況ではない。

太陽が西に沈んでいくので、少しでも光を受けて明瞭な写真が撮れるメタセコイア並木の方へ移動した。
本部席の建物がある方に向かって撮影している。


フィールド内には目標物となるものが何も置かれていないので水深がどの程度なのかは分からない。
まだら模様に見えているのはフィールドの起伏ではなく空の雲の反射である。


本部席付近をズーム撮影。
コンクリート土間がやや高くなっているため内部への浸水は免れていた。


恩田の陸上競技場は元々窪地であった場所を整形することで拵えられているので、内部のフィールドは周辺地盤より低い。メタセコイア並木や市道野原線に比べると3m程度の高低差があるだろう。大雨が降ればどうしても水が溜まりやすい宿命的な構造である。しかし台風ならずとも豪雨なら今まで何度も経験している筈だ。

トラックが水の下に見えている。ここなどどれ位の水に浸っているか目視では分かりやすいのだが、撮影するとなると夕暮れの空に反射して分かりづらくなった。


ズームで光量調整する。これなら分かりやすいだろう。
走路を区切るラインが水中に見えている。内側の排水コンクリート路部分などは完全に水没している。


どうやら排水口が詰まって機能していないらしいことは、観覧席のところに置かれた動力ポンプで窺い知れた。
2台のポンプで排出している機械音がここまで聞こえていた。


ポンプで汲み出している方へ歩いてみた。
ここは陸上競技場の南側にあたる。ここへポンプを据えたということは本来の外部への排水口もこの近くにあるのだろう。


2条の青いホースは外周のブロック塀を越えて近くの排水口へ溜まり水を吐き出していた。


動力ポンプがウンウン唸っている。24時間運転させても当分かかりそうで、すべて集めれば50mプールを満杯にする程度の水量があるかも知れない。


地図で眺めると、陸上競技場の広さはメタセコイア並木を挟んで反対側にある50mプールと比べても8倍程度はある。もし水深20cmくらい溜まっていたなら、50mプールに半分くらいは入るだろうか。
些か不謹慎ネタだけど、もし台風の移動速度が遅く長い間ここに雨を降らせ続けていたなら、仕舞いには陸上競技場が「満水」になってしまうのだろうか…
まあそうなれば陸上競技場自体もただごとではなくなるだろう。観覧席のコンクリート部分もダムのように水圧に耐える構造になっていないので、汲み出さなければ溜め池の堰堤が崩れるのと同じことが起きる。

幼少期、大雨で床上浸水した地域の映像をニュースなどで見たとき、玄関を出て近所まで泳いで移動できるなんて楽しいなどと脳天気なことを考えたことがある。子どもというものは滅多に起きない非日常的な自然現象に接するとその深刻な意味も理解せずはしゃいでしまうものだ。
もし私が学童時代に陸上競技場のこの状況に接すれば、長靴を持ち出して水の中をジャブジャブ歩き始めかねないだろう。さすがに泳ぐなんて気は起こるまいが、充分な水深ができていて悪ガキとつるんだならやってしまうかも知れない。汚れた溜まり水が皮膚に接触することの怖さを知らないから成せる業である。[2]無知は怖い。

風が吹くと表面がさざ波立つ様子はまさに「陸上競技場湖」だった。
さすがにこのような風景はもう二度と見られないと思う


ここまでを撮影してこの日は買い物を済ませてアジトに帰った。

その2日後、恩田方面への用事があったので再び様子を見に立ち寄った。
時刻は午後3時半頃である。


グランドの状態が悪いため全面使用禁止の札が出ていた。
一昨日と同様門扉は施錠されていた。


フェンスの網目越しに撮影。かなり水が引いていた。
内側のフィールドは既に地面が現れている。


トラックとフィールドの間に水が溜まっている程度だった。
溜め池と異なり冠水が短時間で水が動き回ることもないので、泥を被るような場所はなかった。


再び例の動力ポンプが据えられている場所へ行ってみた。


ホースが4条に増えている。なかなか水が引かないので排水ポンプを増設したようだ。


既に一部のポンプは停めているようで平らになっているホースがある。
ありがちなことだがホースに小さな穴が空いていてそこから噴き出す水が周囲のアスファルト路面を濡らしていた。


排水もここまで至ればもう終盤だ。少し残った水も天気が続けば蒸発して元の姿を取り戻すだろう。帰宅後、一連の速報をダイジェストで[3]にて報告した。

陸上競技場が水浸しになってしまった原因は、排水口に近くの樹木の根が入り込み塞がってしまっていたため[4] とされている。台風ならずとも以前から大雨が降った後の排水が遅いなどの問題があっただろう。いずれ対処されるので今後はこういった光景は見られない筈である。

陸上競技場は昭和37年に本部席などが造られた以来補修を重ねつつ現在も使用されている。特に本部席にある水回りの傷みが結構目立つ。そろそろ改築の時期が近いかも知れない。
出典および編集追記:

1.「FB|公益財団法人宇部市体育協会(2015/8/26)のタイムライン」による。
以下の投稿を含めて発信元アカウントで外部公開に設定しているのでログインしなくても記事を読める。

2. 管理されたプールの水と違ってこういった場所の水は雨水なのでまずそれ自体が汚い。更に深刻なのはフィールドや草地の上を動き回った水が混じっている点である。側溝の中の泥や湿地に蔓延る菌類を大量に含んだ水であり、その中には人間にどんなダメージを与えるか分からない菌類や、それらによって産出される人間が充分に対処できない害悪な物質が含まれ得る。

3.「陸上競技場湖(要ログイン)

4.「FB|公益財団法人宇部市体育協会(2015/8/19)のタイムライン

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