白岩公園・第六次踏査【2】

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(「白岩公園・第六次踏査【1】」の続き)

「大自然」など主要な遺構がある場所を中心に考えると、白岩公園から退出する経路は今のところ2通りしか知られていない。「ボール橋」を渡る県道からの経路と、白岩公園コースと呼ばれる霜降山登山道の一つから「鼻の穴」の前を通って北側からアクセスする経路である。
もしかして忠魂碑を経て白岩公園コースに到達する経路が開拓されるかも知れない

このたびはボール橋を経て来た道をそのまま引き返したが、白岩公園コースで一箇所ほど確認しておきたい場所があった。

白岩公園コースに復帰するなら、初回踏査のとき追跡した小さな用水路を辿れば近い。水路に沿う道は高低差を失わないので楽なのだが、ボール橋の分岐点から見ただけでも足元の草むらが酷く、またほいと攻撃を受けそうなので素直に公園入口のところまで下った。無駄に高度を失うのが惜しかったが仕方ない。そこから再び水路の高さまで戻るのは結構きつかった。

さて、その確認しておきたい場所とは…
この左側である。


これだけでは分からないから振り返って撮影。
常盤用水路を跨いだ道を更に登り、白岩公園コースに出会う場所だ。門前池に向かう下る道もあり、以前の記事で「面河内西分岐」と勝手呼称していた場所である。


軽トラらしき淡い轍も残る真っ直ぐ進むのが白岩公園コースだ。この場所から左側へ向かって進む道の痕跡があるように思われる。
分岐にあたる場所には以前から木の枝に黄色いタグを結びつけた目印があり、かつての索道への近道など、通行用の目印になっているのではと感じられていた。
不用意に踏み込むとまたズボンが被害を受けるので、下草の状態を確認しつつちょっと進攻した。

足元の淡い踏み跡はすぐにかき消され一面のシダ藪になった。
今までの踏み跡の延長となるようにシダが避けているようにも思える。自然に廃道化の顛末をたどった山道にはありがちな眺めだ。


シダはズボンを攻撃する「ほいと」を持たない。その点は心配ないが、足元が見えない地面を進攻するのは如何にも気持ちが悪かった。それでも膝下くらいまでなら何とか受忍できるので、慎重に進んだ。どうも先の方が開けているように思われるのだ。その先に未知の物件が少しでも見えかけたなら、万障繰り合わせて突撃する用意があった。

既に足元は一面シダに包まれていて地面がまったく見えない。ここから先は膝上まで隠れる草むらだ。
どうなのだろう…ここは以前本当に道だった可能性はあるのだろうか。


写真で見ても先の方が随分と明るく感じられる。実際、現地でも目の前のシダ藪さえクリアすれば先に平場があるように思われた。
しかし進攻できない。いくら何でも危険過ぎる。ヘビの尻尾を踏むというリスクよりは思わぬ窪地に足を突っ込んで挫いてしまう危険だ。

少しでも先を窺えないものかと身を乗り出したが、シダ藪の先にある木々の枝が遮っていて見えない。その先に実は忠魂碑や倒壊した御堂、更には未知の御堂が隠れているのでは…というモヤモヤした気持ちにさせられた。「ここさえクリアすれば物件は目の前だったのに…」という嫌な展開が頭を過ぎった。

無理です。撤収…
最後に撤収した場所は恐らくこの辺りになると思う。


自分としてはこの横道が大変に怪しいと感じている。何の物件に行き着くかは不明として、白岩公園に向かう昔の道の一つだったように思う。枝に結びつけられた黄色いタグと現地の踏み跡が理由だ。割と最近まで道として機能していたのではないだろうか。
もっとも「道ではない」を示すためのタグだったのかも

これほど経路探索に難渋しているのも、今や自分の位置確認も困るほど山全体が藪化してしまっているからだ。今更山を丸裸にするわけにもいかないが、白岩公園が造られた当時は、どうにかすると主要な石碑などが何処にあるか遠くからでも判別できたかも知れない。
今たどりかけた経路は道に見えた思わせぶりな存在かも知れないし、真に昔の道かも知れない。そして道だとしてもそれが忠魂碑に到達する経路なのか、その場合どれほどの距離にあるものやら現時点では判然としないのである。[1]

駐車場から歩いて来てしまったので、戻るだけの体力を温存していなければならない。右膝の痛みはないが、ボール橋から下って上って…それだけでもきつく、帰りは労力の少ない経路を選びたかった。そして現地踏査会のとき何処を通って中山観音の駐車場に戻るかも検討を要する問題だ。

遠回りをしないなら、面河内西分岐からは白岩公園コースをそのまま歩いて面河内東分岐に至る。ここから中山観音に戻るには3通りの経路を得ている。八十八箇所を経て中山観音の境内に降りる道、常盤用水路のNo.3隧道上を通る道、No.3隧道坑口付近に出てくる道である。
八十八箇所に出る道が最短距離だが、面河内東分岐から更に登りになるので帰路として選定しない予定だ。残り2つの経路は水路に沿う道なので県道に向かって下る一方である。どちらも距離は同程度だが、常盤用水路の隧道を眺められる方が気が利いている。

ただし、隧道坑口付近に降りる道はかなり狭く足元も良くない。今回その分岐点に来たとき雑草の生え具合が旺盛だったので敬遠し、道幅の広い隧道の上を通るコースを歩いた。
上の地図で常盤用水路の隧道上を通るように表示されている道である

帰り道の様子。
現役の山道だが歩く人はそう多くはない。もっともほいと攻撃の心配はなかった。


そうそう…
余談だが、上の写真を撮ったのも道の様子を記録するためではなかった。
野ウサギ遭遇。
まるで置き物の野ウサギのように道の上にちょこんと据わっていた。身じろぎもしないので野ウサギのデコイかと思った位だ。私が「あっ!!」と声を出したと同時に、先方へササッと走り去ってしまった。見たところ仔のようで、薄茶色の典型的な野ウサギだった。

一度あることは二度目もある。この道を進むと竹藪付近でややきつい坂を下るようになる。その手前でも同じ野ウサギを目撃したのだった。自分が歩くのを先導していたことになる。カメラは常時右手に握っていたが、スイッチONにして撮影するまでの暇がなかった。それっきり姿を現さなかった。
どうして逃げるの?
同じ仲間じゃないか…^^;
竹藪を抜けると民家が見えてくる。現地踏査会で同じ道を通って帰るかどうか分からないが…


民家の庭先では近所の人が世間話をしていた。いきなりヌッと現れると驚かせてしまうので、遠くから足音をさせて前を通り過ぎた。こんな山道から降りてくる人間などそうそう居そうにないと思われるので…

さて、この記事を書き始めた当初は現地踏査会を行う予定がある状況だった。現時点では11月のいつ行うか具体的な日時が決定している。宇部祭りの終わった翌週日曜日(10日)と、平日の21日である。
最初に21日の開催希望があり、平日で時間が取れない希望者のために日曜日を別途組み込んだ。この第六次踏査を行った半月程度後になるから、藪の状況はそれほど変わっていないだろう。しかし今回踏査したのと同程度の物件は問題なく観ることができる筈だ。

ともあれ、まずは宇部祭りが最初のイベントである。パネル展示に関して今日のこと追加データを提出するなど、準備の時間が必要となってきた。
現地踏査会の折りに何か参考になる資料をお渡しできればと思う。最低限、現地の概略マップを用意したい。それは今でも当サイトの白岩公園の総括記事で得られるが、印刷したものを配れば、現地で見つけた遺構などを参加者自身で記入できるだろう。

なお、現地踏査会の様子を当サイトで記事化することは保証できない。新たに重要な発見がなければ記事化しないことも有り得る。現地踏査会は白岩公園に関心をお持ちの読者が実地に眺めていただく場であり、それ自体に記録すべき要素はないからだ。
まあ、それでも複数の眼で現地を再度眺めれば私一人では見えなかった物件が掘り出される可能性がある。特にK氏の開拓した「忠魂碑コース」は未だ私にとって謎の存在であり、これは現在掲載されているマップの一部を書き換えることになろうかと思う。

最初の現地踏査会は10日であり、このときK氏が忠魂碑コースを明示してくれることになっている。したがって21日の開催までには忠魂碑コースが書き込まれたマップに更新できるかも知れない。

出典および編集追記:

1. この記事を書き始めた頃、私の後でK氏が現地を訪れ忠魂碑と倒壊した御堂を確認している。K氏の報告によると、到達にはそれほど難渋しなかった模様だ。
このことから忠魂碑などは白岩公園コースから意外に近い場所に存在するらしい。ただし私がこのとき辿りかけた経路か別の場所かは明らかではない。

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