常盤公園・旧ジェットコースター軌道基礎跡【2】

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現地踏査日:2012/1/15
記事公開日:2012/1/18
(「常盤公園・旧ジェットコースター軌道基礎跡【1】」の続き)

記事としては続編になるが、この物件の再調査を目的に現地を訪れたのは一年半振りになる。
常盤公園方面の踏査は、先週日曜日に引き続き2週連続だ。先週は帰り際に荒手付近で新しい発見があり、テンションの高まっているうちに近接する物件を当たっておきたいという気持ちがあった。

例によって午後から自転車を走らせた。雨の心配はなかったが、終日曇りがちで写真撮影としてのコンディションはあまり良くない。

常盤公園の正面入口前を通過して例の物件の方へ向かっていたところ、思わぬシーンを目撃した。
ジェットコースター軌道の撤去が始まっていた。


正面入口を過ぎたあたりから市道に交通整理員が立って旗を振っていたので、何か工事をやっているなーという感覚はあった。しかし日曜日に工事とはよほど急ぐのだろう…と思っていた。

市道を片側交互通行に規制し、クレーンと積み込み用トラックが占有していた。既に一部の軌道や支柱は解体撤去されており、作業員がアセチレンガスで切断作業を行っていた。


実は先週のこと常盤公園を訪れたのも、常盤公園動物園ゾーン基本計画(案)なるものが画策されており、この件に関して意見を述べるため現状把握するためだった。
このときジェットコースターが運行されていないことに気づき、入口付近の売店の係員に詳細を尋ねていた。去年12月11日で営業運転を停止し、今後は撤去されるという情報をキャッチしていた。
それで自分は無くなる前に写真を…と思って園内のジェットコースター軌道の一部を撮影していた。
それがまあ…翌週の今日訪れたらもう撤去作業が始まっていようとは…

撤去作業が行われている常盤公園メインのジェットコースターは、確かこれが2代目にあたる。撤去される理由は老朽化が酷いことと、今後の動物園ゾーン計画にそぐわないためだ。
獣舎の真上をコースターが通っており飼育されている動物にストレスが掛かっていることが判明している…今後は遊園部門と動物園部門をゾーン分けされる

それにしても…初代のジェットコースターの基礎跡を調査しに来たところへ2代目コースター軌道の撤去工事現場に出会うとは。何とも奇遇だ。

さて、いい加減前置きが長くなった。工事現場を横目に見つつ市道の横に自転車を停め、夫婦池に向かって斜面を降りた。活動開始だ。


まず、既に知られている基礎跡の位置確認を行った。
用水路の上に置かれている2ヶ所目の基礎は、この降り口から少し上流側へ戻ったところにある。既に水路の上を跨ぐコンクリート柱が見えている。


最初発見したときの位置から全く変わっていない。ただ、時期柄藪が薄くなっていて市道側からも確認できそうだ。


比較対象に手を写し込んでいる。
鉄骨はかなり太く、強度保持のためか内部にコンクリートが流し込まれている。市道を跨ぐ部分はスパンが長くなるために相応の強度が要るからだろう。


市道側に倒れ込んでいる部分。
橋脚の鉄骨部分がかなり遺ったまま藪へ放置されている。
何とも大雑把な撤去方法…現在ならまず認められないだろう
斜めになっていることから、最初からこの形状だったのではなく上部構造を撤去する過程で傾いたようだ。部分的に灰色の塗装が残っている。
幼少時代の記憶によれば鉄骨は銀白色にペイントされていたような気が…


その横に、前回確認できなかったかなり大きな基礎コンクリートが見つかった。
土手の窪地に深くはまり込んでおり、草木が生い茂っていたので今まで分からなかった。市道横断部分の橋脚の片割れではなかろうか。


そこから水路を上流側に20m程度遡ったところに、初めて見つけた一つ目の基礎跡がある。


振り返って撮影。
二つ目の基礎との距離は30m程度だろうか。


基礎脚を支えるコンクリートは土台に対して斜めについている。この向きからジェットコースターの軌道コースを推測できそうだ。
橋脚が存在していた頃は水路清掃などで往来するのにかなり邪魔になっていたのではなかろうか。


水路の管理上に配慮されたのか、鋼材はかなり根元近くから切断されていた。
見たところC型チャンネル鋼を2つ向き合わせて斜交いを入れ、コンクリートを詰めていたようである。


片割れの橋脚は、もしかすると夫婦池側にあるのかも知れない。軌道の幅は決まっていても、軌道を支えるための脚は垂直ではなくハの字に建っていた可能性もある。

そして一つ目の基礎跡から池側の藪にそれらしきものを見つけた。


肉眼では視認できていた。しかしカメラを向けるとフラッシュが作動し、手前の藪が照らし出されてしまった。


更に藪をかき分けてフラッシュオフで撮影。
そこには根元近くで切断されたCチャンがコンクリート基礎の付いたまま転がっていた。


載っている土を払いのけてみる。
用水路の上に見つけたものより細い。これは橋脚の一部ではなく支柱ではなかろうか。


これ以外には基礎らしきものは見つけられなかった。
あれでも草刈り機を持ち込みこの辺一帯の笹藪を刈り取ったなら、他にも未発見の基礎跡が見つかると思う。しかし冬場の今でも藪が酷い中、敢えて笹藪に踏み込んでまで徹底調査するモチベーションを維持できなかった。

そこで既に見つかったいくつかの基礎跡から軌道の方向を推測し、候補地を限定して探してみることにした。

(「 常盤公園・旧ジェットコースター軌道基礎跡【3】」へ続く)

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