市道西の宮野中線・横話

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本編では、市道西の宮野中線の派生的記事をまとめて収録している。
《 沼三差路(仮称) 》
情報国道490号の沼交差点とは異なります。沼交差点については こちら を参照してください。
記事作成日:2015/1/21
沼三差路(仮称)とは、市道西の宮野中線(通称工学部通り)の沼2丁目付近、市道沼風呂ヶ迫線の分岐する三差路である。
写真は沼風呂ヶ迫線からの撮影。


工学部通りの交通量の多さについては改めて述べる必要もないところだが、この三差路は容易に解決できない交通問題を抱える市内有数の往来危険箇所である。その原因は双方の道路構造に帰せられる。

両方の市道はセンターラインで仕切られた対面交通の車道を突き合わせただけの構造で、右左折レーンは存在しない。それどころか車道自体の幅員が極めて狭く路側部分が殆どない。歩道は片側にしか付属せず、自転車は車道の端一杯へ寄って通行するかやむを得ず狭い歩道の中を通行する状況となっている。
【 沼風呂ヶ迫線側の問題 】
対向車が来ないという三差路固有の特性があるため、工学部通りへ出ての右左折は概ねスムーズである。左折は登り坂になるところに横断歩道があるので若干交錯があるが、半数以上の車は沼方面へ右折している。そして右折側は鈍角で曲がりやすく横断歩道もないため減速せず走り抜ける車が多い。

この走り抜けには工学部通りへ出る青信号のサイクルタイムの短さにも依る。時間帯によって動作変更しているかも知れないが、青になって概ね4〜5台退出する頃には信号が変わっている。歩行者の工学部通り横断方向の青時間は更に短く10秒以下である。このため夕刻時は自分の前に4台以上信号待ちしていれば間違いなく次の青を待つようになる。2回以上待つほど渋滞することはなく、一部のドライバーはここと先の沼交差点の信号待ちを嫌気して一つ手前の押しボタン式信号機から上宇部中学校方面を経て参宮通りへ抜けている。
【 工学部通り側の問題 】
沼風呂ヶ迫線よりも更に交通量が多く、特に夕刻時は三差路を挟んで双方向に車列が連なる。
沼交差点よりこの三差路へ至る流れは、沼風呂ヶ迫線の横断歩道手前で滞留気味になる。実際にここを渡る歩行者や自転車は少ないのだが、この三差路で左折する車にとっては、沼方面から来る自転車が直進して横断歩道を渡るか左折するか分からないためである。車側は常盤台へ向かう直進がやや優勢だが、ここから坂道になるため直進する自転車は殆どない。

これよりも深刻な問題を引き起こしているのは常盤台から沼交差点へ下ってくる流れである。

工学部通り側からの撮影。
交差点の前後も含めて右左折レーンがなく、沼へ向かう側には歩道も付属しない。


そして風呂ヶ迫方面へ右折する方が直角よりも鋭角気味になっている。

まず工学部通りは時間帯を問わず交通量が多いのでなかなか対向車が途切れない。それも対向車とは車道だけでなく歩道を走る自転車も注視する必要がある。[1] 車は右折して本路線へ入る場合はウインカーを出すが、自転車は何も出さない。大抵の自転車は右折するのだが、それを見越して交差点に進入すると意外にも直進する自転車がある。そうなれば自転車をやり過ごすために対向車レーン上で立ち往生することとなる。かと言って自転車の動向を注視し続けていればいつまで経っても右折できない。

更に悪いことは、常盤台側から右折を試みる車が一台でもあれば、後続車両はすべてドン詰まりを招く点である。少しでも路側に余裕があれば、右折しようとセンターに寄った車の左をすり抜けられるのだが、そのためには右折車が充分センターへ出てくれていなければ通れない。それほど右折困難な場所でありながら右折需要は極めて多い。2台続けて右折車両があればもうお手上げで、直進の信号が赤になるまで右折車は交差点を脱出できない。当然ながら後続車は直進の信号の状態に限らず完全停止を余儀なくされる。右折の先頭に居るときなど、素早く右折できない場合は後続車すべてをブロックしているわけで大変なストレスである。

工学部通りを常盤台から沼へ向かう多くのドライバーが「この三差路はラッシュ時には右折して欲しくない場所」と考えている。元来、標識で明確に禁止されている場所でなければ後続車両をブロックし信号一回分待たせようが右折はまったく自由である。他方、そのような状況を招く場所での右折は迷惑運転とも認識されており、場所によっては非難の意味でのクラクションを鳴らされることも多い。[2]

正直な話、この三差路は夕方の交通が輻輳する時間帯は、常盤台側からの右折を禁止する規制を設けなければ解決しようがない。ここを規制しても工学部通り全体の渋滞解消には貢献しないが、信号2回待ちが嫌で黄色は当然の如く、赤でも変わったばかりなら問題ないと考え強引に突っ切る車両が後を絶たない。ただその場合常盤台から寺の前方面へ向かう他の安泰に通れる道が存在しない問題がある。

工学部通りの交通量が今ほど激増した理由は、浜バイパス(市道北琴芝鍋倉町線)を西梶返三差路へ接続した中途半端な状態での供用開始に原因が求められる。参宮通りを横断する沼交差点は数年前に右折レーンが設けられ幾分通りやすくなったが、交差点改良前に比べても交通量は更に増えている。有り体に言って、既に対面交通仕様の工学部通り全体がキャパシティー不足に陥っている。

沼交差点に渋滞の中心があるので、この辺りでは沼方面に向かう流れが圧倒的に多い。ときにはこのように渋滞の列がここまで及び、信号が青になっても三差路へ進入できない場合すらある。


工学部通りの両側は殆ど全区間民家や商店などで埋まっており道路を拡幅できる可能性はゼロである。とりわけまずいことには、工学部通りは日々山口大学の工学部生が自転車ないしは原付で登下校し、本路線は宇部高校の生徒が自転車通学する点である。車だけでも交通輻輳している狭い道を日々自転車が往来している。しかも自転車が通行可能な仕様の歩道は沼交差点付近だけでその他は歩行者のすれ違いも困難な程度のお座なりな歩道しかない。

学生たちには申し訳ない話だが、個人的には「工学部通りは自転車で通るべき道ではない」と認識している。道が拡幅され安全に通れるようになる可能性は限りなくゼロに近く、事故を遠ざけたいなら始めから危険な道は通らないに限る。誰もが「この道は便利だ」と考えて集中利用するから危険になる。その集中を排除するにはより安全で高規格な別ルートを造って分散を図るか、法規制以外ない。「ラッシュ時はなるべく通らないように」の如き自主規制ではまったく無力である。

いっそのこと工学部通りの特に危険な区間に対して常時自転車や二輪の通行を禁止し、車道は四輪のみ、歩道は歩行者のみの通行に限定し自転車や二輪は他の道を迂回するよう指示した方が巧く行くのではないだろうかとすら考える。有り体に言ってそういった状況にまで追い込まれており、末期的症状を呈するまで放置され今後の計画すら提示されない市の道路行政が抱える問題は大きいと言わざるを得ない。
出典および編集追記:

1. この場所の歩道は一般に自歩道と見なせる幅(2m以上)をまったく満たしておらず、自転車の歩道内走行は道路交通法違反である。しかし夕刻のラッシュ時などはそれでなくても狭い車道を自転車が走るのは危険であり車にとっても迷惑なため「やむを得ない区間」とみなされている。実際、工学部通りで自転車が通れる歩道は殆どないのだが、どの場所でも普通に自転車が通行している。
沼交差点からだと歩道が狭いので歩道がない路側をわざわざ右側通行する自転車も散見される

2. 藤山交差点から厚東川バイパスに入ったところでの右折など。こういう場所ではたとえ2車線あろうが交通量が非常に多いのでたった一台が道路反対側の店舗へ入るための右折ですら大変に嫌われる。自主的に右折入場禁止を掲げる店舗もあるが、道路法で禁止されていなければ自由だと考えるドライバーも多く、後続車両をドン詰まりさせる原因となっている右折車に対する制裁的クラクションは日常的に観測される。
この場合のクラクションは警笛の用途外使用となる

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