市道小羽山中央線・横話【3】

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以下に述べる内容は、元記事の「市道小羽山中央線【3】」から呼び出される。元記事にそのまま埋め込むと冗長になるので、相乗せ記事として本編にまとめている。

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(「市道小羽山中央線・横話【2】」の続き)
《 東小羽山5丁目の窪地 》
これは個人の所有地の可能性があり、また現地は到達不可能なので詳細なことは語れない。しかし地勢上気になることがあるので記事化してみた。

小羽山中央線の終点付近、東小羽山5丁目バス停を過ぎて最後の緩い下り坂を降りていく途中、右手に門扉のついた入口がある。


小羽山中央線を県道方面に向かって走るとき、昼間なら嫌でも目に付く場所だ。
もっとも私がここを通るのは常に夜なので殆ど分からない
薄くスライスする形で分岐し、沢を下っていく形状は起点付近、市道小串小羽山線の終点付近にあったあの地区道とそっくりだ。あるいは車を運転しつつ、あの先は何処に行くのだろう…なんて気になった方がいらっしゃるかも知れない。

遺憾ながら前もって述べておくことに、厳密な回答は提供することができない。
入口に鋼製の門扉が設置されており、その先は関係者以外立入禁止になっているからだ。


門扉越しに先をズームで窺ってみた。
私有地につき部外者の立ち入りを禁ずとなっている。更には許可無く立ち入った場合の事故について責任を負えない、とも併記されている。
最初この立て札を見たとき猛獣を飼っているのだろうかと邪推してしまった…^^;


侵入禁止の立て札は社有地や個人の土地にはありがちで、敢えて追及するほどでもないと思われるだろう。
しかし気になる点がいくつかある。
まずは進入路に設置されている黄色いガードレールだ。これは紛れもなく県の指定色である。
県外からご覧になっている方には奇異に映るかも知れない…山口県では県管理の道路などにはしばしば黄色いガードレールが用いられる

立派な鋼製の門扉といい県指定のガードレールといい、個人でここまで設置するとは考えがたい。
県が民間に業務委託している何かの設備ではないかと勝手に考え始めた。
フェンスは単なる鋼製の門扉だけだが、周囲は有刺鉄線付きの柵を巡らせている。


見かけは単に沢へ向かって下る農道だ。しかし進入路の両側に等間隔で杭が打たれ、3条の有刺鉄線が張られている。どう思っても進攻しようがない山側もだ。


どうしてここまで厳重に囲障しなければならないのだろう…
よほど部外者に立ち入られては具合が悪い重要なモノが隠されているのだろうか…
これほどまでに構えが厳重なせいで、逆に気になってしまう。

柵の外側に県の境界杭を見つけた。もっとも柵の外側だから、進入路は私有地で外側が県の土地というだけかも知れない。


進入路は舗装されており、急坂で沢地に下っていた。その先はどう観ても普通の田畑が広がるだけである。


門扉で閉鎖されているくらいだからこの進入路は認定市道ではない。しかし市道でも県に倣って黄色いガードレールを設置している事例はあり、もしかすると今の小羽山中央線が整備される以前は古い市道だったのでは…という気にもなる。

この進入路の先に何があるかは、市道小羽山中央線を終点側へ戻った先から少しだけ窺える。
藪の切れ目から先を覗くと、沢地の端を砂利道が真っ直ぐ小屋に向かって伸びている。周囲は普通の田んぼのように見える。
高台に見える建物は東小羽山市営住宅アパート


どうにも気になって最大限にズームしている。しかし手前の枝がピントを奪ってしまって鮮明に写らない。
砂利道の先には比較的大きな倉庫のような建物が見えていた。


県管理の物件ではなく個人の持ち物ということもあろうから、建物やこの先にあるものについて詮索はできない。しかしそのことを除いても更にもう一つ気になることがある。

この場所の国土地理院地図である。進入路の鋼製門扉のある場所を中心に拡大表示している。


普通の田畑のように見える場所なのだが、地形図として眺めると
明白な窪地になっている。
内側に向いて短い垂直線がくっつく等高線は、その場所が低くなっていることを示す。いわゆる窪地である。
地図上で見られる窪地の代表的なパターンは概ね2通りで、秋吉台のドリーねのように自然現象によって形成されたもの、採石場などで広範囲にわたり人工的な採掘を行って生じた跡地だ。例えばここから市道小羽山中央線を挟んだ西側は広大な採石場になっており、深い窪地になっている。しかしこの場所にある窪地の特異性は、そのいずれでもないと思われる点にある。

自然に生じた窪地なら、普通は水が溜まって池になるだろう。しかし実際は水田の記号が描かれていることから、市道小羽山中央線の下をくぐる排水路が存在している筈だ。恐らくかつては採石場の方まで伸びる沢地だったのだが、市道小羽山中央線を通す盛土で分断されたのだろう。
普通はこのような場合、道路横断のボックスカルバートを設置して沢の両側から行き来できるようするものである。
いか土公園下の廃ボックスカルバートのように

詳細には調べていないが、市道小羽山中央線のこの区間にボックスカルバートは存在しないと思う。詳細表示できるYahoo!の地図で拡大してもそれらしき通路や排水路は見あたらないからだ。しかし田畑が広がる以上、排水施設は絶対に必要だ。ヒューム管一本を市道の下に埋設するだけで済ませているのだろうか。

昭和49年度にタイムスリップして現地を眺めてみよう。
「国土画像情報閲覧システム - 東小羽山地区付近(昭和49年度)の航空映像」
http://w3land.mlit.go.jp/cgi-bin/WebGIS2/WC_AirPhoto.cgi?IT=p&DT=n&PFN=CCG-74-12&PCN=C20&IDX=14
別ウィンドウで開いたページ右上にある400dpiのリンクをクリックすると高解像度の画像が表示される
テクノロードが未だ影も形もないので分かりづらいが、小羽山中央線の大方の線形は出来ている。東小羽山5丁目バス停の先は確かに一本の沢が横切っており、田畑が窺える。しかし山を削った土で沢が分断されている状況が観察される。
自然形成される道は尾根伝いか沢地沿いに存在しがちだから、かつてここから真締川上流部の沢まで下る道があったかも知れない。封鎖されているあの進入路が古い道の可能性はあると思う。

普通の人ならまずそんなところへ興味どころか注意すら向かないものだが、地図を眺め、多彩な地形を観察していると自然にこういう疑問がわき起こってしまうのであった。
「野ウサギ病」みたいなものだね^^;
【追記】(7/13, 22:45)

東小羽山5丁目に在住する方からこの場所に関する話を伺うことができた。

黄色いガードレールなどの存在から県有地を想像するが、実際にはこの先にある沢の田畑は個人所有のものということである。数年前までは柵がなく出入り可能だったのだが、部外者が勝手に立ち入って作物を荒らすなどの行為があったようで自前で設置されたようだ。
進入路は沢を下っており、小羽山中央線が造られる以前の古道の可能性が疑われたが、以前はどうだったか分からないということだった。

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