いずれも市営・県営などの公営住宅と民間アパート・マンション、そして個人宅から成る街を形成している。
さて、ここまで北小羽山町と南小羽山町にあるちょっと変わった認定市道の記事をお届けした。それぞれ奇妙に短かったり変な終わり方をしているなど癖があった。それだけネタになりやすいとも言える。
これに対し東小羽山町にある認定市道は住宅地に特有の割と整然とした道が殆どで、ネタになりそうなものが見あたらない。そうは言っても東小羽山町だけ置き去りにするのも申し訳ないので、ある一つの市道を代表して撮影してきた。
採用したからには、それなりの理由と言うか記事ネタが存在する。そう大した話題ではないのだが…
市道東小羽山7号線。
取りあえず自転車で走ってきた。
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この市道の起点位置を航空映像モードの地図上にポイントしている。
通常の地図ではなく航空映像で示したのにはちょっとした意図がある。地図表示だといわゆる「ネタばれ」に近い状態になってしまうからだ。
航空映像でポイントされる付近の映像だ。
ふてぶてしくも道路のど真ん中に立って撮影しているこのメインの道は市道小羽山中央線で、これから向かう市道東小羽山7号線はこの先左から入る道になる。
(右から入る道は東小羽山10号線という別の路線になる)
市道の起点に立っている。
見たところ全国どこにでもある全く普通の住宅街と、何処にでも見かける道だ。
東小羽山にはこれと類似する市道がいくつかある。その中から特に7号線を選んだのは、単にラッキーセブンを意味するからではない。かと言って特にこの路線だけが特異な性質を帯びているのでもなく、同様の別番号路線が存在する。今は多くを語らないが、とにかく訳あって「代表的な路線」になって頂いた。
住宅地の市道なのでさすがに整然としている。奇妙にクニャッたりしておらず先の方まで見通せる。
メインの道からスタートして直角方向に進む道を横断する。
同類の道となる市道東小羽山5号線である。生活道同士の交差点なので曲がりやすいよう隅切りされているだけで交差点表示などは何もない。
(生活道路なので制限速度が30km/hとなっているようだ)
先の方まで見通せることと、あらかじめ路線経路が分かっていることでちょっと辛い部分もある。ここで東小羽山5号線を横切ってからはかなりの勾配で蛇瀬池の方向へ下っている。最初に楽をした分だけ後できつい場面があることが想像されてしまう。
真っ直ぐ下ると言っても蛇瀬池の手前まで突っ込むのではなく、ひな壇状になった住宅を左右に眺めながら先の方で左へ折れる場所があるようだ。
さて、その左へ折れる場所を目前にしたのだが…
何だかちょっと様子が変だ。
何じゃこれは?
今まで下ってきたのと同じペースで真っ直ぐ下る道がある。しかしどういう訳か前方に一段高くなった歩道が横断しており、ガードレールが通せんぼしているではないか…
どういうこと?
更に近づいてコーナー部分を眺めた。ガードレールが切れているから歩行者は問題なく反対側へ進める。自転車は…乗ったままだと段差があるしガードレールにぶつかりそうだ。まあ降りて押せば何とかなる幅だ。
しかし原付は厳しいし、当然ながら車は一切通れない。
いずれにしてもこのガードレールのせいで左折する以外進める道がない。そして実際、市道の経路としてもここは左へ90度転回するようになっていた。
住宅換算で2区画ほど直線路が伸びている。しかしその先でまた同じようなことになっていそうだ。
この区間だけ独立した歩道が付属している。しかしその有り様が何とも奇妙だ。
ところどころ切れているから歩行者は自由に往来できるが、構造が何だか現在いる市道から分離されたような感じだ。この市道の付帯物なのか、先ほどブロックされた側の市道になるのだろうか…
正面に児童公園が見える場所で再び突き当たった。
またしても左折する以外に道がない。”分離された歩道”はそのまま真っ直ぐ伸び、高さがまるっきり違う反対側の市道にくっついている。
この近辺はいったいに起伏の多い場所なので道路は坂道にならざるを得ない。
ガードレールで仕切られた反対側の道との高低差が大きいが、現在位置は平坦なので、元は一定勾配の坂道が平面交差していたのではないかと思われた。
わざわざこんな相互に行き来ができない道を最初から造るとも考え難い。それでこんな仮説が頭に浮かんだのだ。
最初にこの道が造られたときは
普通の交差点だったのでは…
当初は何処にでもある普通の交差点だったのを、ある理由のために今のような相互に車で往来できない構造に変更したような気がする。普通の交差点だったのでは…
再び90度展開してここから進行方向を撮影している。
先の方は一定の上り勾配になっているが、現在地へ近づくにつれて勾配が緩やかになっている。
しかもよく見ると、勾配変わりになっている場所から手前は後からアスファルトを被せた形跡が見られる。
(左側のL型側溝や路肩コンクリートも施工し直したような感じだ)
アスファルトを被せた分だけ路面が高くなり、ガードレールで仕切られた下側の道と段差が出来ているようだ。
元々は行き来できていたものをわざと段差をつけ、ガードレールで締め切って車が往来不能にしてしまった理由と言えば、これしか考えられない。
外部からの車が通り抜けるのを防ぐためでは…
元々が市の整備した住宅地で、道路もすべて認定市道である。これが地元の住民が管理する地区道とか個人の持ち物である私道だったら部外者の通行を制限する余地があるだろう。しかし”天下の公道”なら基本的に誰が通行しようが自由だ。工事を行うとか経路や到達先が危険な状況になっているなど特別な要素がなければ、無闇に通行制限はできない。
住宅地に暮らす住民が日々車で出入りするのは当然として、単に近道だからという理由で外部から進攻してくる車は地元住民にとって何一つメリットがない。騒音をたてて排気ガスを撒き散らされ、路面は早く傷み、何よりも危険だ。「通らないでくれ」という規制はできないので、十字路だった部分を加工して物理的に通り抜け出来なくすることで通行車両を減らしているのだろう。
直角曲がりを2度繰り返したので、経路としては起点の方へ引き返す格好になる。
即ち、起点から先取りする形で吐き出した高度をまた取り戻しにかからなければならない。
きつい…
起点の小羽山中央線までは戻らない。最初に横切った東小羽山5号線へ舞い戻って終点となる。
終点より振り返って撮影。
最初に起点から下っていった経路とそっくりで、道に迷ってしまいそうだ。
この市道の経路マップである。
国土地理院の地図では細かく描ききれないのですべて普通の交差点のようになっているが、実際はそうでないことは既に見た通りである。
東小羽山町ではこのような”擬似交差点”は2丁目の特に勾配がきつい横のラインに3ヶ所存在する。同じ東小羽山町内でも小羽山中央線より東側の1丁目および4丁目には存在しない。
まだ、同様の構造は南小羽山町2丁目の住宅地にもみられる。
写真には撮らなかったが、今回訪れた市道の擬似交差点付近には保育園がある。子どもたちの安全を考えれば、尚のこと外部車両には通り抜けて欲しくない要素がある。一見車には不便に思える道路構造の意図はそういう目的があったのだった。
【路線データ】
(延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください)
---名称 | 市道東小羽山7号線 |
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路線番号 | 546 |
起点 | 市道小羽山中央線・東小羽山バス停付近 |
終点 | 市道東小羽山5号線・東小羽山宿舎付近 |
延長 | 約350m |
通行制限 | |
備考 |
(延長など各データの正確性は保証できません。参考資料とお考えください)
本レポートとしては以上だが、ちょっとしたおまけ映像を…
自転車隊としてこの市道を走ったのは初めてだが、この場所自体は既に何度か訪れている。
私が初めてこの市道を訪れたときの映像だ。
2年前の春先であり、酷い雨だった。
初めて来たときからこの”擬似交差点”構造を見て「何じゃこりゃ?」って気持ちになってカメラを向けている。
擬似交差点で接する別の市道(東小羽山3号線)から撮影している。
それにしても…
「何でこんな酷い土砂降りの中を撮影に来ているの?」って疑問を持つだろう。
もちろんいつもの自転車ではなく車で来ていた。
どういう用事でここに来ていたかは…市道レポートから離れてしまうから聞かないでくれ^^;
終