山口宇部道路・未知の跨道橋【8】

その他の車道インデックスに戻る

(「山口宇部道路・未知の跨道橋【7】」の続き)

前編までのくだくだしい時系列記事をお読みになった方なら、
もう一つの跨道橋はどうなった?
という疑問を抱くだろう。北側の跨道橋については前後に接続する里道の通行可能性まで検証したものの、南側に架かる跨道橋は下から到達するのが困難だと報告したきりで放置されていた。

実際は放置していた訳ではない。後日、到達可能性の検証はキチンと行っている。ただし今更気を持たせて引っ張る積もりもないので結論を先に言ってしまおう。
跨道橋へ到達する里道は既に存在しない。
まだ橋の上に到達していないので、当然橋の取り付け前後部分がどうなっているかも分からない。しかし里道の失われ方は北側の跨道橋を更に上回る。実際にはまだ赤線状態かも知れないが、そこを歩くことを試みただけで不審者とみなされかねない程度にまで荒れていたのだ。

したがって早めに言明しておくが、以下の時系列レポートでは跨道橋への到達シーンはない。それどころか見える位置までの到達すら叶わなかった。迫田側からも岡ノ辻側からも同様だった。それ故にどんな塩梅でダメだったのかを記録するためだけに時系列的に書いている。
《 迫田側の里道 》
現地撮影日:2015/10/3
記事公開日:2015/10/29
地理院地図ではこの場所になる。入り口となる場所を中心にポイントしている。


既に検証済みの北側跨道橋よりも明瞭な里道が記載されている。その両端は市道迫田長谷線と市道丸山黒岩小串線を結んでいるので、跨道橋が架かった直後は相応に人が歩いて通っていた筈なのだ。
10月入りしてすぐのこと例によって萩原方面へ定例業務に赴く便があり、自転車を走らせた帰りに検証を試みた。

市道迫田長谷線の起点である。もうここで何度自転車に跨がったままカメラを構えたことだろう。


里道の分岐点のメモ書きは持っていない。上記の地理院地図を頭に入れていたので必要なかった。「市道の進行方向左側の住宅地がなくなってから初めて出会う右カーブのところ」と表現できる。

その右カーブだ。
住宅地がなくなって若干の畑地があり、そこからは間知ブロックで固められた山の斜面に沿って進んでいく。


カーブミラーの手前、コスモスが少し咲いているところに平地が見えていたので道がないか一応調べた。道の痕跡すらなかったし、そもそも地理院地図の表記に比べて進む方向が全然違う。分岐する里道は市道から若干左側へスライスするように枝分かれしている。

したがってまずはカーブミラーから先で左側への分岐を探した。
この辺りまだ間知ブロック積みと重力式擁壁が続いているので分岐路の可能性はない。


地理院地図の正しさを前提とした場合のもっとも考えられる分岐点。
ここで初めてコンクリート擁壁が切れていて、一段高い平場へ上がる入口のようにも見える。


擬定的な入口。
単に擁壁が切れている場所というだけだ。一面草ぼうぼうで道の痕跡も感じられない。


足元の草をかきわけた。
側溝にはグレーチング蓋が掛かっているように見える。経常的に跨がれる場所にはかならず設置されるものではある。


ただしその存在だけでこれが里道であると断定するのは困難だ。道路より高いこの場所に畑地を持っている地主が居て、一輪車を押して入れるように設置したのかも知れない。何よりも全然道らしさが感じられないのである。

本当言うと自転車を停めてこんな場所でカメラを構えるだけでもかなり後ろめたかった。
まるで不法投棄する場所の下見をしているならず者の一味のようである。


膝の上くらいまでの草むらにズブズブと入り込む。ヘビの尻尾でも踏んづけてしまいそうだ。
どうにもテンションが上がらない。


可能な限り我慢して踏み込み、そこで跨道橋のあるべき方向を写している。
現在居る場所より更に一段高い平場となっているので、以前は田畑だったのではと推測できる程度だ。道など何処にありどの方向へ向かっているかすら見当もつかない。


自転車の元へ戻り、更に左側を眺めながらしばし自転車を押し歩きした。
江頭川が再び市道の左側へ位置する場所で、それらしき方へ向かう道のようなものを見つけた。


残念…これは道ではなかった。
水を汲むための桶などが置かれている。そこへ接近しやすいよう周囲の草をちょっと刈ってあるだけだった。


この場所でちょうど別の道が分岐している。
恐らくこの市道自体の旧道だろう。


この分岐点を反対側から撮影すると、ちょうどあの桶がある場所になる。それで昔の道では…と考えかけたのだ。


地理院地図の枝道はここで検証した区間から伸びている筈である。恐らく最初にあたった場所だろうが、現状は背丈近くまで雑草が伸びていて道の痕跡すら窺えない。既に里道ではなくなっているか、あるいは里道だが普請する人が居なくなって自然へ還っていると考えるのが妥当だろう。

人里離れた山地なら、あるいは腹をくくった藪漕ぎも一法たり得た。しかし道路際には民家が多く、変なところをウロウロすれば酷く目立つ場所だ。10月ならまだ草木の勢いは衰えていないしヘビ遭遇のリスクもあるので、潔く諦めて岡ノ辻側へと向かった。

(「山口宇部道路・未知の跨道橋【9】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 跨道橋へ至る里道の入口はこの場所でほぼ間違いないと言える。Yahoo!地図でも現状は道がなさそうに見えるこの場所に分岐路として描かれている。


地理院地図では江頭川が市道下をくぐって左側へ移る場所から跨道橋までは直線距離で50m程度である。あるいは時期を見極めた上で藪漕ぎが早いかも知れない。
もっとも現在のところ実行する予定はない

ホームに戻る