佛坂古道(仮称)

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記事作成日:2020/1/8
最終編集日:2020/1/8
情報この記事に登場する物件(佛坂古道)は暫定的な勝手呼称です。正式名称が判明次第、修正し本タグを除去します。

佛坂古道とは、現在の県道231号美祢小郡線(以下「県道」と略記)より柳小野地区にて分岐し、佛坂と呼ばれる坂道を経て佛坂隧道をくぐり美祢市宗国地区へ向かっていた道の暫定的呼称である。
写真は県道との分岐点にある六地蔵。


かつて宗国地区を経て小郡方面へ鉱石を運ぶのにも使われた重要な古道である。宗国側は佛坂隧道手前まで昔からの道がほぼ完全な形で遺っているが、柳小野側は中国縦貫道の建設により恐らく古道自体が喪われ、隧道の坑口も道路建設の影響を受けている。少なくとも佛坂垰や佛坂隧道の坑口より下は断崖状態となっているため、柳小野側からの隧道や峠へのアクセス経路は知られていない。

県道から中国縦貫道の仏坂トンネル管理所までの通路は、市道柳小野宗国線として(途中に2箇所の柵が設置されてはいるものの)通行可能である。下の埋め込み地図は、市道沿いにある民家奥に設置された柵をポイントした位置図である。


柳小野側から佛坂隧道および佛坂峠に至る経路は一部が現在の市道に重なると思われるものの、何処から古道に分岐しているかは明らかではない。市道そのものはアスファルト舗装されており軽トラも通れる幅を有するため、中国縦貫道建設で道自体が改変されていて古道の経路を反映していないのではという疑義は以前からあった。
《 推定される古道の経路 》
最近、昭和初期に制作されたスタンフォード地図に柳小野地区が収録されていることが判明した。
下は柳小野地区と佛坂を含むエリアの地図で、標高71.6mと記載されている地点が現在の県道分岐点である。


この分岐点には六地蔵が据えられているため、古道の出発点であることに疑いはない。しかしスタンフォード地図を参照する限り最初の柵のある辺りから市道を外れて別の経路を通るように描かれている。

現在の市道を重ね描きした地図である。
途中にある枝道は、初回踏査のときから気付いていた水汲み場へ向かう道である。


六地蔵や民家のある辺りでは、市道の向かって左側に準用河川柳小野川がある。現在の市道は終点まで川を渡ることはない。しかし地図では川を横断して対岸側の沢地斜面を辿りつつ高度を上げるように描かれている。そして水汲み場がある大きな沢の上部を通って隧道へ向かう途中に「佛坂」の記載がみられる。その位置は市道がある沢より20m程度高いところを通っている。

水汲み場に向かう枝道は、市道において黄色いガードレールがみられる末端部である。
それより左側へ直角に道が伸びている。


この枝道に関して、2度目の踏査で初回では気付いていなかったブロック積み擁壁を見つけている。それは水汲み場へ向かう道のカーブを内回りしていた。
写真は帰り際に撮影している。山側を大きく削った斜面にブロック積み擁壁が施工されている。


擁壁は延長10m以上、高さ3m以上の規模であり、一個人が自費で建設したとは考え難いので、当初は佛坂隧道に向かう古道を後年改修したものではないかと思われた。しかしスタンフォード地図によれば古道はこの場所で沢尻に向かって高度を上げているので、ブロック積み擁壁のある道は古道を記述したものとは言えない。この道は共同の水汲み場まで向かう道を地元で整備したものではないかと考え直している。

むしろ古道の痕跡が疑われるのは、水汲み場の先端から更にズームで窺うことができた石積みである。
ほぼ同じ位置からの石積みズーム写真はこちら


再訪時にこの枝道を進攻したのは初回踏査で不明瞭だった写真の撮り直しが主な目的で、この沢地の上にに古道の存在をまったく考えていなかった。しかし今思えば、沢地より上側にあるこの石積みは人為的なものであり、スタンフォード地図の記載からもこの石積みの上にリヤカーを通せる程度の幅の古道が遺っている可能性が高い。仮に古道ではなくとも屋敷や畑地など何かの目的をもって平坦地を造った場所と考えられる。

市道から水汲み場へ向かう枝道周辺で発見された諸々の構造物などの位置関係は以下の通りである。
初回踏査時に作成した位置図を元に作成している。


地図では古道を黄色で描いている。沢の一番奥に見つけた鉄蓋より上方にある石積みは、初回踏査時でも撮影している。しかし水気が多くて足場が極めて悪く引き返したし、再訪時はこの方向に古道が存在すること自体まるで頭になかったためやはり引き返してしまっていた。この枝道はあくまでも水汲み場へ向かう地区共同の道であり直接古道には繋がっておらず、恐らくそれよりも手前から柳小野川を渡って対岸に伸びているものと推定する。

この推論を実証すべく、藪漕ぎ可能なシーズン中に再訪を計画している。その折りには市道沿いにある民家を再訪し可能であれば古道経路の聞き取りも予定している。
市道を経て初めて佛坂隧道の探索を行ったときの時系列レポート。
市道経路から外れることを知りつつも先述の枝道へ進攻し、沢地の先端で道が行き止まりになっているのを確認して引き返している。このとき既に沢地の更に高い場所にある古い石積みの存在に気付いている。
時系列記事: 仏坂隧道(初回探索・宇部市側)
先述の推論に基づき現地調査した結果は、時系列記事を作成するかこの総括記事を編集追記することで反映させる予定である。
出典および編集追記:

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