新堀橋

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現地踏査日:2012/8/15
記事公開日:2012/8/18
新堀(しんぼり)橋は真締川の小さな支流である塩田川を横切る橋で、市道栄町線の中ほどに存在する。
橋の位置を地図で示す。


塩田川はこの場所より100m程度下流で真締川に合流しており、元からそれほどの幅がない塩田川のもっとも広い部分を渡っている。それでありながら川の名前を冠した塩田橋はここではなく別の市道に与えられている。

市道栄町線の起点側から撮影。
JR宇部線が塩田川に貼り付くよう伸びているので、橋と踏切が連続することになる。


JR宇部線の踏切は栄町通踏切となっている。




ブロンズに陽刻された橋の名は新堀橋。


名前から「新しく掘った川」を想起させる。実際、宇部市内を流れる川として古い文献に真締川の名はあったものの、塩田川や渡内川の名はない。さほど標高のない低湿地を不定期に流れる状況を改善するために、後年排水路として直線的に掘削し直したもののようだ。
県道琴芝際波線よりも南側はかなり早期に琴芝町と命名されている。もっともそれ以前の地図では新堀という小字がみえている。当時の地図によれば、新堀より鉄道を挟んだ北側は松月堀、現在の神原公園がある近辺は今堀と呼ばれていたようだ。
この他、真締川沿いにも堀を含む小字がみられるので、現在の河川体系が整備される以前は広範囲な低湿地であったことが想像される。
市道名や踏切名に現れる栄町と同様、新堀も今やこの近辺の現行地名には遺っていない。一連の小字は町名統合や区画整理に伴って消えていった。

新堀橋から眺める塩田川の下流側の様子。
この先で若干曲がり、真締川の下流側を向く角度で合流する。
恐らく排水効率を考慮しての曲がりだろう


鉄道側の欄干には橋の読み「しんぼりばし」の銘板が取り付けられている。


上流側に移動した。こちらの欄干には川の名称の銘板である。
塩田川に沿って一方通行の市道塩田川線が通っている。


鉄道側の欄干には竣工時期を記録する昭和52年3月のプレート。
欄干のスタイルも太いアルミ製と思われる棒鋼の3本掛けで、昭和中期〜後期にかけては標準的なスタイルだ。


塩田川の上流側の様子。
随所で河床に石を積んで浅い堰のようなものが拵えられている。
塩田川に放たれている鯉の流失防止と聞いているのだが…


市道栄町線は4車線仕様なので、橋の延長より幅の方がずっと広い。
これといった特徴もない通路同然の橋だが、耐久性に問題がなければ今後も姿を変えることなく”新しく掘られた水路”の橋渡し役を演じてくれることだろう。

【追記】(2013/10/22)

新堀橋の線路側接続部、塩田川と宇部線の間から塩田川のカーブ部分外側に見える草地までが市公園緑地課の管理する春日公園とされる。


春日公園は近隣公園であるものの公園らしき整備はまったくされておらず、またこの場所から「園内」とされる場所を歩いていくこともできない謎めいた存在である。

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