右岸の下流側には錆び付いた扉があった。
当然施錠されているし、周囲は草だらけで最近まったく開閉された形跡がないような門扉だった。
担当者が随伴している手前、大きく身を乗り出してカメラを構えるなど妙な行動は取れないので中途半端な写真になっている。
扉の外側には監査廊とダム下まで延々と階段が続いていた。現在は通行されていないようである。
(ダム事務所の裏手にも同様に監査廊まで降りる階段が見えている)
上流側にある同じく酷く錆び付いた両開きの門扉。
むしろこちら側が気になった。先に通路のようなものが見えていたからだ。
同様に施錠され、関係者以外立入禁止の札があったが殆ど読み取れないくらいに朽ちていた。
雑木が進出しているから分かりづらいだけであって、どうもこの扉の外側には道があるように思われた。
何処へ向かう通路なのかとても気になった。先ほど眺めたあのコンクリート塊だろうか。[1]管理区域でなかったなら柵を乗り越えてでも先を探索していただろう…敢えて担当者には尋ねなかった。この外へ出られるわけがなかったからだ。
(恐らく管理事務所にもこの門扉の鍵はもう存在しないのでは…)
まるで私が単身潜入しているようにも思われてしまうので、身の潔白を証明するために(?)この管理区域内へ担当職員随伴で訪れていることを証明するショットをそれとなく撮った。写真の右端に姿が写っている。プライバシーがあるので明瞭には撮影していない。本来立入禁止のこの場所に私以外のダム事務所職員が随伴していることが分かれば足りるだろう。[2]
右岸からの堰堤。
誰も訪れる場所ではないので側溝の端には草が生えていた。
右岸からのダム下の眺め。
担当者随伴でいつものようにじっくりアングルを考えて撮影する時間的ゆとりがないので、構図が如何にも粗雑なのは勘弁して欲しい…
右岸から眺めたダム堰堤の全容。
現在、総括記事に載せている写真である。全体が入り切れていないが、視座を上げて欄干が入らないように撮影するにはこのアングルしかなかった。
次に興味が向いたのは、ここへ来るときから見えていた上流側の露岩だった。
山側の半分は吹き付けで、ダム湖側に出っ張っている部分は岩をはつった当時のままである。
ダム堰堤部を施工する際に支障のない範囲まで削ったのだろう。
「縦に沢山の筋がついていまるが…ダム建設時のものですね。」
「そうです。鉄の棒を上から打ち込んで岩を割り落としています。」
「そうです。鉄の棒を上から打ち込んで岩を割り落としています。」
ズーム撮影する。直線距離で堰堤から5m程度だ。
何本もの縦筋が岩に刻みつけられている。何十年も昔のものの筈なのに殆ど風化していない。
コンクリート吹付け部分の斜面に空いた洞穴。これは一体…?
周囲は古い吹き付け状態なので施工後崩れたのではなく、当初からこのような穴が開いていたようだ。
自然に出来たのだろうか…羽根を持った動物以外接近は不可能な場所だ。
ここがどういう場所かを如実に示すショット。堰堤から恐る恐る覗き込んでいる。
岩を割るときの縦筋跡が一番下まで続いていた。多分水面下部分にもあるのだろう。誰が投げたのやら分からない古いコードが岩の上に引っかかっていた。
(鉤の着いた棒でも使わないかぎり回収は絶対に不可能)
かなりスリリングな光景をカメラに収め、再びダム事務所に向かった。
右岸から見た下流側の眺め。まだ下流側を撮っていなかった。
下流では左へ曲がっているので右岸からの方がより遠くまで見渡せる。発電を終えたダム水が左岸寄りから排出されているのが見える。
バリケードの内側にある主要なものは一通りカメラに収めておかなければなるまい。
コースターゲートの銘板部分。60tを超える巨大なゲートは豪雨時の放水などで操作されている。
管理区域内からみた左岸側。
右岸側より山は低いが、先端が尖った独特な形のピークがみられる。
こうして堂々と管理区域内を撮影できた次第だ。
ダム事務所へ撮影許可を願いに行く必要もなく実現できたのは本当にラッキーだった。
一度訪れて撮影したら足りるから、ここを再度訪れて見学を請うことは多分ないだろう。
(上流側に向かうあの廃道っぽい道の行き先が気にはなるが…)
(「阿武川ダム・平成25年度見学会【4】」へ続く)
出典および編集追記:
1.この入口をポイントした拡大地図である。
拡大地図では右岸から先に道が続いているように記載されている。かつては堰堤上を自由に行き来できたのかも知れない。
現在は管理区域内にあるので事実上通行禁止である。
(拡大表示外になるため何処へ続く道なのかは不明)
2. この場所への潜入について。物理的には有刺鉄線付きのフェンスなどを設置していないので跨ぎ越して入れてしまうが、危険防止でバリケードを設置している以上、職員に無断で立ち入るのは避けて欲しいという回答だった。
ダム管理事務所には担当者が常駐しているので、申し出れば業務多忙な状況でなければ担当者随伴で入ることができると思われる。少なくともダム見学会開催時は可能だろう。
1.この入口をポイントした拡大地図である。
拡大地図では右岸から先に道が続いているように記載されている。かつては堰堤上を自由に行き来できたのかも知れない。
現在は管理区域内にあるので事実上通行禁止である。
(拡大表示外になるため何処へ続く道なのかは不明)
2. この場所への潜入について。物理的には有刺鉄線付きのフェンスなどを設置していないので跨ぎ越して入れてしまうが、危険防止でバリケードを設置している以上、職員に無断で立ち入るのは避けて欲しいという回答だった。
ダム管理事務所には担当者が常駐しているので、申し出れば業務多忙な状況でなければ担当者随伴で入ることができると思われる。少なくともダム見学会開催時は可能だろう。