生雲ダム【1】

ダムインデックスに戻る

(「生雲ダム」の続き)

行雲ダムに到着し、広い駐車場に車を停めた。
駐車場のダム寄り側に中電が長門峡を散策する人のために作った案内板があった。


散策する人が通れば、不心得者だって居るだろう。ゴミ捨てに関する立て札が出ていたが…
ちょっとツッコミ入れたくなる自分がいた。

社有地じゃなくっても、
野山にゴミを捨てちゃダメだって。
あるいは無断ではなく「捨てますよ」と断った上でゴミを捨てる人が居るとか…^^;

さて、発電用のダムなので上流で大雨が降るなどしてここから余剰水を流すことがあるらしい。その際にサイレンを鳴らすなど丁寧に案内されていた。


自然歩道を散策する気がない私にとっては、併記されている経路図の方が重要だ。

先ほど訪れた榎谷取入口から生雲ダムへ、そして長門峡発電所まで阿武川の水を導く水路が明記されている。
「榎谷ダム」と書かれているが実際にはダムの定義には当てはまらず堰堤が正しい…来訪者向けに分かりやすくダムと書いているのだろう


ダム堰堤への入口はダム事務所の正面付近にあった。


駐車場を出たところからダム堰堤が見え始める。ゲート操作塔らしきものが3基見える。


操作室は堰堤中央部で下流側へ突き出す形で設置されている。建て屋の外にあるグレーチングの通路に支えはなく、完全な宙づり状態だ。


さて、車に乗ったままその前を通過するときから分かっていたことだが…
大変、喜ばしいお知らせだ。
ダム堰堤の立ち入りは自由にできる。


ダム堰堤に向かう階段があり、両脇に控える門柱の一つに生雲ダムの銘板が貼られている。何より重要なのは、入口に門扉が設置されていないという事実だ。
即ち、ここを訪れた人は誰でも何の気兼ねもなくダムを観察できる。
中国自然歩道を歩く人たちのために便宜を図っているのかも知れない

写真でも分かる通り、生雲ダムはそれほど規模の大きいダムではない。それでいて山間深い大変アクセスの悪い場所にある。
ダム好きな人が遠方からはるばる車を走らせたものの、ここに有刺鉄線付きの門扉が立ちはだかっていたら、観察する価値は半減だ。単なる「がっかりスポット」に終わりかねない。
ダムが危険な場所なことは全く自明で、自己責任で自由に見学できるように開放されていることは貴重であり大変好ましいことだ。これが交通量のある国道に面していたり、近くに小学校などがある立地のダムなら、とてもこうはいかないだろう。

堰堤入口の横にお馴染みの水利使用標識が立っていた。
道幅が狭くアングルが取れないのでダム管理所の階段に上がって撮影している


取水許可更新を今年の春行ったばかりで、許可期限が平成43年度末までとなっている。20年先まで安泰に取水できるわけだ。
むしろそれまでに設備の更新や補修が必要になるのでは…


さて、せっかく自由に見学できるよう便宜を図ってもらえているので、遠慮なく観させて頂こうか…
そしてダム堰堤入口に近づき、この銘板を撮影したときだった。
あの対岸に見える水しぶきは…?


対岸の一箇所から結構な勢いで調整池に水が流れ込んでいるのか、白い帯を湖上に描いている。
かなり大きな水の音で、そう言えばダム堰堤入口に近づく前から聞こえていた。

ダム堰堤の階段を降りてズーム撮影した。水しぶきはダム底から沸き上がっているのではなく、開渠から勢いよく流れ込んでいるように見える。


すぐにその正体が理解できた。

そういうことだったのか…

アジトを出る前、念頭に置いていた未解決問題の一つが片付いた瞬間だった。

大丈夫…
物件は逃げはしない。時間も充分にある。後でじっくり観に行こう。
次章に寄り道記事のリンクを案内している

最初の階段を降りた左側には小さな2階建ての小屋があった。さすがに入って欲しくない場所もあるようで、ここにはやんわりと見学者を退ける程度の標示が出ていた。
シャッターが降りていて安全は保たれているせいか侵入阻止の本気度はあまり高くなさそうだ。


同じ場所の右側にはそれより小さめの建て屋があった。
予備発電機室とだけペイントされた扉があり、窓も何もないのでそれ以上のことは分からない。


ここから十数段の階段を降り、踊り場に到達した。
写真には撮っていないが、この踊り場には薄い鉄板らしきものが敷かれていて、床がボコボコしていた。

左側には何をするものかよく分からないが、軌道上を行き来できる作業車らしきものが待機していた。ネットフェンスで仕切られ中には入れない。
これも後で案内する寄り道記事で明らかになるだろう


右側は一般廃棄物保管場所となっていて、こちらもフェンス門扉は施錠されていた。


フェンスの内側にレールがあって、端には金網のくず籠やポリ容器が置かれていた。
湖面に溜まった夾雑物を引き上げここに貯留しているようだ。

足元にボコボコする板が覆われている理由が分かった。
通路をレールが横切っているので、躓かないように板を被せてあったのだ。

廃棄物保管場からは下の階へ通じる螺旋階段があった。
何の施設へ向かうものかは分からない。


少し進んだところで振り返って撮影。
シャッターのある小屋の下は空洞になっているようで、開口部は結構厳重にネットフェンスで封鎖されている。
この時点で一連の小屋が何をするためのものかは理解できていた。


ダム堰堤側を撮影。
ここから先も進攻を制限するものは何もなく、自由に立ち入れるのが本当に嬉しい。


さて、いよいよダム堰堤に乗り込む。
対岸にある水しぶきの場所についても詳細に踏査しなければなるまい。

(「生雲ダム【2】」へ続く)

ホームに戻る