今富ダム

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記事作成日:2014/8/15
今富(いまどみ)ダム[1]は有帆川の支流である今富川を堰き止めて造った治水・灌漑用水向けのダムである。ダムの諸元については、県のホームページ[2]に詳しく掲載されている。

映像でも分かる通り、左右非対称なダム堰堤とダム下まで田畑や民家が近づいているダムサイトらしからぬ立地が特徴である。実際、今富ダムは険しい山奥ではなくかなり開けた里山近くに位置する。
《 アクセス 》
今富ダムの位置を地図に示す。


県道小野田美東線を北上し、矢矯(やはぎ)を過ぎて山中を走ると程なくして今富ダムを案内する看板に出会う。


県道を外れて小さな峠を越える道を進むと再び視界が開け、かなり広々とした平地に出てくる。
そして唐突にダムが正面に見えている。


およそダムというものは急峻な山奥にあり、堰堤に到達するまで車で延々と坂道を登っていくイメージがあるだろう。
ある程度の地形は国土地理院の地図で推測できるものの、何の予備知識もなく現地へ赴けば、ダムサイトらしからぬ風景に戸惑うかも知れない。
ダムの足元まで田畑が広がり、民家も数件ある。

正面から見ても、今富ダムは一般的なダムと外観が変わって見える。
放流ゲートがダムの中心部になく、右岸側(写真では左側)のダム堰堤部が奇妙に長い。拡大対象画像です。
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駐車場の手前から見たダム堰堤。


ダム堰堤は市道となっていて普通車でも通行できる。


ダム堰堤より今富湖を望む。
正面やや左側の岸辺に人影が見える…湖上でボートを漕いでいる人である


放流ゲートから真下を撮影。
大した高さのないダムとは言ってもやはり真下を観れば目が眩む。拡大対象画像です。
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下流側のダム堰堤。
今から思えばこの写真には既に重要なものが写り込んでいた…


ダム堰堤から見た事務所。
普段は無人というのに、やけに設備が過剰に思えてしまう。竣工が昭和50年代だから、当初は職員が常駐していたのかも知れない。
他のダム管理所同様普段は無人で、放流量の調整など必要な操作は土木事務所から遠隔操作されている。


当時撮影したダム事務所の玄関。
ここ今富ダム事務所もコンクリート造りの2階建てながら年中殆どの時期は鍵が掛かっている。
その割に玄関横の花壇や置かれている観葉植物の鉢は青々としており、定期的に職員が灌水に来ることが窺い知れる。


左岸のダム事務所から眺めた映像。やはり右岸側がかなり長い。


この非対称的なダム堰堤構造は、元からあった谷地とそこを流れる今富川の位置関係に起因している。
ここまでが3年前初めて訪れたときに撮影された写真である。
《 特徴 》
・山陽小野田市に主な流路を持つ有帆川にはダムがなく、集中豪雨による冠水や干魃の渇水などに悩まされてきた。そこで有帆川の主な支流である今富川の治水を主とした目的でダムが造られた。このため発電や工業用水関連の設備はなく、湛水面積や総貯水量は宇部丸山ダムより更に小さい。

・今富ダムはゲート操作を必要としない穴あきダムである。上流からの流入分が灌漑用水需要分を上回るせいかダム湖の水位が低下することは殆どない。したがって雨があればもちろん普段でも余水吐から流れ出ているのをよく目にする。

・ダム管理所のある左岸の市道から数百メートル先にボート格納庫がある。

・平成の市町村合併以前は今富地区は厚狭郡楠町に属していたので、宇部市民にとって今富ダムの知名度はそれほど高くない。ただ、湖の周囲に桜の木が植わっていて花見の時期に賑わう点では宇部丸山ダムと類似した環境にある。

・ダムおよび今富湖関連だけで3つの公園を有する。即ちダム下右岸、ダム堰堤上の右岸、左岸でダム管理所に隣接する場所である。
以前は手入れが行き届かず夏場は雑草に覆われてかなり荒れていたが、近年整備された。特にダム下の公園は正面からよく見えるように花が植えられ綺麗になった。

・堰堤上は認定市道となっていて外部からの車も自由に通れる。しかし交通量は殆どない。

・利水と治水目的に造られたダムながら付帯設備が多く、その中には機能がよく分からないものがいくつもある。ダム堰堤より下流側の山に見える巨大な白い板と左岸側のダム事務所の高台にある遺構はダム関連の施設である。(2017/4/17)
《 Googleストリートビュー 》
ダム堰堤が正面に見える位置の映像を示す。


この市道を進めばダム事務所の前へ出てくる。
以下にこれまで公開された関連記事のリンクを案内する。この2編は夏期に開催された見学会の記事で、一部は限定公開記事になっている。
時系列記事: 今富ダム・平成23年度見学会【1】

ダム下右岸から監査廊入口、右岸堰堤部分の一部を歩いた踏査レポート。全2巻。
時系列記事: 今富ダム・右岸【1】
《 個人的関わり 》
初めての訪問が自転車となった唯一のダムである。野山時代に自転車を購入後、比較的早い時期に訪れている。厚東川ダムや宇部丸山ダムを視察した後、自転車でどうにかなる距離にあったため食指が伸びたようだ。堰堤はそれほど高くはないものの、ダム事務所まで自転車を漕いで登るのは大変だった。以後、見学会を含めて数回訪れているがいずれも車による。
出典および編集追記:

1. 県サイトでは今富の読みを「いまとみ」と紹介している。しかしながら上記の写真にもある通り、県道に出ている今富ダム案内板のローマ字表記は Imadomi Dam となっている。当サイトでは既にファイル名を「いまどみ」で設定している兼ね合い上、このまま運用する。

2.「山口県|河川課|今富ダム

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