徳山発電所・平成23年度見学会【1】

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現地踏査日:2011/7/30
記事公開日:2012/8/5
時系列的には「間上発電所【8】」の続きとなる。

予定外に壮絶な戦いを挑むことになった間上発電所の踏査を終え、私は次なるメインの目的地、徳山発電所に向かっていた。再び県道を下り、国道2号バイパスを東へ向かって三田川交差点を左折して国道315号に入る。十数年前には幾度か車で走った道なので全く迷うことはなかった。

些か裏話的になるが、東部発電事務所に到着したからとてすぐに見学会参加はできなかった。今少し「間上の戦い」の後処理が必要だったのである。戦いの後ではぐちょぐちょに濡れたシャツを着替えただけで、下着やズボンは汗まみれだった。
駐車場に車を停めたとき、後部座席にスポーツをした後の着替えを積んでいたのを思い出した。幸い一着分の予備があったので運転席に乗ったまま下着と半トレに履き替えた。これから見学会ってのにあまりにラフ過ぎる格好だが、汗に濡れたズボンが重たくて気持ち悪いったらなかったので。

車は市道側から目立たない場所に停めていた。車内でゴソゴソ動き回って着替えているうちに替えのバッテリーを狭い隙間に落としてしまい、回収するのに酷く苦労した。
それにしても…我ながら埃まみれのきしゃない車だなぁ…ちったー掃除しろよー^^;


結局、外の風にも当たりたくてズボンや靴下を車外へ持ち出し、建物の影でサッと履き替えるという何とも格好の悪いことと相成った。それでも上下の着替えを車に積んでいたのは助かった。夏場は着替えが絶対に要るなーと感じた次第だった。

さて、一息ついた後は記事向けに現在地の写真が要ると思い、周辺を少し歩き回った。
右手に見える高架橋が山陽自動車道だ。
汗がレンズ内部に入ったらしく以後数枚は写真の中央部分がぼやけている…間上発電所の余波がここにも…


敷地への入口には、まるでお祭りみたいに幟や案内板が乱立していた。
結構派手にアピールしている。


ここからは国道315号を伝って峠一つ越えた先になるが、菅野ダムにある菅野発電所の案内も出ていた。
案内されるまでもなく徳山発電所見学の後で行く予定になっている。


一旦発電事務所を離れて市道を渡る。
前方に国道315号のT字路が見えている。先ほどは右折してここに到達してきた。


徳山発電所の見学会に来たのになかなか入場せず勿体ぶっているように思えるだろうが、そうでもない。
ここからすぐ山手に関連ある興味深いものが見えるのだ。これは見逃すわけにはいかない。

市道の北側はすぐに急斜面となっていて、かなり大きな掘り割りを造った中に水圧鉄管が敷設されている。


見学会の説明を受けるまでもなく徳山発電所に送られる発電用水と想像がついた。
詳細はこれから分かることだが、見学会が終わったら次の訪問地菅野ダムが控えている。関連物件としてももう少し詳細な写真を撮っておかねばなるまい。

水圧鉄管路の横は雛壇になっていて、その一番下から接近できそうだ。
間上発電所とは違い、水圧鉄管路自身はフェンスの内側にある。辿ってやろうと闘志を燃やす余地はない^^;


雛壇の一番下にはフェンス門扉があり、その手前にサイコロ状の小屋らしきものがあった。
関係ある設備かどうかは分からない

まずは水圧鉄管が地中へ潜り込む末端部分に接近する。
直接水圧鉄管路を手に触れることができた先の間上発電所とは違い、周囲をびっちりと有刺鉄線付きネットフェンスで囲まれている。それも水圧鉄管から両脇数メートルもの土地を含める厳重ぶりだ。


上の写真でもちょっと映っているが、気になって何となく撮影した真っ白なキノコ。
気持ち悪い…触るのも嫌だなぁ(>_<);


さて、水圧鉄管だが…
フェンスの網目が接近とアングル撮りを遮るので全容を写真に収めるのが難しい。特に上部は両側から垂れ込める木々で隠されていて詳細が分からなかった。


先端部分のコンクリートは斜面になっており、その先端に何やら奇妙なモノが串刺しになっている。


さっそくの疑問だが、
これは一体、何?


コマのような形をした鉄管が垂直に立っており、操作するバルブらしきものが取り付けられている。もっともそれは有刺鉄線付きフェンスの内側で、バルブ付近には階段もないので、日常的に操作するものではないらしい。

直感的に予想したのは空気抜きである。
厚東川2期工業用水道で小野湖と丸山ダム湖の水を相互運用する鋼管の一番高い場所にも炊飯器のお化けみたいなものが付属している。形はかなり異なるが、あれと同様の役目を果たすのだろうか。
しかし一定の勾配を保っている水圧鉄管に空気など滞留しない気もする

水圧鉄管路の規模は間上発電所で見たものを軽く上回る。
既に分かっているので数値を持ち出すが、直径1,800mm。中を人が立って歩ける程度の太さだ。こうして観察している間も鉄管路の中をもの凄い勢いで遥か遠くから導かれたダム水が発電用水車目がけて突進している筈なのだ。
どのくらいの流速で動いているのだろうか…


この水圧鉄管は、異様な大きさを見せつける私の視覚以外にも訴えてきた。
水が流下する音が聞こえる。
カメラを構える私はフェンスに貼り付いており、水圧鉄管から少なくとも5m程度離れている。それでも私の耳にまで明らかに鉄管が音源と思われる流下音が届いていたのだ。
ザーッと言うよりはシャーッという摩擦音である。

水圧鉄管の威容もだが、この音を採取しようとパノラマ動画撮影を試みた。
[再生時間: 21秒]


流下音自体はセミの鳴き声にかき消されて収録できなかった。

水圧鉄管は山の斜面から真っ直ぐ降りてきており、途中で軽く上下方向に折れ曲がっている。ところどころジョイント部分をコンクリートで巻いているのは間上発電所のと同様だ。


フェンスと石垣の天端の狭い部分を伝って正面に移動した。
幅約10mにわたってフェンスが設置され、その中に水圧鉄管と管理道らしきコンクリート路が見えている。最上部の様子が僅かに見えたがどんな構造なのかは分からない。


反対側に移ってみる。
そこから先は個人宅に向かう私道のようだ。


ちょっと入口までお邪魔して、フェンスに貼り付く。
しかし垂れ込める木々に隠されて結局最上部がどうなっているかは分からなかった。


他に何の予定もないなら、時間を割いてこの水圧鉄管の最上部を目指していただろう。間上発電所の水圧鉄管よりは標高差も延長も小さいし、水圧鉄管路の最上部付近まで車で行ける道があることを確認していたからだ。


残念ながら今日はそれほど時間的余裕はない。期間限定の見学会には一通り参加しておきたいし、仮にそれを全部終えてなお時間が余ったなら、他にも観に行きたいダムがいくつも控えていたのだ。
予備知識も含めてこれらの光景を自分の脳とデジカメにインプットした後、東部発電事務所に向かった。

見学会として企業局の事務所を訪れるのは今回が初めてである。これまで参加してきたダム見学会は、すべて県の土木部などが主体だった。
企業局も県の出先機関の一つなので同じようなものだが、ありがちなことで部署が異なるため横の繋がりに乏しい。例えばダム事務所で工業用水関係のことを尋ねても一般的な回答だけで詳細は企業局に問い合わせて下さいと言われるのが常である。企業局はその名の通り企業向けの部局なせいか、一般庶民への情報開示に温度差を感じる。例えば同じ県管理でも企業局のダムや水利施設の多くは見学会の対象から外されている。
宇部丸山ダムや美祢ダムなど

ここなら工業用水に関する質問をしても納得いく答が頂けるだろう…発電所の見学もさることながら、私は手持ちの疑問をそのままぶつけてみようと思っていた。

再び汗の滲んだTシャツに半トレという酷い格好で東部発電事務所を訪れることになる。


玄関を入った正面に徳山発電所の縮小模型があり、その下には原理を説明する水車が置かれていた。
見学会以外で訪れたことがないのでいつ来ても観られるのかは分からない


玄関に事務椅子とテーブルが置かれパンフレット類も並べてあったが、それほど見学者が押し寄せる状況ではないらしい。テーブルには職員の呼び出しボタンが置かれていた。


ブザーを押すと2階から担当者が降りてきた。
「いらっしゃいませ。どうぞ2階へ…」
平日なら用件を伝える必要があろうが、今は一般の来訪者がここへ来る目的は殆ど一つである。私は半トレにスニーカーという素晴らしい格好(?)で事務所の2階に向かった。

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さて、ここからは例によって期間限定ネタになる。
以下の2編は記事公開案内後のごく短時間だけ一般公開される。

(「 徳山発電所・平成23年度見学会【2】」へ続く)

(期間限定記事は現在締め切られています)

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