桃色レンガ

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記事作成日:2019/11/24
最終編集日:2019/12/20
ここでは、宇部市において特に旧宇部村エリアを中心に使用されてきた桃色レンガについて記述する。
写真は東梶返地区にみられる両側が桃色レンガ塀の里道。


写真にみられるように、桃色レンガは通常みられる標準的な赤色レンガ(ここでは従来型と呼ぶ)よりも色調が薄い。しかし外観や色調がよく似ていながら製法が異なるレンガが知られる。一般に桃色レンガと言えば、後述するような製法で造られたレンガを指す。
《 桃色レンガの定義 》
桃色レンガは、赤色や濃い橙色に近い従来型レンガに比べて明らかに色調が異なっている。しかしこの色調は桃色レンガであることを決定づける要素ではない。従来型でありながら桃色レンガに類似した色調をもつものが知られている。

この映像は、単材の桃色レンガである。
表面の接写映像はこちら


これと非常によく似た質感と橙色を帯びたレンガが東岐波花園地区に知られている。


現地観測による帰納法的な推論により「東岐波地区には桃色レンガが存在しない」という仮説が立てられていたので、このレンガ塀は反例となるのではないかと思われた。しかし近接画像と共に桃色レンガの実例を見慣れた複数のメンバーに精査してもらったところ、色調が薄い従来型レンガであるという意見が大勢だった。[1]典型的な桃色レンガを見慣れていれば違いが明らかだが、不慣れな場合や単純な色調のみに頼ると桃色レンガとの区別が難しい。「外観が桃色を呈しているレンガ」と「桃色レンガ」は別物であり、それ故に桃色レンガの定義を与える必要がある。

従来型のレンガは、粘土につなぎとなる材料を混ぜ合わせて窯で焼成する。レンガ色とも言える発色はこの過程で生じる。桃色レンガは主原料が石炭の燃焼灰であること、石灰を加えて叩き固めて焼成することなく天日干しにする点が異なる。一般には外観そのままに桃色レンガと呼ばれるが、専門家の間では炭滓煉瓦とも呼ばれている。

宇部市および周辺地域まで含めた桃色レンガに関する文献で現在ネットで参照可能なものは、下記に挙げる論文がもっとも詳しい。
外部サイト: 炭滓煉瓦に関する基礎的研究|日本建築学会計画系論文集
歴史的背景から製造拠点、製品の分布や組成など多角的かつ専門的に記述されており、熟読すればここで総括記事としての追記は殆ど不要とも言えるレベルである。ここでは上記文献を元に、総括記事を作成する現時点での状況と現地映像、今後の取り組みなどを補完的に記述する。以下桃色レンガと言えば一連の製法に則り造られるレンガに限定する。
《 歴史 》
桃色レンガは主にレンガ塀の形として旧宇部村エリアによく観察され、離れた他地区には稀にしかみられない。このため宇部村発祥と考えたくなるが、上記文献によれば厚狭郡埴生町にもっとも早い記録がみられる。その数年後に宇部硬化煉瓦株式会社や宇部硬化煉瓦研究所が立ち上げられているので、埴生での製法技術を元に石炭灰やボタが発生する産炭地で大量製造されるようになったと考えられる。

大正期に発刊された宇部市新地圖には、真締川塩田川の合流地点(現在の寿町)に硬化煉瓦研究所という記載がみられる。対岸には宇部電気株式会社があり、真締川の上を索道のようなものが描かれている。火力発電所で大量に発生する石炭殻を運び込み桃色レンガの製造原料としていたことが分かる。石炭採取後のボタと共に以前は埋め立てに使う以外なかった焼却灰の活用法としての道筋がつくこととなった。このことにより桃色レンガはしばしば究極のリサイクル品とも呼ばれる。
【 普及と伝播 】
石炭が産出していた市内エリアに限定すると、レンガ塀の絶対数自体がそれほど多くない中で桃色レンガ塀比率はかなり高い。殊に市街部では従来型のレンガ塀(近年施工された釉薬のかかったタイプは除く)の方が少数とも思える程度である。これは桃色レンガが恐らく従来品よりも安価に製造できたことに加えて、地場産業である石炭から産まれた製品であることへの愛着と言われている。

昔は民家の囲障にレンガ塀を建築する家自体が少なく、立派なレンガ塀を拵えるには資金が必要だった。屋敷をぐるりと囲む形で桃色レンガ塀を造るのはステータスシンボルであったと考えられる。実際、文献によれば後年には石炭灰が減少し桃色レンガ塀の建築も困難となりながら、敢えて桃色レンガ塀による建築を依頼した事例が紹介されている。
【 衰退 】
隆盛を極めた桃色レンガであるが、炭鉱の閉山が相次いだ昭和40年代には衰退していった。原材料となる石炭灰が大量に得られにくくなったことにも依るだろうが、論文にもあるように炭鉱からセメント工業へ転化したことが大きい。民間の建材としてもレンガと同じサイズに成型したセメントレンガへ移行していったと思われる。このタイプの塀も桃色レンガ塀と同程度によく遺っている。

セメントレンガから建築ブロック、更に新素材が普及していく過程で桃色レンガは製造されなくなったばかりか、平成期に入る頃にはその正確な製造法が分からなくなっていた。
過去の資料を元に製法を解析し、復元された製法で造られた桃色レンガが市立図書館の駐車場一角に展示されている。


ただし復元された桃色レンガは実地に民家の塀として観察される桃色レンガとは色調や含まれる粒子が異なっている。論文によれば所定の材料を一定比率で混合してただちに製造するのではなく、ボタや石炭の焼却灰を一定期間貯め置いてから使っていたとある。この過程で原材料が赤みを帯びて桃色レンガ独特の色調が現れる。貯め置いた期間の短い材料で造られた桃色レンガは安価だが発色が弱く、ベンガラを混入して色合わせすることも行われていた。養生にあたって蒸気乾燥させて強度を高める処理が行われたともある。
《 使用例 》
屋敷を囲障するレンガ塀としての使用例がもっとも多く、現存している桃色レンガも殆どがレンガ塀として観測される。高さは従来型レンガで築かれたものと同程度だが、相当な延長を持つものもある。冒頭の写真にある東梶返地区のレンガ塀は現存する桃色レンガ塀のうちでも上位に入る。

湿気を吸う性質があり、これを活用して湿気が溜まりがちな山際に近い農村部の民家でも使われた。ただし従来型レンガに比べて継続的な水濡れには弱く、古い時期に施工された桃色レンガ塀では、直接雨の当たる天端部分が削れたものがみられる。この特性のせいか、水路の常時水に浸る部分に桃色レンガが使われている事例は知られていない。

焼却灰を混ぜているため耐火性が良く、風呂のかまどにも使用例がある。ただし家屋の内部にあるため実地に観察された例は少ない。
写真は船木地区にある風呂の焚き付け口に使われた例。


桃山配水計量室(六角堂)は、公共の建造物に桃色レンガが使われている希少な事例である。


特に明かり採り窓上部に造られた桃色レンガによるアーチ構造は、民家の桃色レンガ塀のくぐり戸部分に使われたごく僅かな事例しかない。
《 分布 》
普及時期を元にするなら現在の市内市外の分類はあまり意味をなさないが、現在の視点から桃色レンガを観察する上で便宜上ここで言う市内とはこの総括記事を作成する現時点での時間軸における宇部市内を指す。
【 市内 】
上記のように桃色レンガの主力な製造拠点が現在の市街部(琴芝町1丁目付近)にあったことから、最初期の宇部市を構成する5ヶ村のうち中宇部、上宇部、沖宇部、小串には普遍的にみられる。川上はレンガ塀の実例自体あまり観察されておらず充分に調査されていない。殊に炭鉱のあった琴芝、梶返、上宇部に顕著に多い。

西側では藤山村も5ヶ村に次いで多く、厚東川より西の厚南村は絶対数こそ多くはないが希少という程ではない。北の厚東村では厚南村よりやや多く、殊に田の小野は観察されるレンガ塀の殆どが桃色レンガである。この辺りは既に石炭の産出するエリア外であるため、高い桃色レンガの普及率は南北道路の影響が強い。かつて小野村であった荒瀬地区にも桃色レンガがみられる。一の坂より北側の小野地区では観測数が充分ではない。

平成期に合併した楠町エリアは桃色レンガ率が有意に高い。セメントレンガを除けば従来型と比較すれば桃色レンガの方が多いように思われる。有帆に硬化煉瓦工場があったことから船木地区の桃色レンガは有帆産の可能性が高い。

他方、市東部では西岐波、東岐波で東へ移動するにつれて桃色レンガ比率が次第に下がっていく。西岐波も床波エリアでは桃色レンガが顕著だが、これより東では有意に減少する。同じ西岐波村でも東側の村松、永ヶ久保に桃色レンガは見当たらない。そして現在の東岐波村相当エリアには桃色レンガは一つも観測されていない。レンガ塀を含めて素材としてのレンガも人為的に持ち込まれたものを除外して、今のところ「東岐波村には桃色レンガは存在しない」という自説をとっている。

この根拠として、西岐波村の東部から東岐波村にかけては昔から良質の粘土が産出し、これを活かしたレンガ製造工場がいくつもあったことに依る。最盛期には製造品を船積みする場所もあった。顕著な事例としては、丸尾原の海岸にあるレンガおよびスレート工場の遺構がある。半壊状態の間知石積みに混じって建物の柱に使われていたレンガ巻きの柱が波打ち際に転がっているが、そのすべてが従来型レンガである。地場産業による製品への愛着や価格的優位性から、桃色レンガが割って入る余地がなかったものと考えられる。
【 市外 】
東岐波より更に東の阿知須町も調べられており、従来型レンガしか存在しない(らしい)ことが判明している。ただし皆無であるかどうかまで調べられていない。

東西のエリアを拡げれば、市外で桃色レンガが観測されたという報告をいくつか受けている。東では周南市の富海、西では俵山温泉に発見されているようである。個人的に実地に観察できたものとしては、埴生の教蔵寺の外壁に使われた桃色レンガ塀の事例がある。


この場所の近くの民家にも僅かだが桃色レンガが家の壁に組み込まれている場所が見つかっている。前出の論文にあるように埴生は桃色レンガの最初期の製造事例がある地のため、当時のものが遺っている可能性がある。車中からのみの観測だが、国道190号沿い渡場地区にもそれらしきレンガ塀を持つ民家が確認されている。
《 問題 》
塀一般に共通する問題と、桃色レンガ素材に固有の問題がある。
【 倒壊問題 】
前述のように桃色レンガは昭和40年代以降は商用ベースで製造されておらず、現在ある桃色レンガ塀は少なくとも半世紀が経過している。塀と同時に民家の屋敷自体も半世紀以上経っているため、廃屋になっていたり屋敷そのものがなくなっている事例が多い。桃色レンガ塀だけを遺して空き地や月極駐車場になっている場所が目立つ。現に居住者がある民家でも家屋のメンテナンスが手一杯で、老朽化したレンガ塀まで手が回らない事例が多い。

このようなレンガ塀は他の素材のブロック塀などと共通した問題を抱えている。敷地内にあるものはまだしも多くのレンガ塀が里道との境に設置されているため、倒壊して里道の通行者に怪我を負わせれば責任問題となる。このため倒壊事故を起こす前に撤去する動きが加速しており、後述する郷土資産の逸失問題を引き起こしている。

建築ブロックの倒壊問題が取り沙汰されてからは、市でも関連物件への補助を出していた時期がある。ただし補助範囲は撤去工事に係る部分のみであり予算枠も使い切ったためか現年度の募集が停止されている。[2]
【 郷土資産の逸失 】
小学校の囲障に使われていた建築ブロック塀の倒壊で学童が下敷きになり死亡した事件は記憶に新しい。高くて重量のある塀の危険性が改めて認識され、学校関係の塀が一斉に見直され始めた。市内でも既に小中学校の建築ブロック塀を除却し、数段のみ積んだ上にネットフェンスを建て込む形式へ変更する工事が進められている。

こういった流れを受けて、管理責任を問われる前に自己所有の敷地にある危険な塀を除却する動きが加速している。特に重くて倒壊すれば被害が大きくなる建築ブロックにおいて顕著だが、レンガのような小単位による塀でも一枚物が倒れれば大変な重量物となる。このため空き地にある塀も倒壊の危険がでてくる前に除却されるようになった。

近年の事例では、島地区にあった個人所有の長さ20mの桃色レンガ塀の事例がある。倒壊し通行人を巻き添えにすれば管理責任を問われるので除却を選択したという。
このレンガ塀は素材としての桃色レンガを再活用することが明らかにされていたため、業者による除去作業においても極力レンガが破損しないよう丁寧に解体され、当該箇所からやや離れた場所に仮置きされている。


この撤去事例は、宇部日報社において”桃色レンガ急速に姿を消す”としてトップ記事として配信された。[3]

不測の事態による逸失の事例もある。特に四輪が通行可能な公道に面した桃色レンガ塀では、車がぶつかることによる倒壊と損失が起こり得る。
ただし以下の写真の事例は車の衝突ではなく別の要因であった


破損させた場合、数が多いと同種の単材を集めることができなくなる。この桃色レンガ塀は、健全な部分はそのままで倒壊した部分は従来型のレンガで補修されている。

この総括記事を作成する現時点では、昔からの路地に面した敷地の塀に一番よく観察される。ただし古くからの道は幅が狭く接道を満たさないことから、近年の宅地需要に伴う道路改修でゆっくりではあるが姿を消しつつある。

桃色レンガ塀は未だ市内で比較的顕著に観察され絶滅危惧種のランクではないものの、新規に製造されることはないため減少の一途をたどる運命である。[2]適用範囲を桃色レンガ塀に限定する代わりに補修費用の一部補助を検討する余地があるかも知れない。この場合、補強の施工方法を明確にしたり一定の延長以上を有するものなどの線引きが必要である。
《 保存と再生について 》
桃色レンガが減少の一途をたどることは早くから認識されていた。保存と再活用を考える市民団体が2010年頃まで存在していたが、会員の高齢化などで解散している。しかし近年の見直しでは既に再活用の動きがみられる。例えば下条にある菓子乃樹宇部ファームでは、花壇への再利用や散策路に桃色レンガを活用している。


仮に桃色レンガ塀からほぼ完全な形で一個の桃色レンガを再生できたなら、それを寄せ集めることで建材として使用可能である。しかしリサイクルを困難たらしめる要因がいくつかある。
【 単素材に復元する困難 】
観測される桃色レンガの9割以上が塀の形である。レンガ自体は軽いものなので間知石の空積みのような手法は当然適用できず、モルタルを挟む形で固着させながら建造される。従来型レンガも同様に施工される。ただし解体した場合に素材を再利用しようとした場合の難易度が異なる。

従来型レンガは表面が緻密なため、側面から割れない程度に衝撃を加えることで目地部分から剥がれたり外れたりしやすい。レンガの表面にもモルタルがあまり残らない。他方桃色レンガは焼却灰由来であるため吸水性がある。塀として積まれた場合、目地に挟まれるモルタルから水分を吸収し一体化するため剥がすのが非常に困難である。


叩いたり削ろうとしてもモルタル部分から綺麗に剥がれる前に桃色レンガ素材自体が割れてしまいやすい。モルタルが薄く塗布され積まれた場合、目地部分で剥がされたとき片側へモルタルが付着し片方は綺麗な面が生じることもある。このような特殊な場合以外、建造前に近いほぼ完全な素材を再生するのは難しい。

モルタルが固着し剥がしづらいことを承知の上で、桃色レンガ塀を解体した後の単材を保存する動きが顕著になってきている。前述の島地区の事例は発生量がかなり多いが、量は少なくとも丁寧に解いた後に単材を敷地の片隅に積み上げ保管している場所がいくつも観測されている。
【 原材料まで戻した上での再生 】
前述のように桃色レンガの現存は殆どがレンガ塀であり、モルタルが強固に付着しているため単素材を取り出すのが非常に難しい。除去する過程でひびが入ったり不定形に割れたりする。割れ方によっては半割を採取できる可能性もあるが、それでも割れの断面が不定形なため利用不可能な部分が生じてしまう。

不定的に割れたレンガを集めて粉砕し、製造時の過程を経て単素材を製造することが考えられる。日干しの過程で含まれている成分が変化しているため恐らくそのままでは固化しないだろう。色調や外観が変化しない程度につなぎ材を入れるとか、あるいはモルタルも付着したままで全体を破砕して造り直すことは可能かも知れない。しかし原材料を含んでいるというだけに過ぎず、オリジナルな状態での桃色レンガ再生からかけ離れる問題がある。
【 原形を維持したままでの保存 】
当面の桃色レンガ塀の危険性は倒壊だけなので、回避するためには倒壊しづらいように補強する、仮に倒壊しても通行人や居住者に被害が及ばないように補助器具を設置したり緩衝地帯を設けるなどが考えられる。

レンガ塀全体に言えることだが、建築ブロック塀と異なり内部へ縦横に配筋するなどの補強措置は当然とられていない。精々、敷地側に控え柱が設けられている程度である。したがって倒れづらくする補強は可能でも強風や地震など相応な事象によりどう頑張っても倒壊する。敷地内で倒壊する分に殆ど問題はないが、レンガ塀は往々にして敷地と里道(法定外公共物)を仕切る目的で設置されているため、通行人に被害が及ぶ危険性はぬぐい去れない。

特に高く積まれた塀は桃色レンガ素材に限らず倒壊リスクが高い。他方、写真のような高く積まれた独特の意匠をもつ桃色レンガ塀は極めて珍しく、保存が望まれる。


ネットなどを被せる形の倒壊防止では恐らくもたないし、それ以前に外観が変わってしまい桃色レンガ塀の存在意義がなくなってしまう。
里道に面してはいても近年の車社会ではそのような道を通行する頻度自体が下がっているし、台風や地震直後でレンガ塀の状態がどうなっているか不定なままに通行するのでもなければ、たまたま通りかかって倒れて事故に繋がるのは確率の問題である。その極めて低い確率を回避するために郷土資産とも言える桃色レンガ塀を積極的に取り除くのが妥当だろうかという考えもある。
出典および編集追記:

1.「FBタイムライン|花園の反例について

2.「宇部市|ブロック塀等の撤去費を補助します

3. 宇部日報, 2019年6月8日
《 個人的関わり 》
私の生誕地である松山町一丁目ではセメントレンガ塀だった。野山は一軒家なので囲障そのものが存在しなかったし現在も同様である。母方の家では囲障に従来型レンガの塀がみられるだけなので、桃色レンガの存在を知ったのは比較的近年である。レンガにしては色調が薄いことに気付いてはいたが、市内でも昔ながらの地域では割とよく見られるため注意を払っていなかった。その地方性と稀少さに気付いて注目するようになったのは西梶返のアパート在住時代である。

2018年2月には、琴芝小学校の中学年向け郷土授業で桃色レンガについて1時間の授業を行った。授業を円滑に進めるためにスライドを作成し、その資料集めとして梶返地区の桃色レンガ塀の分布を調べた。この過程で桃色レンガ塀自体は他の校区にも見られるものの、琴芝校区と上宇部校区の桃色レンガ塀では下地に珪化木積みを伴ったものが多いことに気付いた。この珪化木も桃色レンガ同様に石炭採掘に深く関わっている一素材であり、サンデー宇部のコラム Vol.27 で「桃色レンガと珪化木」のタイトルで配信した。

その後作成した素材の絶対量評価では、桃色レンガをランク3(脆弱)、桃色レンガ塀をランク4(絶滅危惧)と位置づけた。ただしこの総括記事を作成した後で桃色レンガ塀が急速に失われている事象が宇部日報社よりトップ記事で報じられたことにより、保存への努力が払われ始めたことから中期的にみてランク3+まで格下げできるかも知れない。

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