新町埠頭緑地

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現地踏査日:2013/10/30
記事編集日:2013/11/8
新町埠頭緑地は、新町埠頭にある進入路の両側にある緑地帯である。
写真は緑地とされる場所の入口に設置された銘板である。


下の図は、緑地となっている部分の中央進入路を中心にポイントしている。


最近記事化した緑地と言えば、東新川緑地が挙げられる。それは市の管理する唯一の緑地で、市街部にあるせいかよく管理されていた…管理され過ぎていて緑地を名乗っていながら実際は「殆ど緑のない三角形の余剰地」だった。
さて、新町埠頭緑地とされる場所を地図で眺めると、公園や緑地に固有の薄緑色では塗られていない。もしかするとまた緑地とは名ばかりで緑がまったくないのでは…という気になるだろうか。
その点はまあ安心していい。緑はちゃんとある。沢山ある。いくらでもある…

市道東海岸通り線を外れて埠頭方面へ伸びる道に向かう。
確かに進入路の両側に大きく育った樹木が見えている。


市道東海岸通り線から新町埠頭に至る道については以下の派生記事を参照。
派生記事: 新町埠頭に至る道
新町埠頭緑地と目される場所はこの道の両側にあるし、入口も一つではない。まずは進入路に対して左側、真締川寄りの緑地を検証してみよう。

路側に車がズラッと並んで駐車しているので、ナンバーなどが写り込まないアングルを見つけるのに苦労した。
新町埠頭緑地の入口の一つである。確かに草の生える緑地となっているようだ。しかし単に緑地というだけで東新川緑地のような人が憩える空間であるかどうかはちょっと疑問だ。


入口のコンクリート袖壁に「新町ふ頭緑地」の表示が見える。
名称表示しかないのでいつ頃造られたのかは分からない。


中へ入る前から状況が分かっていた。これはちょっと…という感じが既にあったのだが…

とても管理されている緑地とは言い難い。一応、ベンチは設置されていたが、傍目にももう何年も人が座ったことのなさそうな感じだった。


もっとも藪漕ぎが必要になるほど草丈は高くなく、芝生並みの場所もあった。前方に真締川が見えているのでそこまで歩いてみた。

緑地を挟んですぐ真締川の河口部になっていて、緑のない岸壁となっている。
緑地の端にも草むらに埋もれかけたベンチが据えられていた。


真締川の右岸と言うか殆ど河口部分の岸壁だ。
更に海側は荷物のバックヤードになっている。進入路からは立入禁止になっているのだが、実際には新町埠頭緑地を通って行けてしまうようだ。
駐車している車も進入路を通って入って来ているらしい


上流側を眺めている。
ここから真締大橋が見える。もしかすると私企業の私有地なのだろうか…車が数台停まっていた。


随所で述べている通り、私は山派の野ウサギなので、海を眺めに訪れることはそれほど多くない。しかし天気の良い日に海を眺めたいと思う人は相応に居るだろう。
常々思うに、宇部市は瀬戸内海に面していながら市街部には臨海公園が一つもない。公園どころか単に海を眺めたいという目的で接近することも困難だ。海に面する部分の殆どが企業の私有地になっていて、一般の立ち入りができない状態になっているからだ。それほど美麗とも思えない港湾から海を観るという需要が殆どないからだろうか…

新町埠頭緑地は海に近いというだけで、残念ながら臨海公園のような要素を当初から持ち合わせていなかった。それどころか緑地を名乗っているのも些か意味不明だ。今のところ見つけられたのは入口の表示板とベンチ4基だけなのである。
進入路の反対側にある緑地はどうなのだろう。もしかすると少しは公園らしき要素を持つものが見つかるかも知れない。自転車はそのままにして、それほど期待することもなく進入路の反対に渡った。

期待していない理由も…
歩道の状況を見れば明らかである。歩道とは名ばかりで、殆ど人が通行できる状態になっていない。
異様に伸びている枝が頭に当たる状態


反対側、市道への出入口方向はもっと酷い。歩道は舗装されている筈なのに何故かわんさか雑草が生えている。緑地に収まりきらなくなった樹木が歩道まで進出していた。
廃の匂いがプンプンしている。


こんな塩梅なので、緑地の状況はおよそ想像がついた。
何これー?


入口部分からして刈り取った草木の仮置場だ。実際、歩道に近い部分はまだ緑色部分の残る枝が積み上げられている。車の乗り降りに邪魔になるからと伸びすぎた枝を切り取った残骸だ。
その奥は…
樹海ならぬ草海状態。


中が気になろうがとても踏み込める状況ではない。もうちょっとマシな接近可能場所を探して歩道沿いを歩いた。

市道に近い側は私企業の敷地に隣接しているらしく、緑地の向こう側には営業車両などが見えた。
ここなど先の場所よりは少し接近しやすい…もっとも中へ踏み込む勇気はない。冬眠しきれていないヘビでも踏み付けそうだ。


歩道がこれほど草まみれでしかも道路が駐車場代わりなら、ゴミの投げ捨ても罪悪感が薄れるのだろうか…ビニル袋や弁当殻が投げ捨てられていた。
一部画像を加工しています


雑草の一部は歩道を越えて車道部まで進出している。
草むらの中には、見るもおぞましいものが転がっていた。さすがにこれは読者へ直視させる訳にはいかない。
何があったかは大体想像がつくであろう


外から見て状況が分かるとは言っても何か公園らしき残骸があるのではという興味は依然くすぶっていた。
しかしこの緑地部分は本当に手も足も出ない。


「ほいと攻撃」を仕掛けてくる雑草がないことを確認した上で、近くまで踏み込む。
ここにも”新町ふ頭緑地”と記載された表示板があるだけだった。


踏み込む気力がないので腕だけ伸ばしてカメラに先を偵察させた。
混沌としているという表現が相応しい。


垂れ掛かっている枝を避けて奥を撮影する。
どこまでが新町埠頭緑地なのかすら分からない。自然の藪ならともかく、緑地と名の付く場所でこれほど酷い場所は初めてだ。


何も得られるものがないと判断し、上の一枚を撮影した後に撤収した。

結局、新町埠頭緑地とは一体何だったのだろう?
この進入路の先に新町県営上屋があるから、新町埠頭緑地も県の管理と思われる。余剰地があったので緑地を造ったものの、まるで利用者がないまま荒れ果てていったようだ。

一体、いつからこうなったのかを知るには約十年程度反映の遅れているYahoo!の航空映像が参考になる。
これは新町埠頭緑地を撮影した航空映像だ。
見やすいようにマーカーやポインタを非表示に設定している


十年前も今とあまり変わっていない。真締川沿いの緑地には中央に3本の樹木が見られる。この樹木は現在は存在していなかった。
もっと奇妙なのは、最後に調査した酷い草海状態の区画だ。
中央に何か丸い東屋のようなものが見える。
航空映像でも円筒状の部分が見えるし、緑地内に影を落としているのも分かる。そして現地では接近こそしなかったが、最後に撮った一枚の写真には確かにツタ系植物に包み込まれた東屋のようなものが見えていた。
これは何だろう?
かつては人々が憩う東屋があったのでは?
実はこのことに気付いたのはアジトへ帰り、昨日のこと記事を書き始め、過去がどうだったかYahoo!の航空映像を参照したときだった。現地で最後の一枚を撮影するときは、何本か寄り集まっている樹木にツタ系植物が異常に絡みついているのだろうと思って眺めていた。

これは上の写真の原典画像から核心部分を同じサイズで切り出したものである。
どうだろうか…

間違いない。
藪に飲み込まれた東屋だ…
擬木らしき部材が正面に見えているし、右側には柱のようなものも観察される。何かの人工物が藪に呑まれているのは疑いない。

そこにあるものは…?

正体を調べるには中へ踏み込まなければなるまいが、さすがにここは無理だろう。11月に入った今の時期でこれほど酷い藪なら、年が明けて再び草木が伸び始める直前の最も与しやすい時期でなければ無理。どんな魅力的な物件がこの先に見えていようが、今この中を突っ込んで行くなど狂気の沙汰だ。

そこまで本気度をかき立てられる物件とも思えないが、もし忘れていなければ来年の時期を選んで調べに行くかも知れない。その折りには続編として結果を報告しよう。
労力多くして得られるモノは少ないように思うが…

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年が明けて再度新町埠頭緑地を訪れ、東屋の正体が判明する程度に草木が枯れていたので中へ潜入して写真を撮ってきた。続編として案内する。

(「新町埠頭緑地【1】」へ続く)

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