白岩公園・初回踏査【3】

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(「白岩公園・初回踏査【2】」の続き)

古道にしては幅広な道を進んだ先に見たものは、全体が著しく木の葉に包まれた石段であった。


側面は間知石積みで、上がり始めの両脇に小さな柱のような石も配置されている。お寺の参道で見かける基本的な構造だ。
石積みの側面から松の木が大きく育っておりかなりの年数が経っていることを窺わせる。


「ここより白岩公園の入口」という文言が自然にイメージされ、かなり期待をもってこの石段を登った。
しかし…
そこには何もなかった。
何もないというのは語弊があるが、要するに上がった先はまったくの行き止まりだった。家一軒分程度の平地があるだけで、全体が著しく草木に覆われていた。木々の繁茂が酷く歩き回るのにも差し支えたが、ざっと見渡す限り別の道が伸びている形跡はなかった。
元は何か重要な建屋などがあった場所のように思われた。

振り返って撮影している。


まあ、確かにあの石段が白岩公園の入口とするにはちょっと無理があった。石段は現在進攻している道幅よりも狭い。本当にあの先が公園に向かう参道なら、もっと幅が広いものだろう。

あの石段は枝道だったと理解し、再び石積みの下の道を進んだ。こっちがメインの道なのはまず確実だ。


先の敷地の石積みが暫く続き、それが途切れる先に何やら別の石段が見えていた。
どう思っても山の中にある重要な場所に向かっている感じだ。


メインの道が間隔の広い石段に向かうのに対し、左側には先ほどの水路へ降りる石段に分岐していた。


上から撮影している。
この場所で水路とは5〜6m程度の高低差がついていた。


先にみた細い水路を渡りそのまま下流側に向かっていた。


この水路が一体何処へ続いているのだろうという疑問が起きたが、追跡するのは止めておいた。明らかにメインの道から外れておりこの方向に白岩公園があるとは考えがたい。同時にこの先はまったく自分の知った場所へ向かうめどがなく、訳が分からないまま山中で彷徨いそうな気がした。

取りあえず石段を下から撮るために細い水路のところまでは降りた。
石段はメインの道に対して半分以下の幅しかなかった。どうやら水路の側からも近道できるよう石段を拵えたらしい。


ますますメインとなる道が白岩公園そのものに向かっているのではという想いを強くした。しかしまだ決定打となる遺構は何一つ見つかっていなかった。あるのは石積みと石段ばかり…

振り返って撮影している。
私はこの周辺に散らばる「場違いなもの」の存在に疑義を差し挟んだ。


ここだけ割れたガラス類が散乱していたのである。
およそ時間が停まったように思えるこの空間でガラス類の不燃ゴミという取り合わせが如何にもシュールだ。


こんな山中まで不燃ゴミを捨てに来るとも思えない。自転車を停め置いたあの常盤用水路からここまで軽トラの入れる道はないし、歩いても数分かかる。
ガラス片はいったいに平坦で窓ガラスのようだ。古い家屋などがあったのだろうか…

更に山奥へ向かって登っていく間隔の広い石段が見える。


この辺りは斜面が緩やかなせいか、石段はやや幅を置いて据えられていた。お寺の参道でもこのようなタイプはよく見かける。


それにもかかわらずこの時点で私は既に白岩公園の中へ入っているという思いを強く抱いた。単純なお寺の参道では有り得ない。もしそうならこの荒れ具合からして廃寺だろう…しかし今の時点でうち捨てられた寺などそうそう在りはしない。何よりもこの広大さから想像がつく。

確かにお寺の参道とは思えない。この荒れ方はもはや廃道レベルだ。枯れ草や枝に覆われて石段が見えないほどだ。


この辺りなど一体参道自体がどうなっているのかよく分からない。木の葉で覆われるだけではなく、山から転がり落ちた大岩が参道上に鎮座しているようにも見える。
また、ここから別の石積みに支えられた左に伸びる分岐があるようだ。


この分岐先は小さな平場になっていて、どれがどう繋がっているかも分からない石段があちこちに見えている。


そのうちの一つに接近する。
メインの道の何処に接続していて何処に向かうのか殆ど分からない位に木の葉でかき消されている。


花崗岩を2段に重ねて石段を築くなど丁寧な造りになっている。
これほど荒れ果てるということは相当な長期間にわたって歩く人が居らず放置されていたに違いない。


白岩公園の著しく荒廃した様相については書籍の写真でも推察されていた。それにしても今なおここが白岩公園と断定し難い要素があった。先の石段を見つけるよりも先に白岩公園とは無縁そうなあるものが存在していることに気付いていたからである。

これほど木々が繁茂しているので、昼間でもかなり暗い。場所によっては勝手にフラッシュが動作したし、強制フラッシュオフ(ここまでの写真は基本的にフラッシュオフで行っている)にすると光量不足でピントが甘くなった。この陰鬱さと周囲の荒廃ぶりは何とも言えない雰囲気を醸し出していた。そういった場所柄、さすがにちょっと薄気味悪さを感じてカメラを背けていたのだ。

分かっている。
その向こうに何やら正体不明な祠があることは…


それは今まで見てきた石積みや石段など人が自然に働きかけて造った数々の構造物のうちで、初めて出会ったこの場所に関する情報を伝えてくれそうな遺構だった。例の書物にはこのような祠には触れられておらず、やはり白岩公園ではなく廃寺などに迷い込んでしまったのだろうかという弱気に傾いた。


正体を確かめるために徐に祠へ近づく。
正直言ってさすがに気持ち悪さを否定できなかった。

祠の正面に回り込みその中を観察してみた。

(「白岩公園・初回踏査【4】」へ続く)

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