白岩公園・初回踏査【4】

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(「白岩公園・初回踏査【3】」の続き)

並みの廃墟より酷い荒れ様な藪の中に佇む古い祠…
もしかすると白岩公園であることを裏付ける何かがあるかも知れない。

それは山中の至る所に鎮座している巨岩の一つに接するよう造り込まれていた。
中に石仏らしきものが格納されているようだ。


こうしたレンガ造りの祠は何処か見覚えがある…そう思えば常盤用水路を辿り始めるときに見つけたあの祠と同じだ。


思い切って正面から中を観察した。
板の上に観音様のような石仏が安置されていた。


祠の内部をフラッシュ撮影なんて畏れ多い…今までやったこともなかったのだが、このたび初めて敢行した。傍目にも今は手を合わせる人もなさそうだし、ここは記録を持ち帰ることを優先させたいと思ったからだ。

内部の様子。この石仏一体のみで他には何もなかった。
背面に壁はなく自然の大岩がそのまま露出している。


台座には五十九番 薬師如来とある。 中山観音の裏山にはうねうねと曲がりながら急な坂を登る途中に夥しい祠が造られている。八十八箇所として古くから知られているのだが、その一つなのだろうか…
何となくまたここが白岩公園であることを裏付ける流れから一歩後退したように感じられた。

この祠の裏手には斜面を下から登ってくる別の石段があった。
ここより高い別の場所に向かっているようだが、何処から続いているのか、現在場所からどこを通って到達しているのかまったく分からなかった。


もはや道などあって無いに等しいので、適当に山の斜面を伝ってその石段路に移動した。

この小さな石段路の荒れ方は尋常ではなかった。
石段の両側だけでなくその間からも木々が顔を出し育っている。


ここなど特に酷い。直径30cm位ある高木が石段の上に生えている。
半世紀くらい放置されなければここまでならないだろう。もはや完全なる「廃」の領域だ。


石段路をたどる意味がないので、木々が少なく通りやすい場所を選んで適当に歩いている。
この狭い石段の先にはそれより倍くらい幅の広い石段があった。


今までの貧相な石段路に比べて場違いに整っている。
枯れ葉の堆積が薄いのは雨が降ったときここを水が伝って流されるからだろう。


石段の登り始めには橋の親柱のような四角錐状に加工された石柱が据えられていた。
側面は荒削りで何かの文字が彫られていたとしても判読できそうになかった。
魚拓の要領で採取しなければ読み取れないだろう


この石段を上がった先は、最初に出会ったあの意味不明な場所とかなり似ていた。即ちここで行き止まりらしく何処にも道がないこと、木々の繁茂で著しく荒れている点だった。

違う点が2つあった。
石段を登ったすぐ左側に手水らしき石が据えられていた。


紛れもなく人が働きかけてこのような形に削った石だ。この場所には御堂のようなものがあったのだろうか…


もう一つ、理解し難いものがあった。この敷地の奥にあるのだが何か分かるだろうか…
ここから数メートルの距離にありながらあまりにも草木が酷く、容易に近づくことすらできない。


石段を登った先の平地である程度の日照を受けるせいか、ここまで歩いてきた中で最も藪の状態がきつかった。
イバラなど攻撃的な草はなかったがみっしりと低木が生えており回避できるルートがない。その正体を確かめるために身体ごと強引に突っ込んでいった。


漸く到達できた。
直方体に荒削りで加工された石材が井桁に積まれていた。これは何を意味するのだろう…?


石材はこれ位のサイズである。
打ち欠いただけで研磨はされていない。


遙か昔に誰かが何かの目的で積み上げたのだが…これから何かを造るためにここへ石を運び加工していたのか、あるいは既に何かが造られていたが解体され、石材を再利用するために積み上げておいたかだろう。
今まで歩いてきた石段に使われてきた石材に比べて形状が異なる(石段向けの部材はもう少し厚みが薄い)ので、これが再利用の部材でなければ石段向け以外の石材を造ろうとしていたように思える。特に長尺ものを半割に加工した石材が積まれているので、新たに石積みを造るための間知石を製作していたのではとも想像された。
手水のような石材が配置されていたので御堂を解いた跡か建造途中だったのかも知れない

この枝道は平地で終わっていたので、先ほどの祠付近を目指して適当に藪歩きし引き返した。
そして祠に向かう枝道の一つに出てきた。


この石段はかなり長い。奥には更に2箇所同様の石段が続いていた。


幅が広く直線的に伸びる石段は、何処か重要な場所へ向かっていそうな雰囲気が感じられた。
地図で見たあの梯子のような記述はこの石段を差しているのではないかという想像が働いた。そしてそれほど重要な場所と言えば…期待が高まった。


山中を彷徨うが如く歩き続ける中で当初からあった最大の「謎解きゲームの解答」が脳内で点灯するのを感じた。
3連続する石段の手前に差し掛かったとき…
遂にそれが姿を現した!!


正面に見えかけている特徴的な石碑は、紛れもなく例の書籍に掲載されていたモノクロ写真そのものだった。
やっぱり…
ここが間違いなく白岩公園なのだ。
(「白岩公園・初回踏査【5】」へ続く)

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