白岩公園・初回踏査【7】

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(「白岩公園・初回踏査【6】」の続き)

メインの道は沢と山の斜面との間を直線的に伸びていた。山側には土留め用と思われる石積みが至る所造られていた。
その中でも一風変わった石積みを見つけた。


太い樹木の根元を巻くように石が積まれている。それも整った間知石ではなく自然石なのだが、妙に平べったい石が目立つ。


その積まれ方も整然と重ねるのではなく殆どが斜めに押し込まれたような配置になっている。


石の間にはかなり空隙がありながら全体としては安定している。何十年も経っていながら脱落している石材が一つもなかった。もしこの平べったい石をそのまま平坦に積んでいたなら今の石積みの状態は保てなかっただろう。

由緒ある石積みからいきなり現代社会に引き戻されてしまうかも知れない。
一枚目の写真にも少し写りかけているが、珍しくメインの道近くに菓子のゴミが地表に現れていた。


こんなものを写真に撮って…と眉を顰められるかも知れない。まあ確かに美しくはないのだが、こうした近代的ゴミですらこの場所をどれほど人が訪れるか検証する参考資料になる。
これは昔からある有名なスナック菓子の袋で、現在もほぼ同じパッケージで売られている。ただし値段は60円ではない。私の記憶する限り初めて店頭に並んだのは昭和50年代初頭の筈だ。初代のデザインに似ている。
材質がビニールだから相当な年月を経ても腐らない。随分と昔に捨てられて暫く木の葉に埋もれ、雨や風で再び掘り出されたのだろうか…
裏側の賞味期限表示を確認すればいつ頃のものか明らかだったのだが…

ついでながら牛乳瓶も近くに転がっていた。
これは地元業者製造による牛乳だが、今でも販売はされているかどうかは分からない。


殆ど人が足を踏み入れないような場所では、こうした近代的に見えるゴミですら重要な資料になる場合がある。例えば以前厚東川ダムの左岸堰堤付近に到達したときも数十年前に堰堤上から投棄されたと思われる酒やビールの古い瓶が見つかった。最後に人が訪れたのが概ねいつ頃のことか参考になる。

樹齢の進んでいそうなこの巨木の根元だけは念入りに積まれているように見えた。


最初にメインの道を歩いていたらこのように見えていただろう…
この時点では石積みにしか目が向かっていなかった


山道ではよく見る木の枝にぶら下げられた火の用心の旗。
その端にはマジックで← 74,75という数字が書き込まれていた。
当初意味が分からなかった


更に下っていくと沢の先に小さな池があった。
今度は痕跡だけではなく水が溜まっていた。


溜まり水の殆どは落ち葉だ。適当に水が溜まり適当に蒸発というサイクルを繰り返しているのだろうか…


メインの道の石には転落防止用に設置したと思われる鉄棒があった。
かつてはロープを通して柵かわりにしていたのだろう。


動かない溜まり水が落ち葉を分解しているらしくこの池の周辺は異様な臭気が漂っていた。


この池の前が小さな広場になっていた。池は元からあった大岩の隙間にコンクリートで間詰めして造られていた。
池から離れている場所にもこの周辺は巨岩が目立った。


池を縁取る岩の手前に何やら苔で覆われた円形のものがある。
これは一体…?


全体がびっしりと苔に覆われていた。見たところ柱を立てる基礎だったように思われる。


鳥居の台座にしては小さすぎる。遊歩道に向かう木戸のようなものか東屋の柱が建っていた痕跡だろうか。
確かにこの場所は公園の中心部分と言える雰囲気があった。緩やかな石段の道を延々と進んで到達する広場で正面に池が配置されているからだ。

この広場から振り返って撮影。
先ほど祠が目について踏み込んだ枝道はすぐ近くだった。


祠への分岐まで戻ることで白岩公園を一周したことになる。何処から何処までが公園の敷地内といった明確な区切りはないらしい。感じとしては池があるあの広場へ到達するまでが公園のメインの遊歩道に思われた。

既に歩いた道なので周囲を観察しつつも足早に歩いた。
ところが…

来るときは見落としていたと思われる細い枝道を見つけた。
沢の端を伝って再び山の中へ向かっている。荒れてはいるが石段も備わっていた。


この沢にも岩を並べて造った池があった。
土留めの堰堤にしては丁寧に造られている。沢に沿った側にも石が並べられていた。


近づいてみた。
岩の隙間は間詰めされており小さな灌漑用水溜め池を思わせる。公園の一部なのか単純な土留め堰堤なのか分からなかった。


この近辺は殆ど枝道の痕跡も見あたらなかった。しかし人の手が加わっているのは確かで整然と積まれた間知石も見えていた。


一体何処からどこまでが白岩公園なんだろう?
石積みの上に何か遺構があるかも知れないと思って再び斜面を登り始めた。

(「白岩公園・初回踏査【8】」へ続く)

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