白岩公園・第三次踏査【5】

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(「白岩公園・第三次踏査【4】」の続き)

「倒木峠」の横には広範囲に石積みが連なっていた。そこが元は何があった場所なのか初回踏査のときから気になっていた。

その付近には部分的にも石段はみられなかった。
下の段の石積みを過ぎるとその上にもう一段更に高い石積みが築かれていた。


高さは私の背丈の倍以上。これほど規模が大きいなら何か重要な場所だったのでは…と推察された。


石積みは沢の先端部を塞ぐように築かれていて両側が低くなっていた。
上部はかなり広い敷地状になっているものの道などの痕跡はまったく見られない。


敷地をざっと歩いてみたのだが何の遺構も見つからなかった。そもそも石積みの上に向かうなら端に石段がある筈だ。実際にはその痕跡もなかった。
単に土砂が流れるのを防ぐ目的だけでこれほどの石積みを拵えるものだろうか…

せっかく苦労して高い石積みまで登ってきたので、引き返さずにそのまま山の斜面を辿ってみた。
方向としては沢を右下に見ながら下る形になる。


この辺りは日照に乏しい斜面のため下草は疎らである。高く伸びて日光を求めることのできる草木のみが生き延びているので、踏み跡はまったくないが歩行にそれほど困難はなかった。

明白な遺構ではないがかつて人の手が加わった形跡のある岩を見つけた。何となく不自然な形の岩で、しげしげ眺めているうちに気付いたのである。
単一の岩にしては変な形をしている。


巨岩の角に縦筋のような痕跡が現れている。まさか自然にこんな筋ができる筈もあるまい。
岩の一部を切り出したときの痕跡だろうか。
実際の石材切り出し作業を観たことがないので判然としないが…


白岩公園には巨岩が多いイメージがあり、実際場所によっては八畳の部屋くらいのサイズのものがある。しかし山全体にそのような巨岩が転がっているのでもなく、表面を腐葉土に覆われた普通の地山もかなり目立つ。

この斜面も岩がかなり疎らで何処にでもある普通の里山のようである。
メインの園路には復帰せずそのまま山の斜面に沿って歩いた。


メインの園路は沢を下っているので、気が付けばかなり園路との高低差がついてしまった。
この近辺には石積みや石段もまったく無く、当初から手が加えられなかった場所らしかった。


高低差が拡大してメインの園路へ復帰できる場所を見失わないうちに斜面を降りた。

最後にもう一箇所気になる場所を再調査してきた。
メインの園路から一つ隔てた沢で、白岩公園の入口に近い側になる。この沢は初回踏査でも最後に訪れていた。


この沢にも緩衝池とみられる石積みがある。もしかすると先に見つけた梵字の池のような意味ある遺構があるかも知れないと感じた。

しかし内部には何も見えなかったし、そもそも沢地は足場が悪く接近自体が困難なので見送った。


この沢を遡行する道があったらしいことは初回踏査でも把握できていた。メインの園路から分岐する入口に微かな石段が見えていたからである。

実際、この緩衝池の上流側にある石積みは規模が大きいだけでなく、すぐ横を通る道があったことが示唆された。


石積みは沢全体を跨ぐのではなく、左岸側にあたる部分がこのように切り欠かれていたのである。
倒木峠付近にあった石積みと同様の構造だ。


この部分で石積みが折り返している理由はほぼ明らかだ。
沢を上がってくる道がついていたからだ。


そうなれば石積みによって確保された平場には何かあったのでは…と推測するのが自然だ。
そう思って今回も石積みの上を調べてみた。

この場所は日照が得られるらしく周囲は盛大な藪になっていた。踏み跡などもまったくなく進攻自体が困難で諦める以外なかった。


では、この道は一体何処に続いているのだろう…?

その答えも得られなかった。石積みを過ぎた先で踏み跡は藪の中に途絶えていたのである。そこから先は道らしき形跡もなく、藪は結構な斜面になっていた。
仕方なく引き返した。

沢に沿って下る部分。
片側の山を削って一定の幅を確保している。明らかに人の通る道だったことが窺える。


石積みの上に到達したところで道が消えていることから、ますますあの場所に何かあったのではという疑いが濃くなった。
もっとも誰も行き来しなくなって数十年が経過し完全な廃道として失われているのかも知れない。感じとしては白岩公園コースに向かっているので、相互に行き来できる道があったように思われた。
第二次踏査のとき見つけたこの怪しい場所に繋がっているのでは…

再びメインの園路まで戻ってきた。
前方に留守番させていた自転車が見えている。


自転車を留守番させた水路の石橋の少し先にかなり明白な踏み跡がある。
これも初回踏査のときから判明していたが、先は辿っていなかった。


白岩公園とは異なる方向なので多分違うだろうとは思いながらも偵察してきた。

この道は初回踏査で最初に出会った細い水路に隣接していた。どうかすれば軽トラ位は通れそうな幅で、比較的新しい感じの道がした。
踏み跡は行き止まりに見える場所に到達し、そこで直角に左へ折れて土肌が剥き出しの斜面になっていた。


この角に切断された角材が放置されていた。
薄汚れているだけで朽ちておらず原形を保っている。この場所に置かれたのは割と最近のことらしい。


その先がどうなっているかは…
無関係な私的物件かも知れないので入口にあたる写真のみ提示しておこう。


そこは長方形状の敷地に整形された墓場の跡だった。建てられた状態の墓石は一つもなくすべて敷地の隅に積み上げられていた。墓参しやすい場所に移転したのだろうか…
場所柄、白岩公園の設園者関連のものかも知れないが、私有地でもあり詮索するのは自重した。

いくつかの新しい発見と遺構の大まかな位置、メインの経路や枝道などをメモしたデータを持ち帰ることとなった。


これらを元に大まかな遺構の配置図を作成しようと思う。しかし高低差や距離なども加味した精密な位置図を作成するとなれば、それこそ光波測量機器やレベルを持ち込んで大がかりな調査をしなければなるまい…さすがに今のところそこまで着手しようという考えはない。
ある程度の藪や荒れ道には目を瞑って、それでも現物を確かめたいという需要に応じてマップを作成する予定である。
作成途中ではあるが総括編にマップを掲載している

まったくのおまけ的な余談。

アジトを出るときには大変良い天気だったのに、踏査途中で次第に雲が広がってきた。最近どうも天気が不安定なので降られなければ良いが…と思いつつ帰途に就いた。
踏査中に雨粒が落ちてくることはなかったものの、上条付近でまたしてもポツポツと雨粒が落ちてきた。そのときはすぐ止んだが、アジトまであと数百メートルというところで不意にかなり酷い雨に。
またしても泣きながら自転車を漕ぐことになってしまった。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。

白岩公園を訪れるのはこれが3度目である。初回踏査では帰りに雨、第二次踏査では雨を恐れて車で行ったものの帰りに中山バック付近で泥道で転んでズボンが泥まみれ、そして第三次踏査ではまたまた雨降り…
白岩公園は藪に包まれているので天気が良くても撮影写真の鮮明度にあまり貢献してくれないのだが、それにしても天候に起因する災難続きであった…

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