この記事および後続記事は速報性最優先で作成されています。後日記述内容の分割や併合など記事構成が変更される可能性があります。 |
何の気なしに借り出した書籍から生まれた未知の公園との出会い…
一連の成果を地域SNSサイトへ公開したところ、大変な反響があった。このとき連載編の冒頭で取り上げたように「まったく知らない」という方と「幼少期に遠足で行った懐かしい場所」という世代によって相反する意見が得られた。中山にある白岩公園は藤山校区にあり、地元の地区にありながら今の今までまったく存在すら知らず、ぜひ自分も探検してみたいという声もあった。
(そして実際行動に移された方が少なくとも一方いらした模様)
こうした声を受けて更に詳細な調査を行おうと思い、第二次踏査を行うこととした。
なお、前編に同じく本文中で「例の文献」などの表記が出てくれば、以下の書籍を指している。
「ふるさと歴史散歩」P.130〜131
著者/黒木甫(宇部地方史研究会理事) 出版/宇部時報社
なお、本編は先発記事となる「白岩公園・初回踏査」の続編であり、初回踏査記事をご覧になっていることを前提に書いている。冒頭にも示した通り、ある程度の発見が出尽くした段階で白岩公園の総括記事を作成する予定である。著者/黒木甫(宇部地方史研究会理事) 出版/宇部時報社
それからこの序章では白岩公園の踏査に先立って到達経路に関して再調査を行っている。第二次踏査の本編から入りたい読者は「白岩公園・第二次踏査【1】」に直行されたい。
---
時は初回踏査を行った3日後、春分の日である。
初回踏査では予定外に天候急変で帰りには雨の中濡れながら自転車を漕ぐ羽目になった。中山はアジトからそれなりに遠く、また最近はどういう訳か天気予報には現れない不意打ちの雨が多いので、今回は車を使うことにした。
例の書籍でも指摘されている通り、白岩公園には駐車場がない。入口付近まで軽トラ程度なら通れる管理道はあるものの自転車を押し歩きするのもきつく狭い坂道で乗り入れが憚られた。県道も駐車できるスペースがない。そこで結構な距離を歩くようになるが、中山観音の駐車場に車を置いての歩行踏査となった。
中山観音から廣福寺の裏手にある八十八箇所のある急坂を登り、尾根伝いに山の中を進むルートは霜降山登山の主要アクセスの一つであり、白岩公園コースとして知られる。その名前から白岩公園の近くを通ることが想起され、初回踏査に先立って3月上旬に歩いていた。その更に以前にも面河内池を踏査する折にも自転車を押し歩きしている。
このときには白岩公園の痕跡さえも見つけることができず、私はそれがどうにも納得いかなかった。容易に到達できないのなら、そもそもこの登山道が「白岩公園コース」と命名される筈もない。何処か見落としをしているのではないかという疑念があった。
まずは主要な分岐点となるこの場所へやってきた。
この場所を中心にポイントした拡大地図を示す。
まだ記事公開はされていないが、面河内池踏査でもこの場所を訪れ撮影している。重要な拠点なので後々の説明を容易にするために「面河内西分岐」とでも命名しておく。
(もう一つ白岩公園コースから面河内池に向かう場所を東分岐とする)
面河内西分岐から県道方向を撮影している。
これをずっと下ると白岩公園の恐らくメインとなる入口に向かう。
西分岐から北側、白岩公園コースを撮影している。
このすぐ先に高度を下げていく右分岐があり、道中は長いが門前池に向かっている。
(本編執筆時点で門前池は踏査済み)
白岩公園に向かう入口は、現在分かっている範囲では県道から上がってくる山道だけである。しかし白岩公園コースという名前がついている以上、このコースから公園に向かう道が必ずある筈だ。今回は丁寧に観察しながら進む方針である。
実はさっそく怪しい場所がこの近くにある。
すぐ左側山手に黄色いタグが結びつけられているこの場所だ。門前池に向かう分岐のすぐ先である。
タグの場所から筋状に木々が植わっていない領域があり、踏み跡のようにも思われた。伸びている方向も白岩公園のある場所に概ね一致している。
それにしても先はすぐ藪で、これを道と呼べるかどうかは甚だ疑問だった。
いくら何でもこれは道ではないだろう…
実際には道ではないと安易に断定はできまい。進行方向にまばらな樹木があるものの足元がシダ類で覆われて踏み跡が判然としないだけだ。かつては遠足で児童が普通に歩けた道であろうが数十年も人が踏み込まないならこの程度に荒れるのはむしろ普通だ。
しかし樹海ならぬ雑草海(何)状態ではさすがに先を追う気にはなれなかった。
このことは踏査において自分が藪漕ぎに取りかかるか否かの判定基準にもなっている。即ちシダ類で著しく覆われて足元が殆ど見えない場所には、基本的に踏み込まず諦める。地面が見えない場所を突き進むのはリスクが大きい。潜んでいるハミの尻尾を踏みつけでもしたら何が起きるかは自明だ。何よりもそこまで踏み跡が失われているなら、元から道ではない場合が殆どなのである。
(もっとも藪の向こうに垂涎的な遺構が見えているなら話は別…どんな手段をもってしても到達を試みる)
無理をせず撤収し再び白岩公園コースを辿った。
次に出会ったのは、白岩公園コースの幅が狭くなり山道が始まるこの場所だった。
ここだけ妙に幅が広くなっていて左側に分岐がありそうな気がした。しかしあるのは藪だけで踏み跡はまったく確認できなかった。幅が広くなっているのは、軽トラなどが乗り入れたときの転回場所になっていたからだろうか。
ここを過ぎると登山道らしい道幅と登り坂が始まった。
登り坂の途中に右側への分岐がある。戸井ヶ浴池と呼ばれる小さな溜め池に降りる道であることが分かっている。
最後の登り坂で小さな峠に出会う。
この辺りは登山道の両側がシダに覆われ分岐どころかまるっきり視界が効かない。これではどれほど目を凝らしても白岩公園の遺構など直接見えはしないだろう。
峠となるこの最高地点には目立つ大きな岩があった。
自然のものには間違いないだろうが、もしかして白岩公園の入口に関する情報が刻まれていないだろうかという気にはなった。
もっとも露岩には何も手を加えられていなかった。
正確な距離は分かりかねるが、もうこの辺りでは白岩公園からは遠ざかる位置ではないかと感じられた。いくら何でも面河内東分岐からは相当歩いてきているから、公園入口があるなら当然現れてしかるべきだろう。
やはり失われてしまったのだろうか…
明らかに行き過ぎだろうと判断したので、引き返し時を模索していた。
それで初回に白岩公園コースを歩いたときにも目にしたこの陥没箇所が見える場所で引き返すことにした。
(後でこれが思わぬ展開を引き起こす元となる…)
登山道の右側に割と大きな窪地が見えているだろう。樹木が斃れて窪地状に跡が遺ったのかも知れない。穴の中には一升瓶など現代でも目にするゴミが捨てられていた。
仕方なく来た道をそのまま引き返した。
結局、今回歩いた範囲には白岩公園に向かう分岐は存在しないと言わざるを得なかった。
実際には怪しい場所はあったものの藪がもっとも薄い今の時期でこうなのだから、いつ来ても分岐路を探すのは不可能だろう。
再び面河内西分岐まで戻ってきた。
初回踏査のあの水路のところまで戻ろうと思うが、その途中に分岐がないか合わせて調べてみた。
怪しい感じのする最初の場所。細い水路が現れてきて道の下をくぐっている。
これは初回踏査で見つけたのとは別の水路だ。
この傍に何やら意味ありげな石柱が置かれている。しかし何も彫られていなかった。
この道の途中に鉄門扉が置かれている分岐がある。
昔の畑地らしい…私有地だろう。
この辺りは山裾を削って造られた道で坂はきつい。
分岐などまったくない。
結局、ここまで別の分岐を一つも見つけることはなかった。
初回踏査で見つけた細い水路を辿った先に出てきた場所である。
白岩公園コースを標榜していながらどうして公園に向かう分岐が存在しないのか理解できなかった。
この謎を棚上げにしたまま、前回と同じく水路を辿って白岩公園に向かうこととなった。
(「白岩公園・第二次踏査【1】」へ続く)