西見峠

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記事作成日:2016/8/21
西見(にしみ)峠とは、県道225船木津布田線にある宇部市と山陽小野田市の市境の峠である。
写真は峠にある標示板。


位置図を示す。


峠の南側を通る国道2号の厚狭・埴生バイパスが全通するまでは、西見峠を通る県道は元の国道2号だった。このため小郡から下関までの区間では東から今坂峠[1]吉見峠、西見峠、談合峠の4つが存在することになる。特に吉見峠と西見峠はやや近接している上に峠名も似通っているためしばしば対比された。

旧国道時代は西見峠は厚狭郡楠町と山陽町の町境となる峠だった。平成期の大合併で楠町が宇部市へ編入、山陽町が小野田市へ編入されてからは市境の峠となっている。更に歴史を遡れば山陽(西国)街道の主要な峠でもあった。

峠の標示板にも示されるように現在の道路は標高60m足らずのところを通っている。最初期の山陽街道時代はこれより少なくとも20m程度は高いところを通過していたのではと推察される。山陽街道が山の最も低く撓んだ場所を通っていたとしても、南北に連なる山の尾根は平均的に80m以上の標高を持っているからである。

道路が通されるまでの歴史は明らかではないが、四輪が通過可能となるように少しずつ両側を切り下げていったものと思われる。恐らくは昭和中期までに四輪が離合可能となる程度まで拡げられ、これによって西見峠特有の「岩の衝立状の回廊」ができあがった。この衝立回廊は平成初期までそのままだった。

現在の西見峠は東側の斜面が大きく削られている。この拡幅は平成期に入って施工された。


西側は表面をコンクリート吹付け施工したそのままである。
吹付け部分の路肩には当時設置された落石防止金網の基礎が遺っている。


最初期はコンクリート吹付けがなく金網が被せられたままだった。この基礎コンクリートの上にH鋼が並び落石ネットが被せられていた。現在は切り崩された東側も同様だったので、もの凄い圧迫感があったことが想像されるだろう。

平成期の改良工事で東側が掘削の仕様に則った手法[2]で切り崩され、車道部のみならず自歩道と花壇も確保されている。このため峠の最高地点において物理的な幅は四輪が通れた最初期より倍以上に拡がっている。

先述の通り西見峠は山陽街道の経由地でもある。
当時の街道は、峠を越えて厚狭側では現在の県道から左へ分岐し急な下り坂となっている方の道である。
恐らく山陽小野田市道となっている


この分岐点には山陽町時代に設置された石碑がある。


峠を越えると、大きな左カーブを一つ介して厚狭の町並みへ下っていく。
ここからの眺めは西見峠越えとして象徴的である。


厚狭側から峠を撮影。


峠の最高地点より若干厚狭寄りには祠が置かれている。
詳細画像はこちら


この祠については学童時代まったく見かけた記憶がないが、昔からこの峠にあったものと思われる。祠のある側の斜面は切り崩されているので、大事なものだからということで特別にコンクリートの外枠を造って据えたのだろう。詳しく調べてはいないが、場所柄塞の神を祀ったものと思われる。
初めて現地撮影目的に西見峠を訪れたときのレポート。全2巻。
時系列記事: 西見峠【1】
《 地名としての西見峠について 》
西見峠という名称と現地の景観を眺めれば、峠の名前は西側がよく見える地に由来するのではないかと推察するだろう。恐らくその通りと考えられるものの、現在の西見峠という呼び名は後年のものである。

地名明細書をあたると、船木村の逢坂小村に西目垰(にしめだお)という小字がみられる。この地名が現在の西見峠付近の地名を指すことはほぼ明らかだろう。読みの「にしめ」に関して、西目垰と同じ由来と思われるものに常盤池の主要な岬の一つであるにしめの鼻が挙げられる。
総括記事: 常盤池・にしめの鼻
にしめの鼻も常盤池において特に南方向へ出張り、西側への眺めが効く地である。

西目垰がいつどういう理由により西見峠に変化したかは分からないが、垰→峠の変化は地名と言うよりは峠名に合わせての漢字表記変更と思われる。目→見への変化は漢字表記・転記における誤記、読みの揺らぎ、西が見える地という分かりやすい表現からの転用のいずれかだろう。

なお、船木地区の小字絵図写しをまだ入手していないので詳細は分からないが、現在は西見(にしみ)という小字に変化している可能性がある。西見峠の宇部市側から市境に沿って南下する砂利道は市道西見迫田線と呼ばれている。
【 垰(たお)について 】
垰(たお)は現在では馴染みの薄い漢字と読みであるが、峠とほぼ同義である。古くからの峠名や峠にまつわる地名として頻出し、特に県西部に多い。現在ではほぼ峠に書き換えられるが、小字など古い地名では(丘ではなく岡の字が用いられるのと同様に)峠ではなく垰と書かれることが殆どである。

垰という名称の由来は山の成りが撓(たわ)むところという一説がある。地方によっては峠や垰をそのまま「たわ」と読むような地名が存在する。この読みは容易に「とう」「どう」に音便変化するため、一連の音を含む地名(道・塔など)は峠に由来しているものもある。
《 個人的関わり 》
時間軸により異なる関わり方をしていた。以下、分類して記述している。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

出典および編集追記:

1. 4つのうち今坂峠だけ峠地点に標示板が存在しない。峠と呼べるほど標高も坂道もそれほどないからかも知れない。

2. 西側の崖のように適当に切り崩すのではなく、直高5m(法長約7.5m)ごとに小段(犬走り)を施工すること。

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