風呂ヶ迫池

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記事作成日:2014/1/12
風呂ヶ迫(ふろがさこ)池は風呂ヶ迫町付近に存在する溜め池である。
写真は余水吐付近から東を向いて撮影している。
遠方高台に見える建物は風呂ヶ迫市営住宅群


堰堤部をポイントした地図を示す。


風呂ヶ迫池は三日月型をしており、西側に下る沢に堰堤を築いている。余水吐は堰堤の北寄りにあり、恐らく昭和後期か平成初期に改修されている。池の南側には四輪の通行可能な地区道が接していて汀はコンクリート護岸である。東岸は溜め池に面して民家が並んでいる。
西岸および堰堤上には常盤用水路が開渠で通されている。この区間は余水吐以外は自然の岸辺だが傾斜がきつく汀に接近できる場所はない。北岸はやや傾斜が緩く、北東に遠浅の入り江が存在する。流入する水は僅かであり、北東にある小さな溜め池(化粧田池)からの流入はない。

樋門はまだ確認されておらず存在しないかも知れない。現状は穴あきダムと同様、余水吐を自然越流する形式となっている。余水吐を出た溜め池の水は大小路2丁目を通る渡り水路を経て時雨川に合流する。

風呂ヶ迫池の歴史は古く、初代と思われる溜め池は文久2年(1862年)に築堤されている。このときの竣工記念碑が北岸斜面に存在する。詳しくは以下の派生記事を参照。
派生記事: 不老助溜池記念碑
記念碑は不老助(ふるすけ[1])溜池となっているが、恐らく元から存在していた地名(風呂ヶ迫)の音を借りて佳字に置き換えたものではないかと考えている。他方、公的文書に風呂助と記載されている例もあり[2]、昔からの地元在住民はそのように呼んでいるかも知れない。当サイトでは地図に記載されている風呂ヶ迫池の呼称で統一し記述している。

地区道からの4分割撮影。


この地区道は風呂ヶ迫市営住宅に通じており、学童が遊ぶ公園からも近いので溜め池に面するフェンスには注意喚起の立て札が設置されている。
殆ど垂直な護岸ブロックで転落すると上がれる場所がなく危険


西側は元々山野部だったようだが、常盤用水路と管理道が通っているため汀付近は急斜面になっている。北岸もやや急な自然の斜面で、北東側に僅かながら小さな入り江がある。

地図上で見ると湛水面積は古道を隔てて南にある小路ヶ池と同程度だが、湛水量は恐らく風呂ヶ迫池の方がずっと多い。このことは本土手より下流側に一本の等高線がみられることによる。実際、余水吐からの走水路はかなりの急勾配で10m程度の高度差をもつ。堰堤付近ではそれに見合う程度の水深をもつことになる。

堰堤より南へ下ったところに常盤用水路から風呂ヶ迫池へ給水するための樋門跡が今も遺っている。
写真は地区道側からのズーム撮影


現在は樋門のコンクリート枠のみ遺して撤去されているので、常盤用水路を規定の水量で流れる限り風呂ヶ迫池へ越流することはない。

生活排水が流れ込むことはないが、南側の道路に面した部分には風呂ヶ迫地区の雨水が注ぐヒューム管がある。


自然からの雨水流入は北側にある入り江へ注ぐ小さな川のみである。このため池の水の入れ替わり頻度が低く水質は劣っている。
特に常盤用水路からの余剰水排出斜路付近のゴミ溜まりが酷い


常盤用水路は風呂ヶ迫池の堰堤部を通っており、余水吐部分はNo.4架樋で跨ぎ越している。架樋の長さは実際の余水吐よりも長く、現在のコンクリート走水路に置き換えられる以前はもう少し南寄りだったかも知れない。


架樋の余った部分には流用土が押し込まれ、一見して架樋構造とは分かりづらくなっている。
両岸には昔の堰堤の一部と思われる石積みが観測される。


余水吐からの走水路。
かなり深いため両側に転落防止柵が設置されている。


走水路は殆ど斜路の如く勾配がきつく、堰堤の下は若干の荒れ地を挟んで民家が迫っている。
堰堤から直接走水路の吐き出し口まで降りる手段はない。


風呂ヶ迫池は北側の入り江を除いて遠浅な場所がない。汀はコンクリート護岸か急な土の斜面になっていて危険である。


相応な水深があることを利用して、有る程度年齢の進んだ子どもがガードレール越しに釣り糸を垂れていることもある。
釣り自体は禁止されていない

北岸部は雑木林で山道からの眺めは殆ど効かない。


北側にある入り江。
風呂ヶ迫池が遠浅になっている唯一の場所である。


入り江の上流部は僅かばかり山の水が流れ込んでいる。

入り江の末端部からの撮影。


東岸側は民家で占められ、また接近できる道がないので調べられていない。
《 個人的関わり 》
一般の地図には風呂ヶ迫池の記載はない。しかし常盤用水路をトレースしていた時期から溜め池の存在は知っており、風呂ヶ迫池という名称ではないかという推測はついていた。最終的にはゼンリン© 地図や市役所前などに設置されている市街図、防災マップなどにより確認した。
風呂ヶ迫の由来について。
派生記事: 風呂ヶ迫について
出典および編集追記:

1.「上宇部歴史マップ」(イキイキ地域づくり ほうゆう上宇部 2001年12月作成)による。

2.「宇部市ため池ハザードマップ」では以前”風呂助ため池”として記載されていたが、現在は削除されている。

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