夫婦池・汀踏査【5】

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現地踏査日:2012/3/9
記事公開日:2012/3/13
2025/12/25 画像リンク修正済み
(「夫婦池・汀踏査【4】」の続き)

時系列から言えば「塚穴川・夫婦池接続部」の続きであり、同記事から続けて読みに来られた方もあるだろう。

草まみれの護岸で踏み抜きに最大限注意しつつ、夫婦池から塚穴川へ流れ出る部分に接近し、余水吐のような人工構造物がないことを確認した。一年で最も藪が薄い今の時期なら、同程度の労苦で夫婦池の未踏査区間に接近することもできるだろうと考え、同じ敷地から汀への接近を目論んだ。


この場所は概ね以下の地図で示される通りである。
本編まで継続してお読み頂けているなら夫婦池の場所はお分かりと思うので拡大地図表記している。

ここはよほど人の手が入っていない地なのか、地図では盲腸に付随する虫垂のような袋小路状の入り江が描かれているだけである。航空映像に切り替えてみても原生林が密集しているせいか、暗すぎて殆ど現地の様子が分からない。しかし入り江があるらしいことは、以前遠巻きに眺めるだけでも推測できていた。

自転車を置いた平場から藪を少し漕いだ先で、入り江に向かって1m近い段差がついている場所があった。
降りた後に振り返って撮影している。


その先がすぐ急斜面で入り江になっていた。
足元の状態が分からないので迂闊に接近できない。


雑木が視野を遮っているがどうしようもなかった。もう一歩も前に進めないし、左右どちらにもカメラの視野を稼げる場所がない。
入り江の幅は地図表記の通り、塚穴川の幅よりは若干広い。


入り江対岸の汀にネットフェンスの残骸らしきものが水没しているのが見える。
中央の太い幹2本の間から見える汀
しかしそれ以外に人工物らしきものは一切見あたらなかった。

次にこの入り江の対岸から先を辿ってみようと思った。

国道沿いに進んだ先は一般企業の作業所になっていて(上記の地図にはまだ反映されていない)周囲をボードで囲まれているため接近できない。そこで前回進攻を考えていた亀浦市営住宅入口に到達した。


これは市営住宅と近接する一般の民家の地区道となっている。
そして上の拡大地図にも描かれている通り、入口付近に左側へ降りていく未舗装の道があった。


実はこの写真を撮った後すぐに進攻したのではなく、別のアクションがあった。
念のために市営住宅に向かう道へ乗り入れてみた。夫婦池の方へ降りていく道があるかも知れないと思ったのである。
しかし地図に描かれている通り、この地区道は市住アパートをぐるっと一周して戻ってくるだけだった。夫婦池に面する側はすべて民家になっていて踏み込める状況ではなかったので、再びこの場所へ戻ってきたのである。

さて、地図では細い道が先に観た入り江の方に向かうように描かれている。もちろん行き止まりだ。

それは民家のブロック積み擁壁の下に沿って下っていた。
立入禁止の札やフェンスなどは何もなく進攻を妨げるものは特にない。軽トラは無理でもトラクターなら余裕で入れそうな幅だ。


擁壁との高低差が5mくらいついたところでこの荒れ道は地図の通り入り江の方に向かって曲がった。
その先は殆ど高低差のない平場に繋がって終わっていた。
竹の繁茂が酷い。元々はかなり広い空き地のように思えるが、無秩序に生えまくった竹が道の形を消し去っているようだった。


もっとも適度に人が踏み込む場所らしく、地上数十センチのところで刈り取られた枯れ竹も目立った。踏みつけると危険なのでなるべく避けて先に進んだ。

自転車を連れて歩き回るとタイヤに突き刺さりそうで怖いので、適当なところに留め置いた。
ここがどれほど酷い藪かは振り返ったこの写真から推測できるだろう。


広い空き地の筈なのに、少し歩けばまず入ってきた道が見えなくなった。更に歩いて振り返れば留め置いた自転車までも竹に隠されて分からなくなった。
西日が差し込む今の状況なら大丈夫だが、曇りの日などで不慣れな人が踏み込んだら迷うかも知れない。

自転車を留め置いた場所から方向を変えず真っ直ぐに歩く。
やがて左側に一段低くなっている沢地らしき場所を見つけた。これは先に訪れた入り江の先端部分になると思う。

現在居る平場と下の平場とも1m程度の高低差がついていて、土の斜面になっている。低い側の平場は刈り払いも殆ど行われていないらしく、竹の楽園状態だった。


下に見える沢地自体も石積みによる雛壇が造られていた。この近辺はもしかすると昔は田畑か家並みがあったのだろうか。


この辺り一面が竹藪と投棄ゴミばかりだったので、久しぶりに見つけた人工物を近くで見ておきたいと思い、斜面の下降を始めた。
それなりに注意はしていたのだが…
イテテテ…


落ち葉が積もりまくっているので滑るんじゃないかなーと思いつついざり足で進んでいたら、案の定、斜面で滑って豪快に尻餅をついた。
怪我はなかったし落ち葉がクッションになったので痛い思いはしなかったが、尻餅をついた後も斜面の下までズズズーと滑ったのでちょっと焦った。

ズボンにも泥が着いてしまってちょっと苦笑いである。
洗濯モノ増やしちまったよなーsweat
石組みの様子。
自然石にしてはよく整った石を集めて積んだものだ。横方向に節理が通った石を同じように積んでいる。
近接画像はこちら


このような石積みが直線的に伸びていた。その周囲は針を突き立てるように竹の群落が無秩序な攻撃を仕掛けていて、古い石積みも壊されつつあった。


眺めるには風流で美しいが、見かけの優雅さによらず竹は植生に対して破壊的に働く。上へ目指して伸び葉を沢山つけることで下草の日照を奪い、繁殖力で優位に立つせいで他の樹木の活動に干渉する。
植生だけでなく人が造ったすべてのモノに対しても同様で、廃屋の敷地まで竹が入り込めば土台は傾き、床は突き破られ、最後には土に還されてしまう。残念ながら我が山口県はこうした”竹害”がとりわけ酷い県として知られている。
「Wikipedia - 竹害」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%AE%B3
さて、この先に入り江が存在する筈だが、今の時期ですら先を追究する気にならなかった。
接近するためにはこの下の段へ降りる必要があったが、笹の葉のじゅうたんの下を水が流れていて地面の状況が分からない。先ほどは滑った斜面は落ち葉のじゅうたんで乾いていたから良かったものの、こんな水気たっぷりの沢地に足を取られて尻餅などついたらかなり悲惨だ。

先ほど居た上段の平地へ復帰し、この沢に沿って北上してみた。
その先は日当たりが良くなるせいか、植生が大きく変わった。竹はまったく見られず中程度の雑木と下草ばかりになった。

視界が確保されない点では先の竹藪以上だ。不用意に踏み込めば本当に迷子になりそうだ。


自転車の近くまで戻り、今度は北上してみた。再び先ほどの地図によれば、この先に別のもう少し小規模な入り江がある筈だ。

あまり綺麗な眺めではないがさっきから気になっている不思議なことがあった。


こんなもの写してもしょうがないのだが、飲料カップのゴミである。
コンビニで売られているものなので最近発生したゴミだ。何でこんな人が踏み込むあてもない場所に捨てられているのだろう…


私が踏み込んだ場所には田畑の痕跡はあっても用事があると考えられる場所は何もない。わざわざこんな場所まで来てゴミを捨てるとも考えづらいから、先のブロック積み擁壁から投棄されたゴミが風で飛んできたのだろうか。
それにしても擁壁からこの場所まで少なくとも50m以上離れており、周囲はかなり酷い竹藪だ。風で運ばれるものだろうか…

道中は決して歩きやすくはなかった。
一ヶ所、イバラの攻撃を受ける場所があった。ズボンを履いている上から突き刺さってきて非常に痛い。痛さに顔を顰めるほどで、先の尻餅の痛みどころではない。
アジトへ帰って調べたらズボンの上からひっかき傷ができていた


またしても投棄ゴミ。今度はガラス瓶だ。
今度は風で50m以上も飛ばされてきたとは考えられないだろう。犬かカラスがゴミステーションから咥えて運んできたのだろうか…


先の方に水面が見えてきた。


ここにまた先の竹藪に見たような1m程度の段差があった。
こうした段差が随所に見られ、それ以外はまったく起伏のない平地なので、元は田畑だったのではないかと推測される。


しかし接近もここまでだった。
更に一段低い平地に大量の木の枝が散乱し、その先は湿潤していて踏み込めなかったのである。
伐採に立ち入る程度の普請はされているらしい…


先に再び竹の群生がみられ、汀は写真ではホワイトアウトしている先に見えていた。目測でまだ50m程度ありそうだ。

そうそう…
上の写真を撮影して引き返すとき、幻ではない事実だったのだが…
ハクチョウらしき甲高い鳴き声を聞いた。
周知の通り、現在常盤池にハクチョウは居ない。いくら夫婦池から常盤池は近くにあると言ってもこの周辺にハクチョウが生きて存在することはない筈なのだが…
その独特な声は入り江のずっと先から2〜3度聞こえた。まさか…と思って、鳴き声を採取しようとデジカメを動画モードにして暫く構えていた。しかしその声が再度響くことはなかった。
あれは何だったのだろうか…
幻でないなら、恐らく元から飼われているのではなく外部から飛来した”はぐれハクチョウ”ではないかと思う。
はぐれハクチョウは以前から時折常盤池の入り江で姿を見かけていた

ここから先はもう何処へも行ける場所はなく、自転車の元へ引き返した。
引き返すときにさっき攻撃されたのと全く同じイバラに再攻撃されたsweat

今が藪を漕いで進攻できる最適時期だから、この先この周辺一帯の竹藪や草が刈り取られるなど人の手が入らない限り、入り江や汀に接近することは不可能だろう。
それほどの藪に阻まれ、長期にわたって人の接近を拒絶していた場所なら何か古いものが遺っているかも知れないが、よほど新しい情報でもない限り再訪する予定はない。あれでも梅雨過ぎとか夏場の植生真っ盛りな時期にここを訪れるなら、ハードなサバイバルゲームの舞台に使えるかも知れない…^^;

(「夫婦池・汀踏査【6】」へ続く)

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