常盤池・楢原【5】

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(「常盤池・楢原【4】」の続き)

拾い上げて調べてみたのだが…
山口大学のプリンター使用カードだった。うっかり落としてしまったのか、はたまた度数がなくなったので深く考えず塀の内側からポイしたのか…


カードが使用済みかポイントが残っているのか分からなかったが、私にとっては全く無価値なゴミだ。ただ、プリンタで印刷するのにわざわざ学内カードを作るということはそれだけの印刷需要があるわけで、そのこと自体に妙に感心してしまった。

さて、その先で…
もう勘弁してよって言いたい位に嫌な場所に出会ってしまった。


また不法投棄自転車だ。しかしそんなのはいいとして嫌なのは我が身に降りかかろうとする災難だ。
ブロック積みの上は私有地と思われるのだが、常盤池に突き出た塩ビパイプから水がちろちろ流れ落ちていた。それも水位が低いせいで基礎コンクリートの上に落ちて水跳ねしていたのである。
パイプから流れ出ているのがどんな水か分からない。生活排水が直接流れ込んでいる心配はないだろうが、常時水に濡れるせいかブロック積みから基礎コンクリートから緑色の苔に覆われて如何にも汚い。

すぐ下まで池の水が押し寄せているので、基礎コンクリートから降りて進むことはできなかった。少なくとも一歩分は嫌らしい色をした緑色のコンクリート上に足場を求めなければならない。不用意に足を載せればまず滑るだろうし、池側に充分身体をかわさなければパイプから流れ落ちて跳ねる水が身体にかかってしまう。
いやはや…自分とてこの先にあるものを求めて進んでいるのだが、一体何を好きこのんでこんな汚染された岸辺を歩き回っているのだろうと少々気が滅入るほどだった。

こんな感じで私有地から常盤池に向かって排水パイプが突き出ている場所は結構ある。敷地内の雨水排除目的だろうが、現在でも機能しているという点が不思議だ。昔から設置されているので池への排水が慣習的に認められているのだろうか…それにしてもあの緑色は…sweat
あまりに汚いので逆に近接して撮影したくなってしまった。敢えて掲載しないが物好きにも至近距離から眺めたい方はこちらをクリックして欲しい。

もっともこの程度の障壁で諦めて引き返しはしない。飛沫が身体にかからないタイミングとルートを練った。
パイプの水はまったく間断なく流れ出ていた。どんな水だろう…と考えるのもおぞましいので、割り切ってサッと横切った。服に少々かかるのは…もう仕方あるまい。
タイミングを見計らって突っ切る動作に昔流行った「イライラ棒」を思い出した

振り返って撮影。
この角にも投げ捨てられた自転車が2台見つかった。ミニの方はだいぶ錆び付いていたがもう一台の方はまだかなり新しい。


更に振り返って今まで歩んだルートを撮影する過程で、かなり明白な証拠写真を撮ることになってしまった。
どの部分かはお気づきだろう。


不法投棄予備軍の自転車が塀の上に…
敢えて矢印などでは示さない。ブロック塀の上から突き落とされようとしている寸前の自転車が顔をのぞけているではないか。
何処が管理しているアパートか分からないが、これはちょっとまずいだろう。学生からすれば処分に困ったので…程度のことだろうが、常盤公園言うまでもなく常盤池も含めては国の登録記念物である。不法投棄者が判明すればエラいことになると思うが、こういった状況を放置しているなら、当然ながら担当部署からアパートの管理者側に注意が行くことになると思われるのだが…
ダム湖の不法投棄は更に酷い…常盤池は飲み水にはならないから罪の意識が低いということなのだろうか

いや…まあそんなのはどうでもいい。私とて告発ネタの証拠を押さえるためにここへ乗り込んだのではない。当面は自分の知的好奇心が満たされれば足りるのであって…^^;

折れ点から先は基礎コンクリートの通路がなくなり割石の積まれた上を進むこととなった。
水位があと少し高ければこの踏査は不可能だっただろう。


割石は充分には締まっておらず、体重を載せると転がるものが混じっていた。足元をよく確かめつつ進む必要があった。


再び護岸からパイプがのぞけている場所に出会う。
今度は水が流れておらずその下は侵食されないように捨てコンクリートで均されていた。その先は護岸が曲がっているために見えない。


足元のしっかりした均しコンクリートの上へ到達し少しホッとする。躓けば足首捻挫確実なほど不安定な割石歩きだったのでしばしの休息ができた。
ターゲットである水没建築ブロックが次第に近くに見え始めた。こうなればとことんまで近づきたい…

捨てコンクリートの場所を回り込むと先の様子が見えてきたのだが…
これは無理かも分からんなあ…sweat


割石が積まれている部分は大丈夫にしてもその先は間知石の石垣が途切れて庭石のような大振りの石が積まれている護岸になった。そのすぐ下まで池の水が押し寄せている。あの上には登れないだろう…足を濡らさず汀を歩けるかどうか微妙だ。

その手前までやってきた。
これは本当に常盤池の護岸なのだろうか…まるで民家の庭石同然で何処に官民境界があるのやら分からない。


庭石は概ね三段に積まれていて全体の高さは人の背丈程度。高低差が結構ある上に足を掛ける部分もなく直接の上り下りはかなり困難そうだ。庭石積みの上には大量の流木が溜まっており、水位が上昇すればその上まで水没するらしかった。池の水は最下段の石を濡らすほど押し寄せていた。
しがみ付いて石積みの上に登れないことはなさそうだが、そこまでやっていいものだろうか…という思いがあった。見るからに私有地っぽい匂いがしている。お家の方に目撃されたならかなり困難な状況におかれそうだ。

ここまで来たらもういいかな…という気持ちもあって例の物件をズーム撮影していた。
距離は充分に詰まっているが曇りがちな空の上に逆光で鮮明な像にはならなかった。


汀を進攻するにもこんな状況で、本当にあと少しでも水位が高ければここで完全に諦め撤収せざるを得なかった。雨続きだったことを覚えていたので、もっと早くこの進攻場所に気付いて着手していれば今ほど苦労することもなかっただろう。


打ち寄せる汀にそっと靴の先を突っ込んでみた。
汀は粘土質でハマる心配はなかったが、踏みつけるとかなり滑った。風があるために波の動きはまったくランダムで予測がつかなかった。小走りに駆け抜けようにもまず靴の中に浸水するだろう。

進攻の限界。ここから先はもうダメだ。石積みの下へ入り込むほど波が打ち寄せていて、そのまま歩けば間違いなく靴が浸水する。
裸足で歩けば…という声もあるだろうが踏査時期は1月の寒い時期であることを思い出して欲しい


この場所だけやり過ごせば済むものでもなく、先の方では完全に石積みの下まで水没していた。
先へ向かいたいならどうでも石積みの上を歩いてやり過ごす以外なかった。


この石積みからすぐ裏手の民家までコンクリート階段が伸びていた。明らかに私的設置物だ。
後付けでこのような階段設置が認められるとも思えないから、かなり早い時期に設置されたものらしい。


池に隣接した民家で岸辺まで施設階段が設置されている例はそう珍しくはない。蛇瀬池の北岸にもそのような事例がある。護岸整備される以前から家があって慣行的に池を利用できていたのかも知れない。

身を乗り出して先を窺ってみたところ、この私設階段を過ぎれば再び割石で埋められた岸辺になることが分かった。そこまで行けばあのターゲット群まで確実に到達できる…
そうとなれば突破させていただく以外ない。

3段重ねになっている庭石のうちから与しやすそうな場所を探し、肢体フルに使って石の上によじ登った。登ることができるなら逆も可能な筈だと考え降りられるかどうかは検証しなかった。
庭石部分まで私設かも知れないので、その部分を通行するのは最小限にとどめて足を濡らさず進めそうな場所から再び汀へ降りた。

再び汀へ降りた地点。
汀を歩けなかったのは本当にこの階段部分の前後数メートルだけだった。


階段を過ぎて汀へ降りたとき石積みの上に興味深いものを見つけた。
官民境界と思しきコンクリート杭である。


表面が洗われて判別しづらいほど古い。一応コンクリートで根巻きされているが、傍目にも庭石の上に「置かれている」ような状態だった。しかしこの杭の存在で階段部分の一番下に境界ラインが通っていることが分かった。
3枚上の写真にもコンクリート杭が写っている

そうなれば汀に面した庭石3段積み部分は「常盤池に属するもの」ということになる。この上を歩いたとしても少なくとも「私有地無断立ち入り」の禁じ手云々という話にはなるまい…帰りにも通ることになるので少し安心できた。

庭石3段積み護岸を突破した先は再び現場打ちのコンクリート護岸に変わった。
足元は悪そうだがもうターゲット群まで障壁はない。


投棄されたと言うか顧みられずに崩れ落ちたネットフェンスや波板などの建築部材が目立った。
コンクリート護岸の中ほどに水の跡が残っており、満水位では一連のゴミはすべて水没するようだ。


コンクリート護岸に沿って進む。
ここにも民地から池へ降りる需要のために錆び付いた鉄製ハシゴが降ろされていた。


護岸の下は壊れた建築ブロックや瓦などが目立った。
意外に大きめな自然石も多い。護岸工事を行った以前のものだろうか。


本当にここまで来てしまった…

ここまで来たなら当然先にあるものすべて洗いざらい自分の目とカメラに収める腹づもりだった。

(「常盤池・楢原【6】」へ続く)

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