常盤池・楢原【6】

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(「常盤池・楢原【5】」の続き)

困難はあったが靴の浸水や沿岸住民からの誰何に遭うこともなくここまでやって来た。
対岸から遠巻きに眺めるだけの場所だった。建築ブロックやら割石がゴロゴロ転がっていて大変に荒れている。


入り江の先端部分に向かって撮影。この場所では水没建築ブロックまでの距離は一旦遠ざかる。
それでも今まで試みた中では一番近くまで来ている。


ボウリングのボールのような黒い浮きが見えている。
何の目的で設置されているのか分からない。


このような浮きは常盤池の随所でたまに観られる。そのいずれもが一つだけで、沿岸ではなく岸辺からかなり離れた場所に目撃されている。
同じ場所に留まっているのでアンカーがぶら下げてあるのだろう。岸辺に流木などが押し寄せないように網を固定するための浮きと思われるが、そうだとしたら恐らく現在は機能していない。流木防止ならダム湖の網場のようにもう一つある筈だ。[1]

護岸コンクリートには2段目あたりに痕がついていた。標準水位ならあの辺りまで水が来るらしい。
護岸の外側に間知石大の大きな割石が目立つ。侵食防止のために後から投入したのだろうか…


右岸の岸辺はこの場所で殆ど直角に向きを変える。そこに以前から気になる場所があった。
この小さな鋭角点である。


楢原の入り江の先端部分は人工的なブロック積みが交わる鋭角点になっていることは既に記事で紹介した。
実はこの小さな入り江も鋭角点になっているらしいことが地図で判明していた。


この場所の存在は地図で判明するだけで、現地がどうなっているか遠くからでは分からなかった。ただそれだけの興味の対象なのだが、楢原の鋭角点で記事を起こしているので、この「準鋭角点」も別途寄り道記事にしておこう。
時系列は完全に一致している

派生記事: 楢原・小鋭角点

小鋭角点の撮影後、更に護岸に沿って進む。
いよいよ水没排水口・建築ブロックに近づけるときが来た。


遂にここまで到達してしまったという感じだ。容易に来れる場所とは思えなかったし、水没建築ブロックの記事を書いたときも「安全とも思えないので今後この岸辺を訪れることはないだろう」と書いていた。
しかし結局実現してしまったのだから好奇心というものはまったく厄介なシロモノである…^^;

ターゲットへ王手をかける前に、この岸辺まで水が押し寄せる場所をクリアすることが求められた。


かなり護岸に近いところまで水が押し寄せていて、ここもあと少し水位が高ければジャンプ渡りなどの必要に迫られていたかも知れない。幸い十分回避して護岸寄りを進めば足元に不安はなかった。

振り返って撮影。
すぐ近くまで民家がありながら取りあえず私の行動を観察している人の姿はなかった。
部屋の中から窓越しに監視している人はあったかも…


遂に来た!
この大きな排水口の正体が知りたかったので最初にここを調べることにした。
一部画像が不自然な箇所があるが気にしないで欲しい


写真が多くなり過ぎるので先の小鋭角点と同様に別記事として分割した。
若干読みづらいがご了承いただくとして詳細はこちらを…
派生記事: 楢原・水没排水口

その後、既にズームで以前から観察はできていた未知の水没建築ブロックへ接近した。


こちらも沢山写真を撮ったので水没建築ブロックの続編記事としてまとめておいた。
派生記事: 楢原・水没建築ブロック【4】

右岸の汀を辿ることができるのもここまでだった。
コンクリート護岸の真下まで水が押し寄せていてまったく進攻できなかった。


入り江の先端に向かって浅くなっている筈なのに水没しているのは、この入り江が僅かながら右岸側に偏っているからである。そのことは鋭角点付近を訪れたときから分かっていた。
鋭角点の左岸側から小川が周辺地域で集めた雨水を供給している。それは入り江の中央ではなく右岸の護岸コンクリートに沿って注いでいる。そのため水位が下がれば左岸は比較的広範囲に歩けるものの、右岸側は常に滞水しているのである。よほど極端に水位が下がらない限り右岸の下を辿って相互に行き来はできないだろう。

出発点を振り返って撮影している。
右岸は高専グラウンドの端で直角に折れて小さな入り江を形成している。ぎりぎり現れている岸部を伝ってここまで歩いてきた。


さて…無事にミッション達成できた。
長居は無用だ。何よりも寒い。
踏査時期が1月だったことを思い出して欲しい


小鋭角点の先端から「上陸」すればものの数百歩で市道まで戻れる。それほど近い場所にありながらここへ到達できる道がまったくないのは不思議だ。護岸の内側に溜まるゴミなどを清掃する必要もあるはずで、現状はボートで回収する以外方法はない。

護岸の下には如何にも人工的なゴミが多い。
何か年代を感じさせる古めかしいものを期待したが見つけることはできなかった。


現在は水上に現れているこうしたゴミも通常水位になればすべて水面下で眠ることになるわけだ。


さて、来るとき庭石積みの上を歩いて再度汀へ降りた場所へ戻ってきた。
同様にここから上がらなければならない。


庭石積みはちょうど官民境界ギリギリなことが分かっていた。
しかしこんな場所を歩くことなどおよそ想定されている筈もなく、不審者の匂いをプンプン撒き散らしながら戻ることとなった。


一番端まで歩いては駄目だ。ここでは高低差があり過ぎて降りられない。
やはり往路でよじ登った場所から逆の手順で降りる以外なかった。


わけの分からない水の滴る「イライラ棒パイプ」をサッと通り過ぎた。
飛び移る先がコンクリート基礎なので帰りの方が簡単だった


こうして往路よりは早く最初の降り口のところまで戻ってきた。


しかしまだ復帰はしない…ここまで着手したからには「骨までしゃぶる」べきだろう…
当然の如くそこから細い足場を伝って白鳥大橋の方へ進めるだけ進んでみた。

(「常盤池・楢原【7】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 管理用に往来するボートに浅瀬または水面下の障害物を知らせる指標と思われる。

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